理学療法士が訪問リハビリ・訪問看護の求人へ転職する仕事内容、年収

理学療法士が転職するとき、病院や診療所ではなく、訪問リハビリという選択肢もあります。患者さんの自宅に伺ってリハビリを実施するのです。

ただ、一言で訪問リハビリといっても、訪問リハステーションか訪問看護ステーションに転職するかで業務内容が変わってきます。また事業所によっては、高齢者だけでなく、成人や小児に対して訪問リハビリを実施することになります。

さらに、移動が車の事業所もあれば、バイク、自転車のところもあり、給料に関しても、固定の年俸制やインセンティブで、年収の額が大きく異なります。

このように、訪問リハビリの働き方や条件は多岐にわたります。そのため、訪問リハビリへの転職を検討しているなら「仕事内容」や「移動手段」「給料システム」など、さまざまなことを求人から読み取ることが大切です。

そこで今回は、訪問リハビリの仕事内容、年収、給料システムについて、実際の求人例を挙げながら詳しく解説します。

訪問リハビリにおける理学療法士求人の特徴

理学療法士が働く訪問リハビリの事業所には「訪問リハステーション」と「訪問看護ステーション」があります。訪問リハビリの求人で掲載されているのは、多くが訪問看護ステーションですが、訪問リハステーションの求人も存在します。

施設基準はもちろんのこと、求められる仕事内容もそれぞれ異なりますので、転職する前に違いを把握しておくことは大切です。

以下に、訪問リハステーションと訪問看護ステーションの違いと、求人の特徴について記します。

訪問リハステーションと訪問看護ステーションにおける求人の違い

訪問リハステーションとは「訪問リハビリ」を実施する事業所になります。訪問リハビリは、介護保険法によって「日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」と明確に定義されています。

その一方で訪問看護ステーションとは、正確にいうと「訪問看護」を実施する事業所になります。そのため本来の目的は、在宅におけるリハビリではなく看護です。訪問看護の場合、訪問者に関しても、看護師もしくは保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士と、リハビリ関連職は必須ではありません。

訪問リハステーションと訪問看護ステーションでは、求人の出し方も異なります。

なお訪問リハステーションは、訪問リハビリというより病院や診療所、介護老人保健施設で求人が出ています。訪問リハステーションには、病院、診療所(クリニック)、介護老人保健施設の併設が法律で義務付けられていることが関係しています。

例えば、以下は東京の訪問リハステーションの求人です。

一見すると介護老人保健施設の求人ですが、詳細を確認すると以下のように「訪問リハビリも開始し」とあります。

このように、訪問リハステーションの場合、基本的には病院やクリニック、介護老人保健施設の求人募集となっています。母体となる病院や診療所、介護老人保健施設があるため、訪問リハビリとしてではなく、病院やクリニック、介護保険施設の求人として出しているのです。

それに対して訪問看護ステーションでは、訪問リハビリとして求人が出ています。例えば、以下は埼玉にある訪問看護ステーションの求人です。

訪問リハステーションと違って、すぐに訪問リハビリの求人募集ということがわかります。訪問看護ステーションの事業は訪問サービスしかないため、こうした求人になっているのです。また、訪問看護ステーションの求人には「訪問看護」という文字が必ず入っているのも特徴になります。

訪問リハビリに転職するときには、こうした訪問リハステーションと訪問看護の求人の出し方の違いを理解しておきましょう。

訪問リハステーションの求人は病院と兼務の可能性が高い

訪問看護ステーションへ転職した場合、メインとなる事業が訪問サービスであるため、理学療法士が行う業務も基本的に訪問リハビリになります。

その一方で訪問リハステーションでは、メインの事業が病院や診療所、介護老人保健施設であるため、訪問リハビリはサブとなる可能性が高いです。例えば、「週4日は病院での勤務をして、1日だけ訪問リハビリを任せられる」という働き方になります。

そのため、求人にも訪問リハビリのことは小さくしか書いてありません。例えば、以下の神奈川県横浜市の求人はクリニックの求人として募集されています。

ただ、仕事内容を確認すると「訪問リハビリ・施設、個人宅にお伺いして」とあります。これはクリニックでの業務がメインではあるものの、訪問リハビリも兼務する可能性が高いということです。

また以下は沖縄の病院の求人になります。

これも表面上は病院の募集ですが、仕事内容に「病棟・外来・通所・在宅におけるリハビリテーション全般」とあります。

このように訪問リハステーションであれば、訪問リハビリだけでなく病院やクリニックなどの業務も兼務する可能性が高いです。もしあなたが訪問だけでなく、さまざまな業務との兼務を希望しているなら、病院や診療所、介護老人保健施設の求人で仕事内容を確認し、「訪問」「在宅」などの記載がある求人を見つけるようにしましょう。

