言語聴覚士が短時間デイサービスに転職する際に求められる能力

言語聴覚士(ST)の中には、「リハビリ特化型のデイサービス」や「リハビリ特化型のデイケア」と呼ばれるような短時間デイサービスへ転職する人もいます。このような短時間デイサービスは、7~9時間滞在するようなデイサービスやデイケアとは異なり、3~5時間以内の利用になります。
そして、短時間デイサービスの利用者さんには、他の介護保険施設とは違った特徴を持った人が多くいます。そのため、言語聴覚士が短時間デイサービスへ転職する場合、他とは異なったことが評価されるようになります。転職を成功させるためには、そのことを理解しておくことが大切になります。
そこで今回は、「言語聴覚士が短時間デイサービスへ転職する際に求められる能力」について述べます。

もくじ

言語聴覚士が短時間デイサービスで求められる能力

言語聴覚士が短時間デイサービスで働く場合、病院やクリニックとは違ったことが求められます。以下に、言語聴覚士が短時間デイサービスで働く際に求められる能力について記します。

介護保険に関する知識

言語聴覚士における転職先の1つである短時間デイサービスは、介護認定を受けることで利用できるサービスです。そのため、利用者さんは基本的に介護保険を持っています。
そして利用者さんのほとんどは、短時間デイサービスだけではなく、複数の介護サービスを使っています。例えば、訪問介護を利用することで、家の掃除や買い物、ご飯の準備などをヘルパーに行ってもらっている人は少なくありません。
このように、言語聴覚士の対象者となる利用者さんは、さまざまな介護サービスを使って生活をしています。
当然、言語聴覚士は利用者さんがどのような介護サービスを使っているかということを把握しておかなければいけません。またそれだけではなく、他にもどのような介護サービスがあり、活用することができるのかについても理解しておく必要があります。
言語聴覚士は、リハビリを通して利用者さんの身体機能向上を図ります。しかし、リハビリを行う対象者の中には、症状が慢性化しリハビリだけでは改善することができないような人も多くいます。そのような場合は、杖や装具を使用したり住宅改修を行ったりすることで補うことが大切になります。このときに、介護保険の知識が必要になります。
そのため、言語聴覚士は介護保険について理解し、利用者さんに必要だと思うサービスを提案できるようにしておかなければいけません。
ただ、もし介護保険に関して詳しくない場合は、ケアマネに相談することでも問題は解決できます。例えば「○○といった機能の改善が難しいため、介護保険内でレンタルや購入できる□□のような機能がある道具はありますか?」といったように、利用者さんに必要な機能を伝えると、介護保険の専門家であるケアマネが具体的な案を提案してくれます。
そうはいっても、言語聴覚士が短時間デイサービスへ転職する場合は、ある程度の介護保険に関する知識は求められることを理解しておいてください。

コミュニケーション能力

短時間デイサービスで言語聴覚士が働く場合、さまざまな人とのコミュニケーションをとる機会が増えます。言語聴覚士は、利用者さんの家族やケアマネ、相談員といった人と密に連絡を取り合うことが大切になります。
これは医療機関であっても、他の介護保険施設であっても同様のことです。しかし、短時間デイサービスで言語聴覚士が働く場合は、特にこのような家族や他職種の人とのコミュニケーションが重要になります。
短時間デイサービスを利用している人には、リハビリに対する希望が高い人が多くいます。そして利用者さんがリハビリに対して望むことの中には、現実的に考えて達成することが難しいようなものであることも少なくありません。そのようなときには、言語聴覚士は利用者さんだけでなく、その家族やケアマネといったような人たちと、妥当性のある目標を再設定しなければいけません。
このときに、上手くコミュニケーションを取ることができないと、利用者さんにとってより良い目標を立てることが難しくなります。利用者さんとその家族、ケアマネとしっかり話をすることで、初めて最適な目標を決めることができます
このように、短時間デイサービスで言語聴覚士が働く場合、特にリハビリの目標を設定する際にコミュニケーション能力が求められることになります。

