女性理学療法士の給料事情!年収を上げる転職求人を見つけるポイント
女性理学療法士(PT)が転職するとき、男性と比べて多くのことについて考えなければいけません。
例えば給料の問題です。女性理学療法士は男性理学療法士と比較して、平均年収が低い傾向にあります。ただだからといって、理学療法士の転職求人における給料に性差はありません。
理学療法士における給料の性差は、ライフイベントや管理職の有無によるものが大きいです。結婚や妊娠・出産で一度現場を離れる女性と比べて、男性は管理職になりやすいため、必然的に給料も高くなります。
また女性が結婚後に転職するときには、ライフイベントを考慮した転職活動をすることが大切です。転職時期や働き方次第で、産休や育休中の手当や給付金が支給されなくなる可能性があるためです。
ただ一度現場を離れてブランクがある女性であっても、転職先によっては高収入を得ることもできます。そのためには、女性理学療法士の転職に関する知識を身につけておくことが必須になるのです。
そこで今回は「女性理学療法士(PT)の給料事情!年収を上げる転職求人を見つけるポイント」について解説します。
もくじ
転職求人における女性理学療法士の給料・年収は低いか?
女性の理学療法士が転職を考えるときに「女性は男性と比べて給料や年収が低いかどうか?」が気になる人もいます。世間一般的に、男性の方が給料が高いというイメージがあるからです。
しかし実際には、理学療法士が転職するときに性別による年収の差はありません。理学療法士の基本的な業務であるリハビリは、性別によって売上が変わらないためです。例えば以下は、東京にある脳神経外科クリニックの理学療法士求人になります。
給与の欄を確認すると、給料や賞与、昇給は男女で分けて書かれていません。他の求人も同様であり、性差による年収の違いが記載されている求人はないのが現状です。
先に述べたように、理学療法士の基本的な業務内容に男女差はありません。そのため求人において給料に差があると「同じ仕事なのに何で?」となります。もし求人で男女差をつけてしまうと、性差別をしていると捉えらる可能性が高いです。
このように理学療法士の転職求人において、男女差で給料や年収が異なることはありません。
30歳を超えると男性理学療法士の方が年収は高い
ただ求人では同じ年収であっても、実際には女性よりも男性理学療法士の年収が高い傾向にあります。管理職としてキャリアアップするのは、女性より男性が圧倒的に多いからです。
女性の場合、結婚や妊娠、出産に伴って一度仕事を離れる人がたくさんいます。そうなると、どうしてもキャリアアップには不利になってしまい、管理職になりにくいです。その一方で男性は、女性と比べて仕事を離れるライフイベントが少ない分だけ、キャリアアップして管理職になりやすい傾向にあります。
管理職となれば役職手当が付くため、その分だけ男性の年収が高くなりやすいのです。例えば以下は、2019年の賃金構造基本統計調査で報告されている理学療法士の男女による給料の違いになります。
出典:2019年賃金構造基本統計調査
表中の「きまって支給される現金給与額」が月収になります。比較してみると、20代における月給に大きな男女差はありません。25~29歳における月給は男性理学療法士が27万2,000円、女性理学療法士が26万2,000円であり、1万円程度の差になっています。
それが30~34歳になると、男性理学療法士の月収が29万6,000円であるのに対して女性は27万5,000円です。同じ年齢なのに男女で月収が2万円以上も差が出るのです。
これは、先に述べた男女によるキャリアアップの違いが表れている結果だといえます。
男性理学療法士には、30歳前後になると管理職となって給料が上がる人が増えます。その一方で女性理学療法士は、20代半ばから後半にかけて結婚や出産で一度現場を離れる人が多いです。当然、ブランクから復職して管理職になる可能性は低いですし、転職して年収が下がる人もいます。
このように理学療法士の転職求人自体に男女差はありませんが、30歳を超えると平均年収には男女差が出てくるのが現状です。
女性理学療法士の平均年収は?