その上で、転職エージェントを介して「受け持つ訪問リハビリの件数はどれくらいか?」などの具体的な業務内容を確認すると良いです。

仕事内容は介護保険を利用した高齢者の在宅リハビリがメイン

訪問リハビリの仕事内容は、基本的に在宅におけるリハビリになります。ただ、対象は介護保険を利用している高齢者から、医療保険を使っている小児までさまざまです。

ただ訪問リハビリにおける理学療法の主な対象者は、介護保険を利用している人になります。またその中でも、デイサービスや通所リハビリに通うことが難しい人がほとんどであるため、高齢で介護度が高い人が対象になります。

理学療法士の訪問リハビリにおける基本的な役割は、そのような利用者さんに対するリハビリになります。

以下は岐阜県の訪問リハビリの求人ですが、業務内容が詳しく書いてあります。

求人に書いてあるように、訪問リハビリの特徴は、病院ではできない、生活に直接つながるようなリハビリを行うことです。例えば、利用者さんが普段使用している椅子を用いて立ち上がり方の指導を行ったり、入浴動作および介助の練習を行ったりします。

(写真)

また利用者さん自身に対するリハビリだけではなく、家族の方に効率的な介護方法を教えるのも訪問リハビリの特徴です。他にも、手すりが必要そうなところがあれば、ケアマネジャーに提案します。

このように、実際の生活場面でリハビリしたり、家族や他職種の連携したりして利用者さんをサポートすることが、訪問リハビリの特徴だといえます。

成人・小児の訪問リハビリ求人もある

既に述べたように、訪問リハビリを提供している事業所の大半は、介護保険を利用している高齢者を対象としたサービスを実施しています。ただ、40歳未満の介護保険を利用していない小児、成人に訪問リハビリを行っている事業所もあります

医療保険を利用することで、40歳未満の成人、小児でも訪問リハビリを実施することができるのです。

例えば、以下は埼玉県にある訪問看護ステーションの求人になります。

成人や小児の訪問を行っている事業所は少ないため、成人や小児が対象であるなら、必ず求人内に「成人」「小児」という文言が記載されています。成人や小児と書かれていない求人は、ほぼ高齢者を対象としている事業所と考えてください。

ただ、理学療法士が行う業務内容は基本的には変わりません。利用者さんの年齢が異なるだけで、病院ではできない、生活に直接つながるようなリハビリを行うことです。

(写真)

しかし小児をメインとした事業所になると、小児分野を経験していた方が転職では有利になります。子供である本人とはもちろんのこと、両親との接し方など、細かい配慮が必要になるためです。そのため小児分野を経験していた方が歓迎されます。

例えば、以下は茨城にある小児を専門とした訪問リハビリ事業所の求人です。

小児を専門としている事業所は非常に珍しいですが、こうした求人は「小児分野経験者大歓迎」とあるように、小児経験者が有利になるのです。

訪問リハビリへの転職を考えているなら、高齢者だけでなく成人や小児を対象とした事業所があることも頭に入れておきましょう。

訪問リハビリの求人で確認すべきポイント

訪問リハビリへ転職するときには、訪問リハビリゆえに確認しなければいけない求人のポイントがあります。特に「書類作成における残業代」「利用者の家へ訪問する手段」の2つにおいては、必ず事前に求人から詳細を確認しておきましょう。

以下に、訪問リハビリにおける求人の確認ポイントを解説します。

時間外の書類作成で残業代は出るのか?

訪問リハビリでは、基本的に介護保険を利用している人が対象になるため、介護保険に関係した書類作成を行わなければなりません。

書類は、担当している利用者さん一人一人に必要な「報告書」と「計画書」を毎月作成します。私は訪問リハビリのパートで働いたことがありますが、この書類を作る作業や整理する作業が最も負担の大きいものだと感じました。

以下の東京の求人のように、計画書の作成が業務として記載されているところもあります。

ただ、計画書の作成は当然のことであるため、求人には記載していないことが多いです。

このとき注意しなければいけないのは「計画書を作成する残業代がどのように計算されるか?」ということになります。

計画書などの書類は基本的に、業務時間外で残業して作ります。訪問リハビリの求人には、この残業代を含めた給与を記載しているところが多いです。例えば、以下は熊本にある訪問リハビリの求人になります。

このとき注意しないといけないのは、残業時間と職務手当の2つです。

これだけ見ても、残業が約10時間あるということ以外は読み取れません。しかし実際に転職エージェントを介して詳細を確認すると「残業10時間分は職務手当に含まれている」とのことでした。

つまり計画書を残業して作成しても、10時間は残業代がプラスにならないのです。訪問リハビリの求人では、こうした計画書作成に伴う残業代に関して、手当に含まれているかどうかを事前に細かく確認しておく必要があります。

訪問する手段は車か自転車か?