短時間デイサービスで言語聴覚士が注意すべきこと

短時間デイサービスでは、病院やその他の介護保険施設などとは、対象者やシステムが異なります。
そのため、言語聴覚士として短時間デイサービスに転職したいと考えている場合は、その特徴や注意点などを理解した上で転職先として選択することが大切です。そうすることで、転職後に起こるミスマッチを防ぐことができます。
そこで以下に、短時間デイサービスに言語聴覚士が転職する際に注意すべきことについて述べます。

短時間デイサービス利用者さんの特徴

言語聴覚士における転職先の1つである短時間デイサービスとは、いわゆる「リハビリ特化型のデイサービス」や「リハビリ特化型のデイケア」です。
デイサービスやデイケアというと、1日滞在するところをイメージする人が多いかもしれませんが、短時間デイサービスのように、利用時間が3~5時間というところも少なくありません。
短時間のデイサービスでは、多くのところがリハビリを重視しています。そのため、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士といったリハビリの専門家が在籍していたり、運動器具を豊富に取り揃えていたりします。
このように短時間デイサービスでは、介護というよりもリハビリを「ウリ」にしているところがほとんどです。その結果、入浴介護などの介護サービスを望んでいるような人ではなく、身体機能の向上を目的としている利用者さんが多くなります。そのため、短時間デイサービスを活用している人には、以下のような特徴があります。
・生活の自立度が高い
・長時間の拘束を嫌う
・リハビリに対して意欲的
言語聴覚士が勤める短時間デイサービスには、以上のような特徴がある利用者さんが多いため、必然的にリハビリの目標が高くなります
例えば、7~9時間滞在するようなデイサービスを利用している人の場合、「これ以上悪くならないように」「もう少し立ち上がりが楽にできるようになればいいな」といったように、身体機能の大きな改善を目標とする人は少ないです。
一方で短時間デイサービスの利用者さんは、「ゴルフをまたできるようになりたい」「足の筋力をつけて走れるようになりたい」といったように、リハビリの目標がかなり高く、具体的な方が多いです。そして、言語聴覚士が行うリハビリに対しても積極的な人がほとんどです。

目標が高すぎるという問題

リハビリに対する目標が高いことは、本人の意欲も高まるため大切なことです。ただ言語聴覚士は、リハビリの専門家として利用者さんの希望に妥当性があるかどうかを判断しなければいけません。
例えば、数十年間に脳梗塞を発症して、それ以来言語障害が残ってしまった利用者さんがいたとします。現状では、「こんにちは」という簡単な挨拶もできないような状態です。そしてその人の希望が、「リハビリを行い、1カ月でカラオケを歌えるようになる」であった場合、現実的に不可能です。
これは極端な例ではありますが、短時間デイサービスの利用者さんには、このように現状と目標があまりにかけ離れているような人が多くいます。
言語聴覚士は、そのような利用者さんの望みだけではなく、その家族の要望と現状の身体状況を考慮した上で、達成可能な妥当性のあるリハビリの目標を立てなければなりません。
そのため、あまりに利用者さんの希望が高い場合は、目標を再設定しなければいけません。そしてそのときには、利用者さんに納得してもらえるように話をする必要があります。そこでいきなり「現状を考えると希望が高すぎるため無理です」などと言ってしまうと、せっかくのリハビリに対する意欲を落とすことになります。
そのようなことを避けるためにも、「○○という希望を達成するために、まずは□□が必要です。ですので、□□を目標にしましょう」というように、利用者さんへの話し方を工夫しなければいけません。
このような言語聴覚士の伝え方1つで、大きなトラブルに発展することもあります。そのため、特に短時間デイサービスへ転職した際に、利用者さんの目標設定を変更するときには十分注意する必要があります。
今回述べたように、言語聴覚士が短時間デイサービスへ転職する際には「介護保険に関する知識」「コミュニケーション能力」の2つが特に求められます。そのため、もし短時間デイサービスへ転職したいと考えている場合は、この2つだけでも意識して勉強するようにしましょう。
また、短時間デイサービスの利用者さんには、目標が高い人が多い傾向にあるため、目標設定には十分注意しなければいけません。
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