脳神経外科の理学療法士求人における仕事内容、メリット、注意点

理学療法士(PT)として、脳神経外科の分野で働きたいと考えている人は多い傾向にあります。
脳卒中などの中枢疾患は理学療法士の腕次第で患者さんの状態が大きく変化するため、強いやりがいを感じている理学療法士も多いことでしょう。

ただ脳神経外科といっても、働く場所によって理学療法士の役割が異なってきます。
また脳神経外科における理学療法士求人は、平均的な年収よりも高い傾向にあります。
しかし賞与や福利厚生によって年収額は大きく変わるため、必ず月収だけでなく賞与や福利厚生も含めた給料を考えなければいけないのです。

そこで今回は脳神経外科の理学療法士さんの仕事内容やメリット、注意点について解説します。

もくじ

脳神経外科の理学療法士求人と仕事内容

一言で脳神経外科といっても、理学療法士の仕事内容は働く病院によって大きく異なります。理学療法士の転職求人が出ている脳神経外科は、以下の3つに分けられます。

  • 急性期の脳神経外科病院
  • 回復期の脳神経外科病院
  • 脳神経外科クリニック

それぞれで仕事内容や求められる役割が違いますので、以下に解説します。

急性期のリハビリなら脳神経外科病院

脳梗塞や脳出血などの急性期のリハビリに関わりたいのであれば、脳神経外科病院へ転職する必要があります。基本的に病気が発症してすぐの急性期は入院することになるため、クリニックではなく入院施設が備わっている病院になるのです。

例えば以下は、神奈川県横浜市にある脳神経外科病院の理学療法士求人になります。

こうした急性期病院では、脳梗塞や脳出血発症後、もしくは手術後すぐの患者さんに対するリハビリが理学療法士の役割になります。

脳卒中の急性期では積極的な運動などのリハビリではなく、再発予防や廃用の予防などを中心に行います。例えば、医師の指示の元に座位姿勢をとる練習をしたり、関節が硬くならないように関節可動域訓練をしたりします。

基本的には病室のベッド上で可能なリハビリを実施します。発症後数日は病態が安定していないため、無理な運動を実施しない方が良いのです。急性期に無理な運動をすると、運動麻痺や痛みが強くなってしまう可能性があります

そのため、急性期を過ぎて状態が落ち着いてからリハビリ室での積極的なリハビリを実施することになります。

このように急性期の脳神経外科病院では、リスク管理をしながらできるだけ廃用が起こらないようなリハビリを行うことが求められるのです。

回復期病院は積極的なリハビリを実施

急性期が過ぎて状態が安定した後は、回復期病棟に移ります。このとき入院した病院が急性期専門の病院であれば、回復期病棟がある病院へ転院することになります。ただ理学療法士が転職する脳神経外科病院は、急性期も回復期も備えているケースが多いです。

例えば以下は、愛知県にある脳神経外科病院の理学療法士求人になります。

ケアミックス病院は急性期も回復期も、維持期も全て備わっています。しかし求人には「回復期中心」とあり、対象も脳血管疾患が最初に書いてあるため、脳血管疾患の回復期をメインとした病院だと考えられます。

脳血管疾患の回復期病棟におけるリハビリは、積極的な機能改善、日常生活動作の獲得になります。例えば、運動麻痺の影響を抑えながら歩行訓練をしたり、トイレに一人で行けるようにトイレ動作訓練をしたりなどです。

在宅や仕事復帰に向けて積極的にリハビリを実施することが、回復期病棟における理学療法士の主な仕事内容です。

また作業療法士や言語聴覚士、ケアマネージャーなどと情報交換を行い、生活全体を考えたリハビリプログラムを行うことも回復期病棟の理学療法士には求められます。

リスク管理と廃用予防が中心の急性期病棟とは違い、在宅・仕事復帰に向けて機能・能力向上に向けた積極的なリハビリを行うのが回復期病棟になります。

脳神経外科クリニックは慢性期のリハビリ中心

脳神経外科の理学療法士求人には、数は少ないですがクリニックの求人もあります。脳卒中発症後に在宅復帰した患者さんが、自宅から通ってリハビリを実施するのが脳神経外科クリニックです。

例えば以下は、神奈川県にある脳神経外科クリニックの理学療法士求人になります。

求人にあるように、脳神経外科クリニックでは慢性期の脳卒中患者さんへのリハビリがメインになります。クリニックでのリハビリ対象は、急性期や回復期病棟でのリハビリを終えて在宅復帰している患者さんであるためです。

