理学療法士の新卒から7年間の源泉徴収票(年収・給料)公開!【退職金まで全公開】

ネット上では「リハビリ職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の給料は安い」「年収が上がらない」「退職金が少ない」など様々な記事がありますが、実際の細かい数字は公開されていません。

今回、知人理学療法士(以下:理学療法士A君)の7年間の給与明細、源泉徴収票をお借りしました。

この記事では、理学療法士A君の源泉徴収票を見てもらいながら7年間の年収を公開していきます。ここまで詳細に年収を掲載している記事はないので、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)はぜひ参考にしてください。

※今後は理学療法士A君の毎月の給与明細を公開しながらリハビリ職の給料を徹底に解析したり、昇給額の公開もしていく予定です。ぜひ、楽しみにしていてください。

もくじ

理学療法士A君のプロフィール

公開する理学療法士A君のプロフィール

性別 男性
職種 理学療法士(PT)
就職時年齢 21歳(新卒)
雇用形態 正社員
勤続年数 7年間(H22年4月〜H29年3月)
養成校 3年制の専門学校
家族構成 独身

勤務先病院の情報

所在地 九州
病床数 約100床
備考① 大学卒・専門学校卒での給料の差なし
備考② 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で給料の差なし

 

新卒から7年間の年収(源泉徴収)の公開

上記のようなプロフィール・病院情報になっています。では、さっそく年収を公開していきます。

新卒1年目(21歳) 231万4,082円

低すぎてビックリしないでください。これには事情があります。源泉徴収は、1月1日〜12月31日の間の給与を記載しているため、1年目の源泉徴収票は初任給(5月)〜12月までの8ヶ月分の給与の合計となっています。

その上、ボーナス(賞与)も少なく、このような年収額となっています。

理学療法士A君の場合、夏のボーナスは10万円支給されましたが、1年目の夏のボーナスは支給されない職場もあります。冬のボーナスになると、ほとんどの職場で支給されるようになります。

ちなみに、初任給は感謝の意を込めて祖母に1万円をプレゼントしたところ、お礼で1万円を貰ったそうです(笑)。

※源泉徴収票について、よく年度単位(4月から3月まで)と勘違いしている人がいるので、間違えないように注意してください。

 

2年目(22歳) 336万7,023円

ここからがしっかりと1年分の年収で分かりやすい指標となります。

どうですか?2年目の理学療法士の「336万円」という年収、人それぞれ感じ方は違うと思います。理学療法士A君のこの時の感想としては「少ないな〜」と感じていました。しかし、異業種で働く友達と比較したら高い年収だったため安心感もあったそうです。

2年目からは、同期の中でも能力に応じてボーナス額の差があったそうです。ボーナス額については、病院・施設によって基準が異なるため就職・転職の際は確認が必要です。

リハビリ職におけるボーナス額の査定基準

  • 経験年数
  • 年齢(年功序列)
  • 能力(自己評価シート・上司評価)
  • 学会発表
  • 職場内勉強会講師(職場貢献度)
  • 役職(チームリーダーも含む)
  • 資格(認定療法士など)
  • 勤務態度

基本的には上記のような査定基準となっています。中には、年齢(年功序列)のみでボーナス額が決定する病院・施設もあるため、入職前に必ず確認するようにしましょう。

 

3年目(23歳) 343万8,051円

2年目と比較して年収7万円アップ。

月に換算して約5,800円アップ(厳密にはボーナス額が上がっているので月の昇給額はもっと低い計算となります。理学療法士A君の月の昇給額をまとめた記事も給与明細と合わせて近日公開予定!)。

リハビリ職あるあるですが、この頃になると養成校の同期卒業の仲間と給料を比べるようになります。理学療法士A君の場合、他病院・施設に就職した療法士(PT・OT・ST)と比較すると毎月の給料は高くて喜んでいましたが、ボーナス額の差があり年収で比較すると低かったそうです。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の業界では「とりあえず3年」という考えが根付いています。「転職したくてもとりあえず3年は働け」という迷信です。皆さんも3年目の時は少なからず意識しませんでしたか?

理学療法士A君の場合、この時期には転職は考えていませんでしたが、この迷信に苦しむ新卒(1年目)・2年目の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が多いようです。ハッキリ言いますが、その迷信は古い考えです。終身雇用制度が崩壊し、「成果主義」へと移行している現代においては、すぐにでも自分の能力を最大限発揮できる職場に転職するべきです。

硬い話になりましたが、続いて理学療法士A君の4年目の年収を見ていきましょう。

 

4年目(24歳) 346万3,928円

3年目と比較して年収3万円アップ。

「3万円!?」と驚いた方も多いでしょう。昇給とボーナスを含んで3万円です。理学療法士A君は、この頃になってやっと「リハビリ職は異業種と比較して昇給額が少ない」と気づいたそうです。

4年目になると養成校の同期卒業の療法士(PT・OT ・ST)には年収400万円を超える療法士が出てきます(地域にもよりますが、理学療法士A君の地域では4年目の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で年収400万円は高い方)。

