言語聴覚士(ST)の働く場として、総合病院やデイサービス、保健関連施設、教育関係施設などさまざまなところがあります。そしてそのような現場で、コミュニケーションや摂食、嚥下などの機能に障害を持った人を支援します。
このように、同じ言語聴覚士でも働く場所や求められる役割は人それぞれ違います。しかし、どのような職場や立場であっても言語聴覚士として必ず学んでおくべきことがあります。
そこで今回は、言語聴覚士として勉強しておくべきことについて述べます。
解剖学
言語聴覚士がリハビリを行う対象者は年齢を問わず、摂食や嚥下、言語などに障害がある人が主になります。このような障害は、顔面や口腔内、喉といった首周りの器官が担っている機能に問題があることで生じます。
例えば、話すために必要な顔面の筋肉や舌が麻痺していることで発声が障害されると、スムーズに話をすることができなくなります。
このような体の機能は、その役割を担っている器官の構造が正常であるかによって大きく変わります。例えば、顔にある筋肉が損傷するなど筋肉の構造に問題が生じると、表情を作ったり口を開けたりするという筋の役割は障害されます。
言語聴覚士はそのような障害された体の機能に対して、上手く働かせることができるようになることを目標にリハビリを行います。
このとき、リハビリの効果を十分に出すためには、体の機能を理解しておく必要があります。先ほども述べたように、器官の造りが正常に保たれていることで、適切に機能することができます。そのため、まずは体の正常な構造を知っておくことが大切です。
そしてそのような体の構造を知るためには解剖学を勉強する必要があります。
以上のような理由から、言語聴覚士であれば、特に首周りに関する解剖学は誰でも勉強すべきことだといえます。
脳神経学
解剖学と同様に、脳神経学も言語聴覚士であれば必ず学んでおく必要がある分野です。
今まで述べたように、言語聴覚士がリハビリを行う対象となる人は、顔面や口腔内、喉といったような首周りの機能に障害を持った人がほとんどです。
そして、そのような顔面から首にかけての筋肉や器官の多くは、脳神経によって働きがコントロールされています。そのため言語聴覚士は、首周りの器官に関する解剖学だけでなく、それらを調整している脳神経についても詳しく学ぶ必要があります。
また、言語聴覚士のリハビリ対象となる患者さんは、大半が「脳血管疾患」に関連した診断名が付けられてリハビリが処方されます。つまり、言語聴覚士が対応するほとんどの患者さんは、脳神経系に障害を持った人になります。
以上のような理由から、言語聴覚士であれば脳神経学を学んでおくことは必須であるといえます。
今回述べたように、言語聴覚士として働く場所や求められる役割は人それぞれです。しかし、解剖学と脳神経学は、言語聴覚士であれば誰でも学ばなければいけないものです。どのような職場に転職しても困らないように、この2つの学問だけは必ず勉強しておくようにしましょう。
解剖学と脳神経学をしっかり学んでおくと、転職先の選択肢も広がるはずです。
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