作業療法士が短時間デイサービスに転職する際に注意すべきこと

作業療法士(OT)における転職先の1つとして、短時間デイサービス(リハ特化型デイサービス)があります。
リハ特化型デイサービスにおいて働く場合、作業療法士の多くが勤めている病院とは、システムや対象者などが違います。
そのため、病院とは違った点で注意しなければいけないことが多くあります。
作業療法士として短時間デイサービスに転職する場合、そのことを理解した上で選択することが大切です。
そこで今回は、「作業療法士が短時間デイサービスに転職する際に注意すべきこと」について解説します。

もくじ

短時間デイサービスへ作業療法士が転職する際に注意すべきこと

短時間デイサービスでは、いくつか病院やクリニックとは違ったことに注意する必要があります。以下に、短時間デイサービスで注意すべきことについて記します。

利用者さんの作業療法に対するニーズが高い

作業療法士の転職先である短時間デイサービスとは、その名の通り、施設への滞在時間が短時間である通所サービスを指します。
多くのところでは、3~5時間以内の利用となっています。
具体的には、「短時間の通所リハビリ」や「リハビリ特化型のデイサービス」といったものです。
このような短時間デイサービスを提供する施設では、「作業療法士などの専門職が常駐している」ということをウリにしています。
つまり、入浴や休養などの介護サービスに重点をおくのではなく、しっかりリハビリを行う場所であるということです。
そのため、作業療法士だけでなく理学療法士や言語聴覚士が複数働いていたり、運動機器が豊富に揃えてあったりします。
そのこともあって、短時間デイサービスの利用者には以下のような人たちが多くなります。
・自立度が高い
・リハビリに対して積極的
・長時間の拘束を嫌う
このように、元気で積極的な人達が集まりやすいのが、短時間デイサービスの特徴だといえます。
そのため、利用者さんのリハビリに対する目標も高い場合がほとんどです。
これはリハビリを行う上では非常に重要なことですが、作業療法士としては注意しなければいけないこともあります。
例えば、数十年前に脳梗塞を発症して、片麻痺の後遺症が残っている利用者さんがいます。
現在は、10メートル歩くにもやっとの状態です。
そのような利用者さんが、リハビリの目標として「1日1万歩を歩けるようになりたい」と言われた場合、どのように思うでしょうか。
確かに、目標を高く持つことは大切ですが、目標とはあくまで現実的なレベルのものにする必要があります。
そのため、作業療法士は専門家として、達成可能である妥当なレベルの目標を立てなければいけません。
作業療法士が勤務する短時間デイサービスの利用者さんには、このように高い目標を立てている人がたくさんいます。
その中には、今の例ほど極端ではありませんが、現実的に達成できないようなことを目標にしている人も多いです。
そのような人に対して、作業療法士が「その目標は無理です。
もっと現実的に考えましょう」といってしまうと、利用者さんの意欲が低下してしまいます。
そのため、「その目標を達成するためには、まずは◇◇という動作ができるようになる必要があるので、まずは◇◇ができることを目標にしましょう」といったように、利用者さんの意欲を落とさないような言い方をしなければいけません。
このように、作業療法士が働く短時間デイサービスの利用者さんには、高い希望を持っている人が多いです。
その際には、作業療法士は妥当な目標設定と、利用者さんへの説明の仕方に十分注意する必要があります。

介護保険関係の書類が多い

短時間のデイサービスに限ったことではありませんが、介護保険分野で働くスタッフの多くが感じていることが「作成すべき書類が多い」ということです。
介護保険分野でも、医療保険分野と同じように毎月「計画書」や「報告書」を作らなければいけません。
介護保険分野ではそれらに加えて、「自宅訪問に関する記録」や「介護サービスを継続するための作業療法士による意見書」なども必要になります。
そのため、作業療法士が介護保険分野で仕事をしていると、どうしても作成しなければいけない書類が多くなります。
特に短時間のデイサービスに勤務している場合は、担当利用者さんの数が50人近くなることもあります。
そうなると、担当している人の数だけ書類も増えますので、作成しなければいけないものがかなり多くなります。
そして、このような介護保険に関する書類は、利用者さんが介護保険サービスを利用するためには欠かせないものです
そのため、作成することはもちろんのこと、内容もしっかりしたものでないといけません。
医療保険分野から介護保険分野に転職した作業療法士には、このような書類作成の大変さを感じている人が多くいます。

