理学療法士が養成校教員へ転職する条件とポイント、教員の給料

理学療法士(PT)の多くは病院や介護保険施設、クリニックといった職場で働いています。その一方で、専門学校や大学の教員として勤務している理学療法士もいます。
理学療法士の中にも、そのような理学療法士養成校の教員になりたいと考えている人は少なくありません。ただ多くの人は、学校教員として転職するために必要なことを知りません。そのため、「どのようにすれば教員になることができるのだろうか?」と悩んでいる人もたくさんいます。
そこで今回は、理学療法士養成校の教員として転職するためのポイントについて述べます。
ここでは、理学療法士養成校教員における「給料事情」「教員へ転職するメリット・デメリット」「教員になるための条件とポイント」の順で解説します。

理学療法士養成校教員の給料事情

理学療法士の養成校教員は、病院や施設などで働く理学療法士よりも収入が高い傾向にあります。以下に、理学療法士養成校教員の給料の実際について記します。

理学療法士養成校教員の給料は平均給与より高い

理学療法士として臨床で働く人の多くは、養成校の教員になると給料が高くなると考えています。実際、理学療法士養成校の教員における年収は、理学療法士の平均である390万円以上であるところがほとんどです
また当然ですが、教員として働く場合もあなたの理学療法士としての経験年数や実績、学位の有無によってもらえる年収は異なります。
ただ、いくら理学療法士養成校の教員は給料が高い傾向にあるといっても、以前と比べると全国的に下がってきています。これは、養成校の乱立や少子化が大きく影響していると考えられます。
そしていくら年収が高い傾向にあるといっても、養成校の教員であると急に業務外の仕事が入ることも少なくありません。
例えば、実習中の学生がトラブルを起こしてその対応を行なったり、学生の研究に関する相談を受けたりと、何かと業務外での仕事が急に入ることも少なくありません。そのことも含めての給料になりますので、仕事量を考えるとそこまで待遇が良いとはいえません。
このように、理学療法士養成校の教員は臨床で働くよりは年収が高い傾向にあります。しかし、時間外の仕事が入ることや、全国的には下がってきているということを理解しておいてください。

理学療法士養成校教員は年俸制が多い

理学療法士養成校の多くは、賃金の額を年単位で決める年俸制という形をとっています。一方、病院などで働いている理学療法士は、月給制に慣れている人が大半だと思います。
月給制に慣れている人の中には、年俸制というと「年に一回まとめてもらえるの?」と考える人もいます。いくら年俸制といっても労働基準法によって最低月一回は給料を支払うことが定められているため、基本的には年俸額を分割してもらいます。
年俸制には、このように年単位で賃金を決定するということ以上に特徴的なことがあります。それは、年俸額が前年度における業績の評価などに基づいて、あなたと上司による話し合いや交渉によって決まるということです
年俸制の特徴が最も現れているのが、プロ野球選手です。よくオフシーズンに新聞などで「交渉決裂」や「保留」などの文字を見ますが、これは年俸額の交渉結果を示したものです。
養成校の中にも、契約更新制度を取り入れて、年度ごとに給与内容の見直しを行っているところもあります。そのような場合、業務対応能力によっては契約を更新しない(退職勧告)というシビアな現実を突きつけられることもあるようです。
このように、年俸制はいわゆる成果主義の典型です。成果を出せば年俸額は上がりますし、逆に結果を残せなかった場合は下がります。そのような意味では、理学療法士養成校の教員は、臨床家よりシビアな仕事だといえます。

理学療法士養成校教員へ転職するメリット・デメリット

理学療法士養成校教員になると、病院や施設といった臨床で働く理学療法士とは、仕事内容も立場も異なります。そのため、理学療法士養成校教員へ転職することには、メリットとデメリットの両方があります。
以下に、理学療法士養成校教員へ転職するメリット・デメリットについて記します。

