スポーツ整形・スポーツトレーナーの理学療法士求人へ転職するコツ
スポーツ整形への転職を希望している理学療法士(PT)はたくさんいます。多くの人が理学療法士を目指したきっかけが自分自身の怪我であり、その経験を活かしてスポーツトレーナーとして働きたいと考えているからです。
ただ、スポーツ整形の理学療法士求人は非常に少ないです。また、転職した後に「想像していた仕事とは違った」という話もよく聞きます。一言でスポーツ整形といっても、大半の業務は高齢者のリハビリであるところが多いためです。
さらに、スポーツトレーナーとして働きたいと思ってスポーツ整形に転職したのに、スポーツトレーナーとしての仕事が全くできていないという人もいます。
これは「スポーツ整形」という名前だけで転職先を選んだ結果起こるものです。スポーツ整形といっても業務内容や特徴はそれぞれで異なるため、求人を正確に読み取った上で転職先を選ばないと失敗することになります。
そこで今回は、「理学療法士(PT)がスポーツ整形への転職で失敗しない求人の見方」について、実際の求人を使いながら解説します。
もくじ
スポーツ整形の理学療法士求人と仕事内容
スポーツ整形で理学療法士の求人を出している病院は、クリニックだけでなく総合病院などもあります。どちらもスポーツ選手を対象としていることは共通していますが、それぞれの職場で仕事内容は違います。
またスポーツリハビリといっても、病院だけでなく高校や大学、企業の部活のチームに帯同しトレーナーとして活動することもできます。
そのため、まずはスポーツ整形において「どのような求人があるのか?」「実際のスポーツ整形ではどのような仕事内容になるのか?」を理解しておくことが大切です。
そこで以下に、スポーツ整形における理学療法士の求人と仕事内容について解説します。
スポーツ整形外科の仕事は半分以上が高齢者へのリハビリ
スポーツ整形というと、大半はクリニック(診療所)の求人になります。スポーツリハビリというと、手術する必要がない怪我をした選手のケアが主な対象となるためです。
例えば、以下は静岡にあるスポーツクリニックの理学療法士求人になります。
「スポーツ障害指導」とありますが、クリニックでスポーツ選手のリハビリとなり、怪我をした選手のケアがメインとなります。
例えば、「練習中に足を捻挫したサッカー選手のケア」「試合で肩を痛めた野球選手のリハビリ」などです。そのため、怪我の修復や痛みの緩和を目的とした徒手療法や物理療法、競技復帰に向けたパフォーマンス向上を目的とした運動療法などの知識と技術が求められます。
スポーツ整形に転職した理学療法士の仕事は、こうした「怪我をしたスポーツ選手のサポート」というのが一般的なイメージが強いはずです。
しかし実際には、スポーツ選手ばかりを担当する職場は少なく、スポーツ整形といっても半分以上は高齢者のリハビリであるのが現状です。例えば、以下は名古屋のスポーツ整形のクリニック求人の詳細になります。
求人票には「術後の急性期から慢性期、介護、スポーツ整形まで幅広く対応」とあります。このように大半のスポーツ整形は、スポーツ選手だけでなく高齢者のリハビリも実施します。
具体的には、午前中~夕方は高齢者、夕方以降にスポーツ選手というのが一般的になります。学生のスポーツ選手は学校に通っているため、夕方以降しか来院できないからです。
私が広島で勤めていた整形外科クリニックは、県内でも有数のスポーツクリニックであり、スポーツ選手の受診数は相当なものでした。それでも、午前中~夕方までは9割以上が高齢者のリハビリでした。
つまり、1日中スポーツ選手だけを担当できる病院はほぼないと考えておきましょう。そのためスポーツ整形といっても、スポーツ選手だけでなく一般的な整形外科疾患に対するリハビリの知識や技術も求められます。
「想像していたよりもスポーツ選手との関わりが少ない」とならないように、転職サイトの担当を介して「どういった年齢層の患者さんが多いのか?」を確認しておきましょう。
スポーツトレーナーとしてチーム帯同の可能性もあり
またスポーツ整形へ転職すると、高校や大学の部活のトレーナーとして帯同できる職場もあります。
実際に、私が広島で勤めた整形外科クリニックでは、理学療法士の半数以上がスポーツトレーナーとして高校や大学の部活に帯同していました。中には、日本代表やプロチームのトレーナーとして活躍していた先輩もいました。
理学療法士でスポーツトレーナーというと、こうしたチームへの帯同を希望している人が多いです。
チームの専属トレーナーとして帯同するとき、現場で「練習や試合当日のケア」「パフォーマンス向上に向けたトレーニング指導」などを実施します。また選手が怪我をした場合、トレーナーが勤める病院を受診して病院でその選手のリハビリを担当します。
そのため、一般的なリハビリの知識はもちろんのこと、理学療法士の大学や専門学校では習わないテーピングやトレーニングなどの知識・技術も求められます。
ただ、こうした部活のチームに帯同できるかどうかについて、求人に記載してあることはほとんどありません。病院でチーム帯同を支援しているところが少なく、大半は業務時間外で自分の時間を使って活動しているためです。
トレーナー活動自体は認めてもらっても、業務外でやるように言われる職場がほとんどになります。高校や大学のトレーナー活動自体が、ほとんど病院の利益にならないことが関係しています。
私が広島で勤めていたクリニックも、業務終了後や休日を使ってトレーナー活動をしていました。つまり、自己研鑽のためにボランティアで行くことになります。そのため、もしあなたがスポーツトレーナーとしてチームに帯同したいのであれば、そのことを覚悟しておいてください。
また、既にトレーナー活動をしているスタッフがいるかどうかも重要になります。同僚になった人がトレーナー活動をしていれば、一緒に行かせてもらえる可能性があるからです。