この頃の理学療法士A君の状況として、PTとして新卒から4年間も働いたのに貯金は20万円程。勉強と遊びで給料は消えていったそうです(ほとんど遊びらしいです笑)。同期入社のOTの貯金額が200万円と聞いた時にさすがに焦りを感じ、「資産運用」についての勉強を始めたそうです。

 

5年目(25歳) 367万6,275円

4年目と比較して年収21万円アップ。

大幅に上がりましたね!理由としては、この年からチームリーダーを任されたそうです。役職ではないため「役職手当」はつきませんが、ボーナス額が上がりました。

さぞかし喜んだかと思いきや、この頃の理学療法士A君には深刻な悩みがあったそうです。それは、「結婚を考えている看護師の彼女よりも給料が低い」ということです。これを読んでいる女性には理解できない悩みかもしれませんが、男性にとっては大きな問題です。実はこの悩みを抱えている男性の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は多いようで、これが原因で結婚に踏み出せないこともあります。

では、実際にリハビリ職と看護師の給料の差を見てみましょう。

医療分野・介護分野両方において、リハビリ職(PT・OT・ ST)よりも看護師の方が給料が高い傾向にあります。基本給は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が高い場合もありますが、夜勤手当を含めると看護師の方が高い給料となります。

理学療法士A君はこの頃から「転職」を考え始めたそうです。

しかし、転職という始めての経験は中々うまくいきません。ましてや、給料(年収)の高い職場を自分で見つけるのには限界があります。条件に合った職場を見つけることができず、結局ズルズルと今の職場でPTとして働くことになったそうです。

 

6年目(26歳) 369万6,085円

5年目と比較して年収2万円アップ。

2万円・・・。雲行きが怪しくなってきました。

7年目を見てみましょうか。

 

7年目(27歳) 362万1,526円

6年目と比較して年収4万円ダウン。

・・・。

昇給額が少ないとはいえ、年収ダウンはビックリです。

また、新卒(1年目)PTの時は異業種で働く友達と比較した場合高い年収でしたが、この頃には逆転していたそうです。下図は、「理学療法士・作業療法士」と「全産業」の年代別にみた月の給与額のグラフになります。

20代では、「理学療法士・作業療法士」が「全産業」よりも高い給料ですが、30代からは逆転し「理学療法士・作業療法士」の方が低い給料となっています。年齢が上がればその差も大きくなっていくことが分かります。

3年間みっちり専門学校で勉強して、キツイ実習に耐えてやっと理学療法士になれたのに、高卒で営業職や工場で働いている友達よりも少ない給料という事実を知った時は愕然としたそうです。異業種は昇給額が高い上に、営業職はインセンティブ制度、工場では夜勤手当が支給されるため、年収は他業種よりも低くなっていく現実があります。

理学療法士A君は7年目の夏頃から本格的に転職活動を開始しました。8件の病院に見学に行き、給与面や働き方について話をしましたが条件にあった職場は見つからず、どんどん疲弊していきました。

そんな中、リハビリ職専門の転職サイトがあることを知り、始めてリハビリ職専門転職サイトに登録したそうです。転職サイトのアドバイザーは非公開の求人も把握しているため、非公開求人の中から理学療法士A君の条件(給料や働き方など)に合った職場に見事に転職できました(複数の転職サイトに登録しましたが、最終的に転職先が決定したのはマイナビ→マイナビの登録手順)。

転職先の病院の給料は約430万円(初年度)で、理学療法士A君は年収が大幅にアップすることとなりました。現在は、結婚してお子様もおられます。

「年収がアップしたことで躊躇せずに結婚に踏み込めた」と笑顔で話してくれました。

さて、最後は気になる理学療法士A君の「退職金」についてです。新卒(1年目)から7年間理学療法士として勤務した場合、どのくらいの退職金になると思いますか?

早速見ていきましょう。

 

退職金 59万1,000円

新卒(1年目)PTから勤続年数7年間で59万円という退職金となりました。

皆さんの印象はどうですか?

一般的な退職金の計算式は、次のようになっています。

退職金=退職時の基本給×勤続年数×給付率(※)

※給付率の相場:自己都合の場合「0.6」、会社都合の場合「0.7」

 

理学療法士A君の場合(自己都合での退職)

退職金=退職時の基本給(19万6,000円)×勤続年数(7年)×給付率(0.6)

82万3,200円円になる計算でしたが、あくまでも相場の計算式です。実際には職場独自の計算式となるため、相場よりも低い59万円という結果となりました。

いかがでしたか?これから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を目指す学生にはやや残酷な記事だったのかもしれません。ただ、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士でも高収入の職場はまだあります。
【関連記事】

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の年収(給料)について源泉徴収を公開しながらここまで紐解いた記事はなかなかありません。

今後も、理学療法士A君の毎月の給与明細や昇級額についての記事や、その他の療法士の年収(給料)についての記事も公開していくので、リハビリ職(PT・OT・ST)の皆さん楽しみにお待ちください!

→第2弾


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リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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