訪問リハビリの求人を見るときには、自宅を伺う方法についても確認しておく必要があります。事業所によって移動手段が異なるためです。車での移動が基本になりますが、自転車やバイクという事業所もあります。

例えば、以下の訪問リハビリの求人は「電動自転車を使って」と明確に記載されています。

 

この場合、雨の日も自転車で訪問することを覚悟しておかなければいけません。実際に自転車で訪問をしている事業所では、雨天時はカッパを着て利用者さんの家まで行っています。

他にも、以下の求人のように車かバイクか選択できる事業所もあります。

この事業所であれば、バイクであれば事業所が用意してくれますが、車は自分の車を使うことになります。当然バイクだと、自転車と同じように雨の日に大変という覚悟が必要です。

(写真)

また自分の車を持ち込むときには「車両手当あり」と記載されています。簡単にいうと、ガソリン代などを手当として支払ってもらえるのです。ガソリン代などの手当てがどのように計算されるかを事前に確認しておきましょう。

ちなみに私がパートで働いていた事業所では、手当ではなく「車を事業所で用意してもらったときの時給」「自分で車を用意したときの時給(ガソリン代込)」という選択肢がありました。

具体的には、私は1件辺りの報酬という契約をしていましたので

  • 車を事業所が用意する場合:2500円/40分、3200円/60分
  • 車を自分で用意する場合:2800円/40分、3500円/60分

このように、自分で訪問する車を用意する場合、1件辺り300円プラスという提示がありました。

訪問手段やそれに付随する手当は各事業所によって異なりますので、求人で必ず確認してください。もし求人からだけではわかりづらければ、転職サイトの担当者に聞くようにしましょう。

理学療法士の訪問リハビリ求人の年収は?

なお理学療法士訪問リハビリですが、正社員の求人の年収にはどれくらいの年収が提示されているのでしょうか?これについては、病院よりも少し高いくらいと考えてください。

理学療法士の平均年収は400万円程度です。管理職や待遇が良い職場も含めての平均であるため、実際の求人は年収350万円前後が半数以上になります。訪問リハビリの求人では、これよりも少し高い年収が実現できます。例えば、以下は神奈川県川崎市の訪問リハビリの求人です。

正社員の月収が「月340,000円~」とあります。手当や交通費を含まれた額だとしても、年収は4,080,000円です。病院などの求人では、年収が400万円を超える求人はなかなかないので、理学療法士の求人の中では年収が高めだといえます。

また以下は、東京都杉並区の訪問リハビリの求人です。

この求人に関しては、年収は400万円どころか「500万円~」となっています。

このように、訪問リハビリにおける年収は400万円前後であり、中には500万円を超える高額求人も存在しており、理学療法士の求人の中では非常に高いと考えて良いでしょう。

訪問リハビリの高額求人はインセンティブ

ただ、年収が500万円を超えるような訪問リハビリの高額求人の大半は「インセンティブ」であることに注意してください。インセンティブとは歩合制のことであり、働いた分だけ給料が多くもらえるという仕組みです。

例えば、先ほど挙げた年収500万円を超す求人におけるインセンティブの仕組みは、以下のように記載されています。

この求人では、20分を1ポイントとして500円がインセンティブとして追加されるとあります。転職エージェントを介して詳細を問い合わせたところ、月に33件以上の訪問から、20分につき500円のインセンティブが加算されることがわかりました。

訪問リハビリにおける高額求人は、こうしたインセンティブであるケースがほとんどです。この求人でいうと、細かい計算は省きますが、月に60分の訪問が120件(360ポイント)を超えると、年収が500万円を超えます。

年俸制もしくは月給制など、あらかじめ給料が決まっている事業所であれば、いくら訪問の件数を頑張っても年収は上がりません。例えば、1日の訪問件数が5件であっても3件であっても同じ年収です。その一方でインセンティブを用いている事業所は、訪問件数が増えるほど年収も上がります

つまり、利用者さんからの紹介などで担当者が増えるように頑張れば、その分だけ年収を上げることができるのです。

ただ注意点は、インセンティブのシステムは各事業所によって異なるということです。そのため、インセンティブのシステムを用いている事業所への転職は、必ず事前に転職エージェントを介して詳細を確認しましょう。

訪問リハビリ求人で転職を成功させるためには

理学療法士として訪問リハビリへの転職を考える場合、事業所によって仕事内容や利用者さんの年齢層、移動手段、給与システムが異なるため、以下の点を考えて転職先を探さないといけません。

  • 訪問リハビリだけをやりたいのか?
  • どのような人を対象とした訪問リハビリをしたいのか?
  • 移動方法は何でも問題ないか
  • 年収はどれくらい欲しいのか?

こうした細かい希望を転職サイトの担当者に伝えて勤務条件を確認していけば、あなたの理想に近い転職先が見つかるはずです。

訪問リハビリといっても、求人によって転職内容は大幅に異なります。これらを理解した上で、あなたに合った転職先を見つけることで転職を成功させましょう。



リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。


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