クリニックに通う脳卒中の患者さんは「日常生活は送れているがもっとスムーズに歩けるようになりたい」「家には帰れたけれども仕事に復帰するのが難しい」などの理由でリハビリを行います。そのためクリニックでの理学療法士によるリハビリは、レベルが高い運動や動作訓練が求められるのです。

例えば、歩行を安定させるための体幹トレーニングや、仕事で必要な細かい手指の動きを獲得するための動作訓練などを実施します。

このようにクリニックの脳神経外科では、急性期や回復期では行われないようなレベルが高いリハビリを求められるのです。

脳神経外科求人における理学療法士の給料・年収

なお脳神経外科における理学療法士求人の給料や年収はどれくらいでしょうか? 理学療法士求人の平均年収は350万円であり、脳神経外科求人の給料は平均よりも少し高めだと考えてください。

例えば以下は、先ほど挙げた大阪にある脳神経外科病院の理学療法士求人です。

求人票から基本給は19万円、職務手当が2万5,000円、その他手当が1万5,000円、通勤手当が上限5万円、家族手当が配偶者1万円、残業、皆勤手当てが5,000円となっています。結婚して子供がいない理学療法士と想定して算出すると、年収は以下のようになります。

(基本給19万円 + 職務手当2万5,000円 + その他手当1万5,000円 + 通勤手当5万円 + 家族手当1万円 + 残業、皆勤手当て5,000円) × 12ヶ月 + (基本給19万円 × 賞与3.0ヶ月) = 411万円

理学療法士の平均的な求人の年収が350万円と考えると、好条件の求人だといえます。このように脳神経外科の理学療法士求人は、平均よりも少し高めの年収になります。

年収は賞与、福利厚生によって大きく変わる

ただ注意しなければいけないのは、年収は賞与と福利厚生によって大きく変わるということです。同じ脳神経外科の求人であっても、賞与と福利厚生が高い職場ほど給料は高くなります。

例えば以下は、埼玉県にある脳神経外科の理学療法士求人です。

基本給は19万円であり職務手当や資格手当も4万5,000円であるため、先ほど年収を計算した求人と月給自体は同じです。ただ、この求人は住宅手当がある上に、賞与(ボーナス)が3.5ヶ月分と少し高めになっています。

先ほどと同じで「結婚しているけれども子どもがいない」という条件(わかりやすく扶養手当は5,000円)で年収を計算すると、以下のようになります。

基本給19万1,000円 + 資格手当3万円 + 調整手当5,000円 + 皆勤手当1万円 + 通勤手当5万円 + 住宅手当1万5,000円 + 扶養手当5,000円) × 12ヶ月 + (基本給19万1,000円 × 賞与3.5ヶ月) = 434万500円

月収が同じでも、先ほどの求人よりも年収が約20万円高いのです。このように、脳神経外科病院の理学療法士求人を探すときには、賞与や福利厚生に着目すれば高収入の求人が見つかりやすくなります。

脳神経外科の理学療法士求人を探すときの注意点

ここまで述べたように脳神経外科の理学療法士求人を探すときには「病院(急性期、回復期)かクリニックか?」を考えた上で、賞与(ボーナス)や福利厚生が良い求人を探すと、条件が良い希望に合った求人を見つけることができます。

ただ脳神経外科の理学療法士求人を探すときには、他にも注意しなければいけないことがあります。特に以下の3点は脳神経外科の転職活動において、意識すべきポイントです。

  • クリニックの求人は少ない
  • 休日数が少ない求人がある
  • デイケアや訪問リハビリの兼務を任せられる可能性がある

以下にそれぞれについて解説します。

脳神経外科クリニックの求人は少ない

脳神経外科のクリニック求人は、急性期や回復期の病院と比較すると非常に少ないです。退院後に継続的なリハビリが必要な場合、入院した病院の外来リハビリに通ったり、介護保険施設を利用したりするためです。

例えば以下は、理学療法士の求人サイトで「脳神経外科 理学療法士」と検索した結果になります。

全国で130件の脳神経外科に関する理学療法士求人があります。その一方で「脳神経外科クリニック」のキーワードで検索すると、以下のような結果になります。

検索結果として、全国で求人が3件しかありません。脳神経外科だけでの検索が130件という結果と比較すると非常に少ないことがわかります。

先に述べたように脳血管疾患の患者さんで退院後にリハビリが必要な人は、新しいクリニックではなく入院していた病院か介護保険施設を利用します。そのため、そもそも外来で脳血管疾患に対するリハビリを実施しているクリニックが少ないのです。

