言語聴覚士(ST)は病院やクリニックだけでなく、特別支援学校やことばの教室などの教育機関でも活躍しています。
ただし、教育現場で働くためには医療機関とは異なる条件や役割が求められるため、転職を考える際には注意が必要です。
この記事では、特別支援学校で言語聴覚士が働く条件やメリット、注意点を、2025年の最新情報とともに詳しく解説します。
言語聴覚士(ST)が特別支援学校で働くには?

言語聴覚士が活躍できる教育機関には以下のような種類があります。
- 特別支援学校(旧:養護学校・ろう学校)
- ことばの教室
- 教育センター
この中でも、特別支援学校で常勤教員として勤務する場合には「特別支援学校教諭免許」が必要となります。
▶ 対象となる障害区分
- 知的障害
- 身体障害
- 視覚・聴覚障害
- 病弱・虚弱児
教育機関で働くSTには、医療専門職としての役割に加えて、子どもたちの成長を支える教員としての視点が求められます。
なお、「ことばの教室」や「教育センター」では、教員免許が必須ではないケースもあります。職場選びの際は、求人情報をしっかり確認しましょう。
言語聴覚士(ST)が特別支援学校の教員として働く条件
言語聴覚士が転職する教育施設には、ことばの教室や教育センター、聾学校などの特別支援学校といったものがあります。
この中でも、特に転職したいと考えたときに注意しなければいけない職場は「特別支援学校」です。
特別支援学校とは、以前は「養護学校」や「ろう学校」と呼ばれていたものです。
そして特別支援学校は、障害児を対象とした教育機関です。
そのため、特別支援学校で正社員として働く場合は、「特別支援学校教員」の資格が必要です。
具体的には、以下のような障害を持った子供が対象となります。
・知的障害
・身体障害
・聴覚障害
・視覚障害
・病弱
このように特別支援学校で働く場合には、障害を持った子供に対して、リハビリの専門家である言語聴覚士としてだけでなく、学校の教員として関わるようになります。
特別支援学校は、言語聴覚士が働く教育機関の中では比較的求人数が多い方ですが、言語聴覚士の資格だけでは転職することができないということだけは注意して下さい。
ちなみに、その他の教育施設であることばの教室や教育センターへ転職するためには、特別支援学校のように特別な資格は必要ありません。
言語聴覚士(ST)が教育機関で働くときの注意点
言語聴覚士が特別支援学校や教育センターといった教育施設で働く場合、言語聴覚士としての専門性だけでなく教育者としての役割も果たさなければいけません。
そのため、病院や介護保険施設、社会福祉施設などといった職場で働く場合と違ったことが求められることになります。
具体的には、言語聴覚士として言語聴覚機能の向上を図ることはもちろんのこと、適切な表現方法の指導など教育も兼ねた取り組みが必要になります。
つまり、教育施設で働く言語聴覚士に求められる能力は、抱えている障害を改善するだけではありません。
問題を抱えた上で、「どのようにして周囲の人とコミュニケーションを図っていくか」というような表現力を獲得させることも言語聴覚士の役割になります。
いくら言語機能が改善しても、相手の気持ちを考えることができなければ、上手くコミュニケーションを図ることはできません。
例えば、成人して職に就いたときに、職場内のスタッフに苦手な人がいたとします。
仕事をしていく上では、そうした人たちともコミュニケーションを取らなければ、スムーズに業務を行うことはできません。
もし、このときに対人関係のスキルがないと、苦手な人と上手く付き合うことができずに、仕事を続けることができなくなるかもしれません。
そして、このような対人関係における能力は、子供のときに身に付けておかないと、大人になってから社会に適応できないようになる可能性があります。
以上のように、教育施設で働く言語聴覚士には、「リハビリテーションの専門家としてだけではなく、教育者としての役割を求められる」ということに注意しなければいけません。
そのため、専門的なこと以外に関しても学ぶべきことが多いということを理解しておいてください。
言語聴覚士(ST)が教育機関で働くメリット
言語聴覚士が教育機関へ転職する際には、満たさなければいけない条件があったり、教育者としての役割が求められたりすることを知っておく必要があります。
こうしたことは、大変なことでもありますが、「さまざまなことを学べる良い機会」ということもできます。
また、言語聴覚士として教育機関で働くことには、いくつかのメリットがあります。特に、「残業が少ない」「休みが安定している」「激務でない」ということは、女性が多い言語聴覚士にとっては魅力的な利点だといえます。
そこで以下に、言語聴覚士が教育機関で働くメリットについて記します。
言語聴覚士が働く教育機関は残業が少ない
言語聴覚士として教育機関に転職するメリットの一つとして、「残業が少ない」ということが挙げられます。
特に言語聴覚士の場合、資格所有者の大半が女性であるため、家庭と仕事の両立を希望している人は多いです。