短時間デイサービスで作業療法士に求められる能力

短時間デイサービスに作業療法士が転職する場合、病院などの医療機関とは仕事内容が異なります。
そのため、作業療法士に求められる能力も違います。
そのことを理解しておくと、転職時のアピールを上手く行うことができるようになります。
そこで以下に、作業療法士が短時間デイサービスへ転職する際に求められる能力について述べます。

介護保険の知識

短時間デイサービスで作業療法士が勤務する場合、介護保険を利用している人が作業療法の対象となります。
そのため、基本的には介護保険のサービスを使っている人に対してリハビリを行います。
そうなると、当たり前のことですが作業療法士にも介護保険の知識が必要になります。
短時間のデイサービスの利用者さんは、通所サービスだけでなく訪問看護などの他の介護保険サービスを使っている人がほとんどです。
そして、そのようにさまざまな介護サービスを組み合わせて利用することで、その人の生活がより良いものにすることができます。
そのため、作業療法士はリハビリテーションの専門家としての視点から、介護保険サービスに対してアドバイスする必要があります。
例えば、福祉機器の使用や住宅改修の利用などについては特に知識が必要となります。
利用者さんの運動機能を最も把握しているのは、作業療法士や理学療法士などのリハビリ職者です。
そのため、福祉機器の必要性および選択方法や自宅内の手すりや段差の適切な高さ、などに対して作業療法士の視点から意見をすることで、介護サービスをより効果的なものにすることができます。
また介護保険が適応される福祉機器や住宅改修内容や、その際の補助金の受け方についても知っておく必要があります。
このような制度面に関しては担当のケアマネージャーがほとんど手続きを行ってくれますが、作業療法士も同様の知識がないと、話を進める上で支障がでます。
そのためにも、作業療法士は介護保険に関して詳しくなければいけません。
このように、短時間デイサービスに作業療法士が転職する場合には、介護保険に関する知識を持っていることが求められます。

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コミュニケーション能力

作業療法士が働く短時間デイサービスは、多くのところがリハビリを重視しています。
そしてそのことを施設の「ウリ」としているため、利用する人もリハビリに対して意欲が高い人が多くなります。
そのため、必然的にリハビリの目標も高くなります
利用者さんの目標が高いことは、リハビリを意欲につながるため大切なことです。
ただ作業療法士としては、いくら高い目標がリハビリの意欲につながるといっても妥当性のあるゴールを立てなければいけません
その際には、専門家としての視点から、利用者さんの身体状態や生活状況を含めて総合的に考えます。
そうなると、どうしても作業療法士が考える目標と利用者さんが立てたゴールに大きな差が出てしまうこともあります。
特に、利用者さんが目標を高く立てる傾向にある短時間デイサービスでは、このような状況になりやすいです。
その際に作業療法士は、利用者さんだけでなく、その家族やケアマネなどと話をして共通したゴールを設定しなければなりません。
このように作業療法士と利用者さんの目標に差がある場合は、特に共通のゴールを立てることに苦労します。
作業療法士は、利用者さんやその家族、ケアマネが納得するように話をしなければいけないため、かなり高いコミュニケーション能力が必要になります。
この際にコミュニケーションが上手く取れないと、サービスの中止や担当者変更ということになる可能性もあります。
以上のように、短時間デイサービスで勤める作業療法士には、特に高いコミュニケーション能力が求められます。
今回述べたように、介護保険分野といっても、それぞれのサービスによって注意する点は異なります。
特に作業療法士が勤務する短時間デイサービスでは、「利用者さんのニーズが高い」「書類作成が多い」ということを知っておいてください。
そのことを理解した上で、転職先として選択することで、転職後のミスマッチが少なくなります。

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