理学療法士の平均残業時間と残業代、残業なし求人の特徴

あなたは「理学療法士の残業が多いかどうか?」について考えたことがあるのではないでしょうか?

医療従事者の中で理学療法士の残業は少ない方だといえます。診察に直接関わる医師や看護師と違って理学療法士は予約制であるため、例外的な業務が入りにくいためです。実際に厚労省の調査結果でも、理学療法士の残業時間は少ないことがわかっています。

ただ理学療法士の残業における実態は、そう単純ではありません。申請している平均残業時間は短くても、サービス残業が当たり前になっている職場もたくさんあります。残業の多さで体調を崩したり、転職したりする理学療法士もいるのです。

理学療法士の残業について考えるときには、こうした残業における実態を把握しておくことが大切になります。その上で「自分の現状はどうなのか?」「どのような行動をした方がいいのか?」を考えることが重要です。

そこで今回は「理学療法士の平均的な残業時間と残業代」「残業なし求人の特徴」について解説します。

理学療法士の平均残業時間、残業代はどれくらいか?

残業について考える際に、平均の残業時間や残業手当の計算方法、実際に支給される残業代を把握しておくことは大切です。「理学療法士の残業は他職種と比較してどうなのか?」「残業したらどれくらいの残業代になるのか?」を知っておくだけでも、残業に対する考え方が変わるためです。

また残業に関する基本的な知識がないと、残業問題に対して正しい対処ができません。そこでまずは、理学療法士の平均残業時間と残業代の計算方法、平均して支給される残業額について以下に説明します。

理学療法士の平均残業時間

理学療法士の中には「理学療法士は残業が多くてブラック企業だ!」という人もいます。確かに、毎日のように残業で頑張っている人もいるのが現状です。

ただ本当に理学療法士は残業が多いのでしょうか? 他業種との残業を比較するときに、厚労省が実施している「賃金構造基本統計調査」が役に立ちます。以下は2018年の賃金構造基本統計調査の結果になります。

出典:2018年賃金構造基本統計調査

調査結果から、医療従事者の残業時間はそれぞれ以下のようになっています。

薬剤師:12時間

看護師:7時間

診療放射線・エックス線技師:11時間

理学療法士・作業療法士:6時間

比較すると、理学療法士の残業時間は他職種と比較すると少ないです。これは他職種は診察の長さに伴って残業も多くなるのに対して、理学療法士は予約制であるため診察の時間に左右されないことが考えられます。

看護師や放射線・エックス線技師は、診察が終わるまで帰れません。診療補助をしなければいけないためです。その一方で理学療法士は、基本的に残業してまで新患対応を依頼されることが少ないので残業もありません。

このように、他の医療従事者と比べると理学療法士は残業が少ないのです。

法定労働時間外の業務が残業となる

残業を申請すると残業代が支給されます。残業代の計算方法は労働基準法で決められています。また残業代を計算するときには、労働基準法によって定められている法定労働時間を把握しておくことが大切です。

法定労働時間とは、法律によって決められた労働時間のことをいいます。具体的には、労働者が働ける時間は週で40時間となっています。法定労働時間に関する労働基準法の詳細は以下のように記載されています。

労働基準法第32条:

  • 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
  • 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

労働基準法に「1日8時間、週40時間を超えてはいけない」とあるため、週5日(週40時間 ÷ 1日8時間)出勤が基本となることがわかります。

もちろん中には、1日の労働時間が8時間に満たない職場もありますが、病院やクリニックであれば基本的に8時間となっています。また当然ですが、毎日8時間きっちりで業務が終わって帰れる職場は少ないです。そして法定労働時間である8時間を超えたときには、残業代が発生します。

残業代は割増料金で支払われる

法定労働時間外である労働(残業)は、割増で支払わなければいけないことが決まっています。具体的には、時給に換算した額の25%増しの給与が発生するのです。

例えば時給1500円のパートで考えると、残業した分の時給は「時給1500円 × 割増125% = 1,875円」となります。

正社員であれば、月収から手当などを引いた基本給を労働時間で割って時給を計算します。例えば以下は、東京にある病院の理学療法士求人です。

求人から年間休日が110日と考えると、月の平均休日数は9日(年間休日110日 ÷ 12ヶ月)になります。1ヶ月を31日と仮定すれば、1ヶ月の法定労働時間は「1日8時間 × (31日 - 9日) = 176時間」です。基本給が17万円なので時給は「基本給17万円 ÷ 法定労働時間176時間 = 966円」になります。

非常勤の時給と比較して少ないと感じるかもしれませんが、賞与や福利厚生などが含まれると給料は大きく上がります。

この求人先で8時間を超えて残業した場合の時給は、以下のようになります。

  • 時給966円 × 割増125% = 1207円

このように、残業代は法律によって割増で支払われることを知っておきましょう。残業代がごまかされていることはないと思いますが、一度給料明細で割増賃金になっているかを確認してみてください。

理学療法士の平均残業代はいくらになるか?