理学療法士養成校教員へ転職することで得られるメリット

理学療法士が養成校の教員になると、臨床で働いているときには得られないさまざまなメリットがあります。
そこで、以下に臨床家から教員へ転職した理学療法士が転職後に感じたメリットについて記します。
 ・自由に使える時間が多い
理学療法士養成校の教員になることで得られるメリットとして、多くの人が「一日の業務における時間の使い方に融通が利く」ということを挙げます。
臨床では患者さんや利用者さんの対応を行う上で、さまざまなことを考慮しながら綿密に時間を管理する必要があります。つまり、自分の都合ではなく周囲の環境に合せて時間を調整することが求められます。
その一方で理学療法士養成校の教員においては、基本的に一日に行う業務内容及び時間の管理を全てセルフマネジメントの下で行います。
そのため、自分でその日の仕事量をコントロールすることが可能となります。つまり、残業なく業務を終えて、大学院や勉強会、習い事など継続的な自己研鑽を行いやすい環境といえます。また、受け持ちの講義がない時間の使い方も、会議などを除けば自由になります。
このように、理学療法士養成校の教員になると「時間の使い方に融通が利く」というメリットがあります。
ただ、いくら自由といってもセルフマネジメントしなければいけないため、自分にかかる責任が強くなります。そのため、時間管理が苦手な人にとっては少々苦労する点かもしれません。
 ・理学療法士としての知識を整理する時間ができる
理学療法士養成校の教員は学生に指導を行う上で、必然的に自身の臨床経験のみならずたくさんの教科書や学術的文献に触れて理解を深めることが求められます。
そのため、学生に「教える」ことを通して自身の思考が整理されて、知識の定着化とともに、多角的に多くの学びを得ることができます。このことも、学校教員として働くことの魅力として挙げられます。
また、学校には臨床の現場では見ることができないような高価で性能の高い測定機器も多くあります。そのため、学術的な疑問や曖昧さを解決するために、目的に応じてデータを取り研究として理解をさらに深めることもできます。
つまり、教育現場での学びは、理学療法士の学生のみに限られたことではなく、理学療法士養成校の教員自身にとっても大変有意義なものであるといえます。
 ・社会的信用の向上
また教員という職業が与える社会的信用の高さは、理学療法士養成校の教員でも同じことです。
そのため、リハビリ関連の同業者はもちろんのこと、その他のさまざまな分野の人々との人脈づくりが行いやすくなります。さらに、勉強会における講師などの対外的活動を行う上でも、教員という肩書があるだけで理解を得やすくなります。
このことも、理学療法士養成校の教員として働くことのメリットだといえます。

理学療法士養成校教員へ転職することで起こりえるデメリット

理学療法士が養成校教員として働くことで、「時間の自由」や「知識の整理」「社会的信用の向上」というメリットを得ることができます。
ただ、教員へ転職するのは良いことばかりではありません。当然ながら、養成校の教員として仕事をする中では、臨床とは違った苦労を抱えることも少なくありません。デメリットというわけではありませんが、教員へ転職したいと考えている場合には、そうした教員の苦労話も知った上で選択することが大切です。
そこで、以下に養成校教員として働く中で、感じやすい苦労について記します。
 ・体の健康を損ないやすい
理学療法士養成校の教員として働く場合、どうしても臨床での仕事とは違いデスクワークが多くなります。基本的に講義以外の大半における時間は、授業教材や書類の作成などのパソコン作業を行うことになります。
臨床でも運動量がそこまで多いわけではありませんが、仕事中は立って動いていることがほとんどです。また患者さんを部屋まで送ったり、他の部署に報告に行ったりと、何かと動き回っていることが多いです。
そのため、理学療法士養成校の教員になると、どうしても臨床と比較すると運動不足になります。
また、終日に渡ってパソコン作業を行うようになるため、眼精疲労を伴いやすく、視力にも負担がかかりやすくなります。その結果、頚部痛や腰痛を引き起こしやすくもあります。
このように、理学療法士養成校の教員として働く場合、体の健康を損ないやすくなるというデメリットがあります。
 ・精神的ストレスが多い
また、デメリットというわけではありませんが、理学療法士養成校の教員ゆえに学生が抱える問題と対峙することが多くなります。その中には、予兆なく突発的な問題に対応しなければいけないこともあります。そのため、多大な精神的ストレスを受けやすくなることは否めません。
専門学校と大学では、指導形態の違いから学生の問題に対峙する幅には違いがあります。しかし、受け持ちクラスの全生徒が抱える悩みについて考えなければいけないということは、理学療法士養成校の教員として共通していることです。
理学療法士養成校に限ったことではありませんが、学生は十分な社会的解決能力を備えていないことがほとんどです。
そのため、人間関係における悩みや親子関係のもつれ、金銭トラブルなどのさまざまな問題を起こしやすいです。そのようなことの解決に、四六時中翻弄されるといっても過言ではありません。
個人的な面談機会を持つことで解決するケースもありますが、病院や警察への対応、社会的な謝罪対応が必要になる場合もあります。
特に実習中は、さまざまな個人的問題が出やすくなります。その際には、実習先に直接的に赴いて、学生への修正指導や施設側への謝罪対応などを行うこともあります。そのため、教員にはプライベートな時間も含めて、学生最優先で物事の判断と対応を行う行動力が求められます。
このようなことからも、理学療法士養成校の教員は身体的な疲労以上に精神的な負担を感じやすいといえます

理学療法士養成校教員へ転職するための条件・ポイント

理学療法士養成校教員への転職は、一般の病院や施設への転職とは転職できる条件や、押さえておくべきポイントが異なります。そのことを理解しておかなければ、教員への転職は失敗します。
以下に理学療法士養成校教員へ転職するための条件とポイントについて記します。