なお女性理学療法士における平均年収はどれくらいになるでしょうか? 同じように、2019年の賃金構造基本統計調査を使って女性理学療法士の平均年収を算出します。
出典:2019年賃金構造基本統計調査
女性理学療法士は、平均年齢が33歳です。平均月収が27万5,000円、平均賞与額が63万5,000円となっています。これを元に年収を計算すると、女性理学療法士の平均年収は以下のようになります。
(月収27万5,000円 × 12ヶ月) + 賞与63万5,000円 = 393万5,000円 |
ちなみに、男性理学療法士の平均年収は416万円となっています。全体平均年収はは、男女で20万円も差がありません。先に述べたように30歳代は月収に2万円の違いがありました。
表を確認するとわかりますが、男女によって年収に大きな差が出るのは30代がピークであり、その後は徐々に小さくなります。その結果、平均年収の差も30代のときほど広がらずに狭くなるのです。
このように女性理学療法士の平均年収は男性よりは低くなりますが、そこまで大きな差はないと考えてください。
女性理学療法士は転職前にライフイベントを意識すべき
ここまで述べたように、女性理学療法士は結婚や妊娠、出産の影響で男性理学療法士と比較すると年収が上がりにくい傾向にあります。
また女性が転職をするときには年収の影響はもちろんのこと、結婚や妊娠、出産などのライフイベントを考えることが大切です。ライフイベントを無視した転職は、産休や育休時はもちろんのこと、復職したときの苦労につながる可能性があるため注意しましょう。
女性で結婚前であれば、産休と育休、復職を見越した転職先選びをすることが重要です。
産休・育休を考慮した転職を考える
女性理学療法士が結婚後に妊娠・出産すると、産休や育休を取るのが一般的になります。産休や育休時には働くことができませんが、生活するためのお金が支給されます。産休や育休時に支給される手当には「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」の3つがあります。
これから妊娠や出産を考えているなら、これら産休や育休時に支給される手当について理解しておくことが大切です。
・出産育児一時金
出産育児一時金は、出産に伴って支給されるお金になります。健康保険(国民健康保険でも可)に加入していれば、出産後に40万円前後の一時金を受け取ることができます。
出産時には、入院費や分娩費などで約40~50万円の費用が必要になります。もし何も補助がなければ、子供を一人生むために何十万というお金を用意しなければいけなくなるため、ためらう人が多くなります。そうした事態を防ぐために、出産にかかる費用として一時金を支給することで補っているのです。
出産一時金に関しては、自分自身で保険に加入してても、家族の扶養に入っていても支給されます。
・出産手当金
出産手当金とは、出産に伴う産休中に支給される手当です。妊娠・出産時には、出産予定日の6週間前(双子や三つ子など、多胎妊娠の場合は14週間前)から産休を取得することができます。また、産後8週間は女性を就業させてはならないとされています(労働基準法第65条)。
このときは働いていないため、当然ながら給料は支給されません。産休中の給料を補うために支給されるのが出産手当金です。
出産手当金は、健康保険に加入している人が対象になります。パートやアルバイトでも、健康保険に加入していれば支給されます。以下のような「本人(被保険者)」と書いてある青い保険証をもっていれば、支給対象になります。
その一方で家族の扶養に入っていたり、国民健康保険であったりする場合には出産手当金が支給されません。ちなみに、出産手当金の額は「給料(社会保険の標準報酬日額) × 2/3 × 産休の日数」という計算で決まります。
・育児休業給付金
また出産手当金支給対象期間(産後8週以降)にも育児休暇として仕事を休む場合、育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は、雇用保険の加入者が対象になります。また育児休業給付金を受け取るためには「育児休業前の2年間で、月に11日(週3日)以上勤務した月が12ヶ月以上」が条件です。
例えば、結婚して週2日のパート勤務で働いていたとします。そこで妊娠・出産すると育児休業給付金は支給されないのです。規定の日数(週3日)を満たしてないためです。また2年以上専業主婦をしており、妊娠までに働いた期間が1年未満でも同じであり、支給されません。
自営などで国民健康保険で雇用保険に入っていない場合も支給対象外となります。
また育休を取得しなかったり、育休後に退職予定であったりする人も、育児休業給付金は支給されません。ちなみに、育児休業給付金の支給額は以下のように算出されます。
- 育休開始から180日:月給の67%
- 育休開始から180日後以降:月給の50%
