作業療法士(OT)が養成校教員へ転職するメリット・デメリット

作業療法士(OT)が働く職場としては、主に病院や介護保険施設などが挙げられます。
多くの人はそのような現場で、臨床家として勤務しています。
また作業療法士の中には、作業療法士養成校の教員として仕事をしている人もいます。
臨床の現場で働く作業療法士の中にも、「養成校の教員になりたい」と考えている人は多くいます。
しかしほとんどの人は、学校の教員における仕事内容や勤務体制などといったことに関してほとんど知りません。
教員に限った事ではありませんが、転職先のことについては、転職することで得られるメリットや起こりうるデメリットなど、さまざまな情報を得ておくことは大切です。
そうすることで、転職後に起こるミスマッチを防ぐことができます。
そこで今回は、「作業療法士養成校の教員としてメリット・デメリット」について述べます。

もくじ

作業療法士が教員として働くことで得られるメリット

作業療法士が養成校の教員として働くようになると、さまざまなメリットを得ることができます。
教育現場ならではの学びがあるため、臨床とは違った魅力があります。
そこで以下に、作業療法士が養成校教員として働く魅力について記します。

作業療法士としてのプレゼン能力が向上する

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリ職者は、患者さんに対するリハビリが主な仕事です。
そのため、臨床で働いている作業療法士は、一般的な会社員のように企画などのプレゼンを行う機会が多くありません。
確かに、症例検討会や勉強会などで話をする機会はあります。
ただ、そのような場面で話をする人は限られています。
一方で作業療法士養成校の教員になると、ほとんど毎日のように学生に対して講義を行います
その際には、自分が学んだことや経験したことなどをいかにわかりやすく相手に伝えるかということを考えなければいけません。
そのため、教員として仕事をしていると必然的にプレゼン能力が身に付くようになります。
このようなプレゼン能力は、作業療法士として必要ないように感じるかもしれません。
しかし、新しい取り組みを思いつき試してみたいと思ったときなどには、相手を納得させるようなプレゼンができることが大切になります。
このように、一見すると作業療法士には必要内容に思えるプレゼン能力も、持っていると自身の可能性を高めるものにだといえます。
作業療法士養成校の教員として働く魅力の一つとして、このようなにプレゼン能力を高めやすくなるというものが挙げられます。

作業療法士としての視野が広がる

作業療法士養成校では、さまざまな職場を経験した人たちが職員として働いています。
また教員として勤務するためには最低でも5年間の臨床経験が必要であるため、在籍している先生方はある程度の経験年数を持った人が多いです。
5年経ってすぐに教員になる人は少なく、多くの教員は作業療法士の免許を取得してから10年以上経っています。
そのため、若くして作業療法士養成校の教員になった人は、経験豊富な諸先輩方と一緒に仕事をすることになります。
しかも先生になる人は、複数の現場で働いたことのある人もいます。そのため、必然的に幅広い視点からの話が聞けるようになります。
例えば、ある先生からは整形外科疾患に特化した話が聞けたり、他の教員からは脳血管疾患に特徴的なことを教えてもらったりすることもできます。
また、臨床の現場だけでなく、作業療法士養成校の教員としても複数の学校で勤務したことがある人もいるため、教育に関してもさまざまな視点からの話を聞くことができます。
そして、経験豊富な同僚や先輩、上司に囲まれて仕事を行うことは、モチベーションが高い状態を維持したまま働くことができます。
このように、作業療法士養成校の教員として働くと、自分自身の視野を広げることができるという魅力もあります。

作業療法士が教員へ転職することで起こりうるデメリット

作業療法士が教員へ転職すると、「プレゼン能力が向上する」「仕事に対する視野が広がる」というメリットがあります。ただその一方で、教員として働くゆえに苦労することもあります。
デメリットというわけではありませんが、転職先として養成校を考える場合には、そうした苦労することも理解した上で選択する必要があります。
そこで以下に、作業療法士が養成校教員として働くことで起こりうるデメリットについて記します。

作業療法士として患者さんとの関わりが少なくなる

作業療法士に限った事ではありませんが、リハビリ職者の主な仕事は患者さんの社会復帰を支援することにあります。
病院やクリニック、介護保険施設といった現場で働いている場合は、毎日患者さんと接して、社会復帰に向けたお手伝いをしています。
一方で養成校の教員になると、そのような患者さんとの関わりがほとんどなくなります。
職場によっては、パートで働くことが許可されており週1回程度の臨床を行っている人もいます。
しかしどちらにしても、作業療法士養成校の教員として働く場合は、患者さんと接する機会が極端に少なくなります。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ関連職には、専門職としてそのような患者さんとの関わりを一番のやりがいと感じている人が多いです。
そのような人にとっては、臨床を離れるということは大きなデメリットになるといえます。
確かに教員の仕事は、学生の国家試験合格という目標に対して支援していくということであるため、「人」の人生に関わるという点では患者さんとの関わり方と似ている部分もあります。
ただそうは言っても、実際に教員へ転職すると臨床から離れることに寂しさを感じる人が多いことも事実です。そのため、作業療法士養成校の教員に転職したいと考えている人は、このことを十分に理解しておくことが大切です。

作業療法士養成校教員は仕事の内容が多岐にわたる

このことはデメリットというわけではありませんが、作業療法士養成校の教員として働く場合、仕事内容が多岐に渡るということが苦労する点として挙げられます。
病院などであれば、管理職者でなければ、基本的には患者さんの対応のみに集中して仕事をすることができます。他にも書類作業などはありますが、そこまで複雑な作業は少なく、一通りの仕事を覚えるまでにそれほど時間は必要ありません。
一方で養成校の教員では、行わなければいけない仕事内容が多岐に渡ります。多くの人は、教員の仕事を講義だけと考えていますが、実際にはそうではありません。
講義に加えて、学生の実習や就職に関する事務作業、実習地訪問、保護者面談、会議など、実際の仕事量としては、講義よりもその他における業務の方が多いと言っても過言ではありません
そのため、学ばなければいけないことが増えるのはもちろんのこと、時間管理も重要になります。
教員として働く場合、このようなさまざまな仕事に対して、優先順位を付けて効率良く行っていかなければなりません。
しかも、臨床と違って講義以外における時間の使い方は自由であるため、自分で管理する必要があります。
そのため、自己管理能力が低い人では、仕事が終わらず残業が続いてしまうということになりかねません。
このように、作業療法士養成校の教員では、「仕事内容が多岐に渡る」ということで苦労する人が多くいます。
今回述べたように、作業療法士が養成校の教員として働くことは、臨床とは違った魅力や苦労があります。
今まで臨床だけしか経験しておらず、「学校の先生」になるという考えを持っていなかった人は、こうした教員へ転職するメリットとデメリットを理解した上で、選択肢の一つとして入れてみてはいかがでしょうか。

そのほかにも公務員として働くメリットや注意点についても解説しています
👉 作業療法士が公務員として働くメリット、注意点

養成校への転職の条件などはこちらにまとめています
👉 作業療法士が養成校へ転職する条件とポイント


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