それでは、理学療法士の平均残業代はいくらくらいになるでしょうか? 平均の残業時間や基本給から残業手当の平均も算出できます。ただ先ほど挙げた賃金構造基本統計調査から、おおよその残業代は把握できるのです。

以下に、賃金構造基本統計調査の結果を再度載せます。

出典:2018年賃金構造基本統計調査

この中で「決まって支給する現金給与額」「所定内給与額」の2つを確認します。決まって支給する現金給与額は、月収だと考えてください。

所定内給与額とは「所定の労働時間を超える労働に対して支給される給与(超過労働給与)」を差し引いた給与額です。超過労働給与とは、休日労働、深夜労働、時間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当等を指します。つまり、超過労働給与は残業代です。

そのため「所定内給与額 + 超過労働給与(残業代)= 決まって支給する現金給与額」となります。ここから、理学療法士の平均残業代は「28万5000円(決まって支給する現金給与額) - 27万3000円(所定内給与額) = 1万2000円」と算出できるのです。

もちろんあくまで目安ではありますが、厚労省の情報を元に計算すると理学療法士の平均残業代は1万2000円だということを知っておきましょう。

求人の給料に固定残業代が含まれていないのであれば、記載されている月収におおよそ1万2000円の残業代が加わると考えることができます。

理学療法士の残業における実態

先に述べたように、理学療法士の平均残業時間は6時間と短めです。ただ理学療法士における残業の実態は違います。他の職種と比べると残業が少ないかというと、そうではありません。サービス残業をしている理学療法士が多いためです。

また理学療法士が働く職場の中でも、訪問リハビリでは介護保険に関する書類業務が終わらずに残業が当たり前になっている職場が多い傾向にあります。理学療法士の残業事情について考えるときには、表面上の情報だけでなくリアルな実態を把握しておくことが大切です。

そこで以下に、理学療法士における残業の実態について説明します。

理学療法士はサービス残業は多い

理学療法士の職場ではサービス残業が多い傾向にあります。サービス残業とは、残業申請をしていないために残業代が発生しない時間外労働を指します。

例えば、患者さん対応が終わった後にカルテなどの書類を書く時間などです。こうした書類作成業務は、残業申請をせずにサービス残業で行っている理学療法士は多いです。

書類業務も、10分などの短い時間で終わるなら残業ともいえないでしょう。ただ職場によっては毎日の書類業務が1時間以上かかる職場もあります。

例えば私が広島で勤めた職場は担当する患者さんの数が多く、業務時間内で終わらないカルテや総合実施計画書などの書類は全て業務時間外に書いていました。当然、担当患者が多い分だけ書類業務も増えて毎日1時間以上の残業は当たり前でした。

このときも、サービス残業で終わらせる日が大半でした。職場全体が業務時間外で書類作業をするのが、当たり前となっていたからです。

このように理学療法士が働く職場では、サービス残業が当たり前になっていることが多い傾向にあります。

厚生労働省の統計データには、こうした実態が含まれていません。理学療法士は診療に関わる残業時間は看護師などと比較すると少ない一方で、書類業務に関するサービス残業が多いことは知っておきましょう。

訪問リハビリの理学療法士は残業が多い

理学療法士が転職する職場の中でも、訪問リハビリは残業が多い傾向にあります。業務時間内にカルテを書く余裕がなかったり、介護保険で提出しなければいけない書類が多かったりするためです。

実際に訪問リハビリの求人には、残業時間が長く書かれている求人が多い傾向にあります。例えば以下は、東京にある訪問リハビリの求人です。

求人のシフト欄に、時間外が月平均25時間とあります。1ヶ月の出勤日が約20日と考えると、この求人では毎日1時間以上の残業が当たり前ということになります。

私は訪問リハビリでの勤務経験がありますが、実際に残業は多かったです。特に、毎月の月末には介護保険の請求に関わる書類を作成しなければいけません。このときには、書類業務が終わらずに夜中の0時を過ぎるまで帰れない日もありました

当然ですが、介護保険に関する書類は請求ミスがないように細心の注意を払います。また医者やケアマネージャーなど他の職種にも書類を提出するため、記入ミスがないかを二重、三重と徹底的にチェックするのです。

このように、訪問リハビリは残業が多い傾向にあります。特に訪問リハビリの理学療法士求人で残業時間の記載がない場合は、必ず転職サイトの担当エージェントを介して確認するようにしましょう。

残業が理由で転職する理学療法士も多い

理学療法士の中には「残業が多くて忙しい」という理由で転職をする人もたくさんいます。残業が多いと、ストレスになるだけでなく趣味や家族との時間もなくなるためです。

例えば、残業が多い職場に勤める私の知人は「平日はいつも残業だから帰ったら毎日子どもは寝ている」と話していました。他にも「平日は職場と自宅を行き来しているだけで、休日は疲れてほぼ寝ている」という人もいます。

理学療法士には「残業の多さ」を理由に転職する人がたくさんいます。残業代がきっちり支払われているならまだしもサービス残業が多いため、不満が強くなって転職するのです。