このように、出産手当金や育児休業給付金は勤務年数や勤務日数、保険加入状況によって支給されない場合もあります。そのため結婚して転職するときには、妊娠や出産、産後の生活も考慮した上で働き方を考えるようにしましょう。
理学療法士の強みを活かして女性で高収入を得る方法
ここまで述べたように、女性理学療法士はどうしても妊娠や出産でキャリアが止まるため、年齢を重ねるごとに男性と比較して年収が低くなります。ただ働き方次第では、妊娠や出産で一時的にブランクがあっても高収入の職場へ転職することは可能です。
まず、病院やクリニックの正社員で働く場合は高収入を得るのは難しいと考えてください。病院やクリニックで高収入を得るためには、管理職になることが必須です。一般職であれば、平均的な年収になります。
例えば以下は、兵庫県にあるクリニックの理学療法士求人です。
年収が344万円であり、一般的な理学療法士の年収を提示した求人になります。ブランクがあっても、350万円前後の求人であれば簡単に見つけることは可能です。これくらいの年収で十分なのであれば、性別を気にする必要はありません。
ちなみに病院やクリニックで高収入であるのは、以下のような管理職募集の求人になります。
管理職の求人であれば、年収500万円以上を狙うことも可能です。ただ基本的に管理職募集の求人は、管理職経験があり、なおかつ長年続けて働いてくれる人を求めています。
そのため、既にブランクがあったり、未婚で結婚や出産の可能性があったりする場合は、管理職の求人で採用される可能性は低いと考えてください。
女性で高収入を狙うなら訪問リハビリ
理学療法士求人の中でも、出産や育児のブランクに関係なく高収入を得られる職場もあります。特に訪問リハビリの事業所であれば、女性で管理職をしなくても高収入の転職となる可能性が高いです。
訪問リハビリは1件辺りの介護報酬額が高く事業所の売上が上がりやすいため、給料を高めに設定している事業所が多い傾向にあります。
例えば以下は、東京にある訪問リハビリの理学療法士求人です。
求人にあるように、年収が465万円からとなっています。理学療法士求人の平均的な年収が350万円前後と考えると、非常に好条件の求人といえます。
こうした年収が高い求人であれば、妊娠や出産などの理由で管理職になれなくても、高収入を得ることができるのです。
女性理学療法士には時短正社員もお勧め
また育休後で子供のことを考えて「収入は高い方がいいけど正社員ほど長い時間を働きたくない」というのであれば、パートではなく時短正社員という働き方がお勧めです。時短正社員とは、1日6時間など働く時間は短いけど正社員として扱われる働き方になります。
パートであれば働く時間は融通が効きますが、社会保険加入や賞与などの福利厚生を受けられない可能性が高いです。
その一方で時短正社員であれば、福利厚生を受けながら早く帰ることができます。例えば以下は、訪問リハビリ事業所における時短正社員募集の理学療法士求人です。
週30時間以上の勤務で常勤(正社員)として扱われます。しかも、月給も30万円は保証されるのです。
5日間出勤すると考えると、1日の勤務時間は「週30時間 ÷ 5日 = 6時間」となります。正社員で給料保証もあって福利厚生も受けられて、1日6時間勤務であれば子育て中は非常に楽になるでしょう。
もちろん、たくさん働いて給料をもらいたいのであれば、仕事を増やせばその分だけ収入を上げることもできます。こうした柔軟な働き方ができるのが、時短正社員になります。
このように、女性理学療法士であれば時短正社員も高収入を得られるお勧めの働き方の一つです。
女性理学療法士が転職で失敗しないためには
ここまで述べたように、女性理学療法士(PT)の給料や年収は男性理学療法士と比較すると少ないのが現状です。妊娠や出産というライフイベントによって、男性よりも管理職になる人が少ないことが影響しています。
女性理学療法士が転職するときには、給料だけでなくライフイベントも考えて転職することが大切です。産後の働き方によって、結婚後に転職するタイミングや勤務時間、日数を考えないと、産休や育休に影響することになります。
産後に専業主婦になるのか復職するかで、結婚後の働き方を考えるようにしましょう。
また結婚や妊娠・出産というライフイベントを挟んでも、女性理学療法士が高収入を得ることは可能です。役職でなくても高収入が得られる訪問リハビリへ転職すれば、ライフイベントでのブランクがあっても高い年収を達成できます。
さらに時短正社員という働き方であれば、育児の時間を確保しながら正社員として仕事をすることも可能なのです。
このように女性理学療法士は給料や年収のことはもちろんのこと、特に結婚後はさまざまなことを考慮して転職活動をしなければいけないのです。ぜひ女性理学療法士としての働き方をしっかりと考えて、転職を成功させるようにしましょう。
リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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