正直、全く高校や大学、企業のスポーツチームとつながりがなく、トレーナー活動をするのはかなり難しいです。
そのため、必ず事前に転職サイトのエージェントを介して「スポーツトレーナーとしての活動が認められる」「トレーナー活動をしているスタッフがいる」などを確認するようにしましょう。
病院のスポーツリハビリ求人は術後のケアがメイン
先に述べたように、スポーツ整形というと基本的には整形外科クリニックの求人になります。手術後ではなく、通院する選手のケアがメインとなるためです。
ただ、中にはスポーツ選手の手術が多く、手術をした選手のリハビリを実施している病院の理学療法士求人もあります。例えば、以下は神奈川にある総合病院の求人です。
スポーツ選手の手術となると、求人にあるようにACL(膝の靭帯)損傷やアキレス腱断裂といった怪我が多いです。病院のスポーツリハビリであれば、クリニックとは違って手術直後のリハビリを担当することになります。
より競技復帰に向けてパフォーマンス向上が求められるクリニックとは違い、病院では手術で生じた痛みや可動域制限の改善に対する知識・技術が求められます。
もしあなたが「スポーツ選手の手術直後のリハビリに携わりたい」と考えているなら、総合病院など、クリニック(診療所)以外の求人を探すようにしましょう。
スポーツ整形への転職に資格は必要ない
なおスポーツ整形というと、スポーツに関する特別な資格が必要と考える人も多いです。しかし実際には、スポーツ整形への転職で理学療法士以外の資格が求められることはありません。診療報酬上、理学療法士の資格があれば問題ないためです。
例えば、以下は千葉県にあるスポーツ整形の理学療法士求人になります。
「新卒可」「理学療法士免許」とあるように、理学療法士の免許さえあれば、それ以外の資格は求められていないことがわかります。
スポーツに関する資格というと「AT(アスレチックトレーナー)」「CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)」「NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)」などがあります。ただ先に述べたように、これらの資格があっても診療報酬には全く関係ないため募集のときは求められないのです。
研修が充実したクリニック求人を見つけて転職すべき
資格が必要ないとはいえ、スポーツ整形へ転職する際には学ばなければいけないことがたくさんあります。スポーツ選手のケアとなると、高齢者のリハビリと求められる知識・技術が異なるためです。
例えばサッカー選手を担当した場合、サッカーに必要な動作獲得のリハビリをしないといけないため、サッカー競技について勉強しなければいけません。また、テーピングが求められることもあるため、テーピングの巻き方も覚える必要があります。
こうしたときに、自分自身で勉強会などに参加して新たに学ぶのもありでしょう。ただ、教育が充実している職場へ転職すれば、転職先で知識や技術を教えてもらうことができます。
例えば、以下は兵庫にあるスポーツクリニックの理学療法士求人になります。
「教育体制万全」「技術研修の場をたくさん設けている」と転職後の教育を推している求人になります。スポーツリハビリの経験がない人でも、転職後に必要な知識や技術について教えてもらえるのです。
自分自身でセミナーに参加して学ぶより、教育が充実している職場へ転職して教えてもらった方が確実に良いでしょう。一緒に患者さんをみながら、かつ継続的に指導してもらえるため、効率的に知識・技術を身につけることができます。
スポーツ整形へ転職した理学療法士の年収
なおスポーツ整形における理学療法士の年収ですが、正社員でどれくらいが一般的なのでしょうか? これについては、一般的な病院やクリニックと同じくらいと考えてください。
理学療法士の一般的な年収は350万円前後です。訪問リハビリの高額求人や管理職者募集の求人では年収400~500万円を超えるものもありますが、病院やクリニックは年収300~400万円が相場です。スポーツ整形も同じくらいの年収になります。
例えば、以下は神奈川県横浜市のスポーツクリニックの理学療法士求人です。
月給が25万円として、クリニックの賞与は高いところでも1年で基本給の3ヶ月分です。さらに、交通費が上限の2万円支給されると仮定すると年収は、
27万(交通費2万円込) × 12ヶ月 + 17万円 × 3ヶ月 = 375万円 |
上記のようになります。年収が300万円後半なので理学療法士の中では良い方の求人です。
理学療法士がこのようにスポーツ整形へ転職するときは、年収は300~400万円と考えておきましょう。
ちなみに、トレーナー活動をしたからその分だけ手当がつく職場はほぼないので、それも頭に入れておくといいです。
理学療法士がスポーツ整形への転職を成功させる
スポーツ整形の理学療法士(PT)求人はクリニックがメインであり、術後であれば総合病院や整形外科病院などもあります。またスポーツ整形をしている職場には、理学療法士の資格さえあれば問題なく転職できます。
ただ、他の求人と比較してスポーツ整形の理学療法士求人は数が非常に少ないです。
さらに、スポーツ整形といっても高齢者のリハビリがメインであるところも多いです。また専属トレーナーとしてチームに帯同できるかは、求人情報から読み取るのは困難ですし、チームに帯同するとしても条件(業務内か業務外か)は病院によって異なります。
そのため、もしチームへの帯同を希望しているなら、転職サイトのエージェントを介して必ずチーム帯同の有無や条件を確認しましょう。こうしたスポーツ整形の現状を把握した上で転職活動を行い、理想の職場への転職を成功させるといいです。
リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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