中には残業での忙しさを我慢し続けた結果、うつ状態になって理学療法士をやめてしまった人もいます。

そうならないようにするためにも、残業が多くて体調を崩しかけているなら、早めに残業がない職場へ転職することが大切です。

残業なしの理学療法士求人の特徴

ここまで述べたように、理学療法士は表面上では残業が少ないように見えますが、サービス残業が多いのが実態です。そのため残業が理由で転職するときには、求人から残業の実態を読み取ることが大切になります。

まず残業が少ない求人の大半は、求人に残業が少ないことがわかりやすく書かれています。残業が少ないことは求人の強みとなるため、必ず目立つように記載するのです。例えば以下は、神奈川県横浜市になる特別養護老人ホームの理学療法士求人です。

求人に「平均残業時間10時間未満」とあります。先に述べたように、厚労省に報告されている理学療法士の平均残業時間は6時間です。ただ実際には、10時間を目安に表記している求人が多いと考えてください。

そのため「残業10時間未満」という求人を見つけたときには、残業が少ない職場である可能性が高いです。

他にも残業に関しては、求人に「残業少な目」「残業なし」などと書かれています。例えば以下は、大阪にある病院の理学療法士求人です。

求人には、残業がほぼないだけでなく退勤時間まで記載されています。ここまで明記されている求人であれば、残業は少ないと考えて良いです。

こうしたことからも、もしあなたが残業なしの職場へ転職したいと考えているなら、まずは残業に関して明確に記載されている求人を見つけるようにしましょう。

固定残業手当がある求人は残業が多いため避ける

理学療法士求人の中には、固定残業(見なし残業)手当として残業代が月給に含まれている求人もあります。そうした求人は、基本的には残業が多い職場だと考えてください。固定残業手当は残業があることを見込んで支払われる手当であるため、残業が少ない職場で支給されることはないためです。

例えば以下は、大阪にある整形外科クリニックの理学療法士求人になります。

求人の職場概要欄に「固定残業手当は20時間分の固定残業代」と書かれています。こうした記載がある求人は、基本的には残業が多い職場です。

ただ理学療法士求人の中には、非常にわかりにくい表記で固定残業代が含まれているケースもあります。例えば以下は、ある訪問リハビリの理学療法士求人の詳細です。

求人を一目見ただけでは、固定残業代が含まれていないように感じます。ただこのとき注意しなければいけないのは「職務手当」「残業月10時間程度」という2点です。

一見すると固定残業代の記載がないため、10時間残業すれば10時間分の残業代が支払われるように見えます。しかし転職サイトのエージェントを介して残業の実態を確認したところ「職務手当に10時間の固定残業代が含まれている」ということがわかりました。

つまり、残業手当を職務手当として記載されているのです。このように、残業代が含まれているかどうかが求人だけからでは読み取れないケースもあります。そのため、基本的に残業の有無や平均残業時間は転職前に確認するようにしましょう。

デイケア・デイサービスは残業が少ない

理学療法士が転職する職場の中でも、デイケアとデイサービスは残業が少ない傾向にあります。通所サービスは利用者さんが帰宅する時間が早く、書類作業も業務時間内に終わらせることができるためです。

また病院と違って医師などとのカンファレンスがないことも、残業が少ない理由の一つだといえます。

例えば以下は、神奈川県横浜市にある通所リハ(デイケア)の理学療法士求人です。

求人には「定時が16時45分」「残業が少なめ」とあります。デイケアでこうした求人は、残業が少なく早く帰宅できると考えて間違いないでしょう。また以下は、東京にあるデイサービスの理学療法士求人です。

こちらの求人にも「残業もほぼなし」とあります。

基本的にデイケアやデイサービスは16時前後に送迎が始まり、16時半前後に送迎が終わります。理学療法士は送迎の業務がなければ、送迎中にカルテなどの書類業務を終わらせることができます。

送迎後に施設内のカンファレンスがあって業務が終了するので、残業なく早く帰れる職場が多いのです。

このように残業なしの職場へ転職をしたいのであれば、デイケア・デイサービスを狙うと良いでしょう。ただデイサービスでイベントなどが多い職場では、残業が増える可能性もあるので注意してください。

理学療法士の残業実態を知り、残業なしの職場へ転職する

理学療法士における残業の実態として、サービス残業が当たり前になっている職場が多いです。表向きは残業が少ない理学療法士ですが、実態は全く違います。また残業の多さで、体調を崩して転職や退職をする理学療法士も多いです。

もしあなたの職場が残業が多い上に、サービス残業が横行しているのであれば転職を考えることをお勧めします。残業の忙しさで体調を崩して、仕事すらできなくなっては遅いためです。

また残業が慢性化している職場の残業を減らすのは難しいと考えてください。それよりも、残業が少なめの職場へ転職した方が確実です。

ただ転職するときには、求人に「残業なし」「残業少なめ」などが明記されている求人を探すようにしましょう。またデイケアやデイサービスであれば、残業が少ない職場が多いです。

もしあなたが残業の多さで悩んでいるのであれば、ぜひ以上を参考にして残業なし求人への転職を成功させるようにしましょう。



リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

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