理学療法士養成校の教員になるための条件

理学療法士の教員として働く場としては、専門学校と大学という2つの選択肢があります。ただ、どちらも就職するためには満たさなければいけない必要条件があります。
専門学校でも大学であっても、理学療法士の教員として必要になる条件としては「理学療法士の免許を取得していること」と「理学療法士としての臨床経験が5年以上であること」の2つが挙げられます。これらは、教員として働くための基本となります。
そのため、理学療法士として臨床経験が5年に満たない人は、どれだけ能力が高くても教員として勤めることはできません。
また、専門学校の場合は、今述べた2つの条件を満たしていれば教員として転職することができます。その一方で、大学となると、それだけでは就職することができません。
大学の教員として働く場合は、以上に挙げた「PT免許」と「臨床経験5年以上」という2つの条件に加えて「学士」を取得していることが必要になります。具体的には、助教授であれば「学士」以上、講師や准教授では「修士」以上、教授は「博士」以上の学位を持っていることが求められます。
つまり、専門学校を卒業しただけであれば、大学で教員として働くことはできません。それは、専門学校では学位を取ることができないためです。
学士を取るには大学へ通う必要があり、修士や博士を取得するためには大学院で修士、博士課程を修了しなければいけません。実際に、将来的に大学で教員として働きたいと考えて、臨床で働きながら大学院へ通っている人は多くいます。
このように、理学療法士養成校の教員として働きたいと考えている場合には、以上のような条件が求められることを理解しておいてください。

理学療法士養成校教員として転職するためのポイント

理学療法士養成校の教員として働きたい場合、既に述べたような条件を満たした上で、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。条件をクリアしていれば誰でも養成校の教員として働くことができるかというと、そうではありません。
例えば、専門学校における教員の場合、基本的には公募は行われません。つまり、ハローワークや求人サイトで専門学校教員の求人を見つけることは難しいといえます。
理学療法士の専門学校教員で公募が行われないのは、教員として働くためには教育に対する熱意や指導実績、人としての社会的信頼が求められるためです。
そうしたことから、専門学校の教員には、その専門学校を卒業生した人の中から選考したり、専門学校の関係者とつながりがある人や対外的に臨床での評判が高い人などから選ばれたりすることが多いです。
つまり、理学療法士養成専門学校の教員へ転職したいと考えている場合、転職につながる人脈と情報収集が必要不可欠だといえます。
例えば、専門学校の非常勤講師を引き受けたりすることで、教育経験を持つことができます。また、講習会などに積極的に参加し、専門学校につながっている関係者との交流を持つことも人脈形成には必要になります。
こうした病院以外での積極的な活動を行うことが、専門学校の教員として転職するためには大切になります。
このように、理学療法士養成専門学校における教員として働きたい場合は、基本条件に加えて以上のポイントを押さえておくことが大切です。
一方で大学教員の場合、専門学校と違い公募による採用が基本となります。理学療法士養成大学の教員として働くためには、専門学校と異なり研究実績が重視されます。そのため、人脈などではなく、客観的に評価されるような業績を残していることが重要になります。
例えば、「どのような学会で研究を発表してきたか?」「どれだけの数の研究を行ってきたか?」などは、評価されるポイントとなります。
同じ理学療法士養成校の教員といっても、専門学校と大学では求められるポイントが違うということを理解しておいてください。
そして既に述べたように、理学療法士の養成校教員へ転職する人の多くは、知り合いからの紹介です。特に、ハローワークや求人サイトなどで養成校教員に関する求人情報を手に入れることは、かなり難しいといえます。
ただそうした中でも、理学療法士専門の転職サイトであれば、養成校教員の求人案件を扱っているところもあります
具体的には、「マイナビコメディカル」と「MEDFiT」「PTOT人材バンク」の3つは、理学療法士養成校教員の求人情報を持っています。しかしそうはいっても、養成校教員の求人案件は数がかなり限られているため、転職サイトに登録しても必ず紹介してもらえるとは限りません。
それでも、転職サイトを活用することで、あなた自身で求人情報を探すよりも、養成校の求人情報ははるかに見つかりやすくなります。
そして、養成校への転職を希望している場合には、より求人案件を紹介してもらえる可能性を高めるためにも、マイナビコメディカルとMDEFiT、PTOT人材バンクの3つ全てに登録するようにしてください。
当然ながら、1つだけに登録しているより3つを同時に活用した方が、養成校の求人案件を紹介してもらえる可能性が高くなります。
こうしたことから、理学療法士養成校の教員へ転職を希望している人は、マイナビコメディカルとMEDFiT、PTOT人材バンクの3つへ登録することをお勧めします。
今回述べたように、理学療法士養成校教員の仕事は、病院や施設などと異なるため、得られる収入や、転職するメリット・デメリットも違います。
また、理学療法士養成校の教員として働くためには、基本条件に加えて以上のポイントを押さえておくことが大切です。また専門学校と大学では、必要な条件だけでなく、求められることも異なるということを知っておいてください。
そして基本的には、養成校の教員は知り合いからの紹介で決まることがほとんどです。ただその中でも、マイナビコメディカルとMEDFiT、PTOT人材バンクの3つの転職サイトであれば、養成校教員の求人情報を得ることができる可能性があります。
その一方で、ハローワークや求人サイトでは、ほとんど養成校教員の求人情報は得ることができません。
そのため、理学療法士の養成校教員へ転職を検討している人は、ぜひマイナビコメディカルとMEDFiT、PTOT人材バンクの3つへ登録して、養成校教員への転職を成功させてください。
ただし、マイナビコメディカルを利用する際には、対応地域を確認した上で登録するように注意してください。


「マイナビコメディカル」の対応地域

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