もし外来の脳血管疾患の患者さんに対するリハビリをしたいのであれば、脳神経外科の病院で外来を実施している求人を探した方が効率的です。例えば以下は、大阪にある脳神経外科の理学療法士求人になります。

求人にあるように施設種別は急性期病院ですが、仕事内容に「入院及び外来における理学療法士としての業務」とあります。この病院では、入院も外来も実施しているため、退院後の脳血管疾患の患者さんを外来で担当できる可能性が高いのです。

ただ外来に勤務できるかどうかは、求人先に問い合わせてみないとわかりません。そのため病院の外来勤務を狙っているなら、必ず転職サイトの担当エージェントを介して外来勤務ができるかどうかを確認しましょう。

このように脳神経外科クリニックの求人は非常に少ないため、求人が見つかりにくいのです。

極端に休日数が少ない求人がある

また脳神経外科の理学療法士求人には、年間の休日数が極端に少ない求人もあります。祝日の扱い方が病院によって異なるためです。

例えば以下は、大阪の脳神経外科クリニックの理学療法士求人になります。

この求人は、年間休日数が120日とあります。月換算で考えると「120日 ÷ 12ヶ月 = 10日」となり、週2日の休み(月8~9日)とは別に年末年始やお盆などに休みがあると考えられます。その一方で以下は、同じ大阪にある脳神経外科クリニックの求人です。

この求人では年間休日数が96日とあり、1ヶ月辺りの休みが「96日 ÷ 12 = 8日」となります。夏季休暇日や年末年始休暇日とありますが、これらの休みも含めての月8日(約週2日)の休みとなるのです。

1年で20日以上も休日数が少ないとなると「約1ヶ月余計に働いている」くらい勤務日数が多いになります。年間休日数が120日以上の職場と100日以内の職場で働いた私の経験からいうと、休日数が109日より少ないと休日数が少なく感じます。

このように、脳神経外科の求人には極端に休日数が少ない求人があることには注意してください。

通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリの兼務もあり

脳血管疾患の患者さんをメインとしている病院やクリニックでは、併設されているデイサービスやデイケア、訪問リハビリでの兼務を任せられることが多いです。患者さんの生活全体を考えたサービスを提供するために、さまざまな施設を併設しているのです。

例えば以下は、長崎県にある脳神経外科クリニックの理学療法士求人になります。

求人の業務内容に「クリニック、デイケアでのリハビリ業務全般、送迎あり」と記載があります。これはクリニックだけではなく、デイケアでのリハビリも兼務しなければいけないということです。

また病院でも、デイケアや訪問などと兼務を任せられる求人もあります。例えば以下は、大阪にある脳血管疾患に特化したケアミックス病院の理学療法士求人です。

求人の仕事内容に「通所リハビリセンターがあり、今後そちらへ移動となる可能性もあります」「8月より訪問リハビリも開始しております」とあります。

このように脳神経外科のクリニックや病院では、デイケアや訪問リハビリの兼務を任せられる可能性があるのです。このとき重要なのは「病院とクリニック、デイケアと訪問のどちらがメインとなるか?」ということになります。

脳血管疾患の患者さんのリハビリをしたいと思って転職したのに、デイケアや訪問リハビリの勤務がメインとなってしまう可能性があるためです。

そうしたことを避けるためにも脳神経外科病院やクリニックへ転職する前には、必ず配属先や勤務割合、転勤の有無などを確認するようにしましょう。

理学療法士が脳神経外科求人への転職を成功させるには

脳神経外科の理学療法士求人へ転職するときには、主に以下の4点を必ず確認することが大切です。

  • 病院(急性期、回復期)かクリニックか?
  • 賞与(ボーナス)や福利厚生は良い求人か?
  • 求人先の年間休日数は何日か?
  • デイケアや訪問リハビリとの兼務はないか?あるならどれくらいか?

脳神経外科の理学療法士求人は、勤務場所(病院か外来、デイケア、訪問)がわかりづらいです。また年収も月収額だけで考えずに、賞与や福利厚生を含めて考えないと大きく見誤ってしまうことになります。

そうならないようにするためにも、以上の点を意識して転職活動を行い、あなたの希望に合った脳神経外科の理学療法士求人への転職を成功させましょう。

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リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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