そのような人にとって、「定時で帰宅できる職場」というものは魅力のあるものです。
教育機関は、主に先天的な障害を抱えているような子供に対して、言語聴覚訓練などを行う施設です。
このような教育機関では、一般的な学校などと同じように勤務時間が決まっているため定時に帰宅しやすい職場だといえます。保護者や学校の先生などとのコミュニケーションを取るような時間は必要ですが、病院などと比較すると書類や雑務などでの残業は少ないです。
残業が少なく定時で帰宅できることは、教育機関で働くことで得られるメリットの1つだといえます。
言語聴覚士が働く教育機関は休みが安定している
特別支援学校やことばの教室といった教育機関は、基本的には土日や祝日などが休みになります。
そのため、教育機関での言語聴覚士の仕事はプライベートの時間を確保しやすいといえます。
例えば、病院や施設であれば、患者さんや利用者さんが、入院・入所しているため、土日祝日などに関係なくリハビリを行わなければいけないところが多いです。
その一方で、特別支援学校などの教育機関は、子どもが対象となるため、一般の学校と同じように土日祝日などは基本的に休みになります。
このように教育機関で言語聴覚士として働くと、「土日祝日が休みである」というメリットがあります。
言語聴覚士さんが休日をしっかりと取れる職場を探すための具体的な方法についてもまとめています。
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言語聴覚士が働く教育機関は激務ではない
教育機関における言語聴覚士の業務は、仕事内容自体もそこまで忙しくないことが多いです。
言語聴覚士が働く場として、病院だけでなく、デイサービスや老人保健施設などの高齢者関連施設があります。
そのような高齢者関連施設では、介護職員の人手が不足しているところがほとんどです。
そのため、言語聴覚士としての役割だけではなく介護職員としての働きも求められます。
さらにそのような施設のほとんどは、多数の利用者や入所者に対して1~2人しか言語聴覚士が在籍していません。
その結果、求められる仕事量も必然的に多くなるため激務となります。
一方で教育機関であれば、言語聴覚士としての専門的な知識に加えて教育者としての役割も求められますが、仕事量自体は多くないところがほとんどです。
確かに、教育機関での仕事は保護者とのコミュニケーションや相談業務など、精神的なストレスがかかりやすくはなることは事実です。
また子供が対象であるため、対応の仕方にもとても気を使う必要があります。
しかし教育機関での仕事は、高齢者関連施設と比較すると、仕事量自体は明らかに減ります。
そして先ほども述べたように、残業も少なく休日も確保できるため、激務と感じる人は少ないです。
このように、教育機関における言語聴覚士の仕事には、激務になりにくいというメリットがあります。
今回述べたように、言語聴覚士が特別支援学校やことばの教室といった教育機関へ転職するためには、クリアしなければいけない条件や注意点があります。
その一方で、「残業も少なく休日が安定しており、激務になりにくい」という教育機関ならではのメリットがあります。
そのため教育機関は、家庭との両立を図る女性の言語聴覚士にとっては非常に働きやすい職場だといえます。
ただ、このような教育機関は求人情報が少ないため、インターネットでの探索だけでは見つからない場合が多いです。
そのような場合には、転職サイトに登録することをお勧めします。
転職サイトには、一般には公開されていないような「非公開求人」がたくさんあります。
そのため、このような教育機関の求人情報も得やすくなります。
こうしたことから、言語聴覚士として教育機関で働きたいと考えた場合は、ぜひ転職サイトを活用することをお勧めします。
教育機関求人は少ない?転職を成功させる方法
教育機関で働く言語聴覚士の求人は、求人数が非常に限られています。
多くの場合、公的機関の採用や非公開求人として扱われているため、ネットで検索しても見つかりにくいのが現実です。
そのため、医療・福祉職専門の転職サイトに登録するのが必須です。
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まとめ|教育機関はSTにとって働きやすい選択肢のひとつ
特別支援学校やことばの教室など、教育機関で働くSTには多くのメリットがあります。
- 教員免許が必要な場合もある
- 教育者としての視点が求められる
- 残業少なく、休日も安定
- 業務量が適度でワークライフバランスが取りやすい
家庭や子育てと両立したい方、激務から離れて専門性を活かしたい方には非常におすすめの職場です。
ただし、求人は少なく、一般には出回っていないケースが多いため、転職サイトの活用が転職成功のカギです。
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