理学療法士の総合病院転職における求人情報やメリット、年収
理学療法士(PT)として総合病院へ転職したいと考える人は多いです。総合病院とは、複数の診療科がある病院だと考えてください。
総合病院で働くと、さまざまな疾患の患者さんを担当できたり、他職種との連携が取りやすかったりというメリットがあります。こうして知識や経験の幅が広がるのは、総合病院で働く大きなメリットだといえます。
ただ総合病院における理学療法士の求人は、メインとなる診療科がわかりにくい傾向にあります。そのため「総合病院だから…」と考えて安易に転職先を決めたら、自分自身が担当したかった疾患のリハビリができないというミスマッチを起こしかねないのです。
総合病院への転職を考えているなら、転職する際の注意点について把握しておくことが大切になります。そこで今回は「理学療法士の総合病院転職における求人情報やメリット、年収」について解説します。
もくじ
理学療法士が転職する総合病院の求人の探し方
総合病院は、元々は「病床数100床以上で主要な診療科(内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科の5科以上)を含む病院」と医療法で規定されていました。しかし1996年の医療法改定時に廃止され、実際には総合病院という明確な定義は無くなってしまったのです。
ただ以前の名残からか、総合病院という名前はいまだに利用されています。実際に理学療法士の中でも「総合病院へ転職したい」という人は多いです。
それでは、理学療法士が考えている総合病院とはどのような病院を指すのでしょうか? 大半の人がもつ総合病院のイメージは以下の2つになるはずです。
- 病院の規模が大きい(病床数が多い)
- 複数診療科がある
ただ「総合病院」という名前で求人が出ていることは少ないので、探す際には注意が必要になります。総合病院への転職を希望しているなら、特に病院にある診療科は必ず確認するようにしましょう。
総合病院の求人は必ず診療科を確認する
総合病院には診療科がわかりにくい求人が多いです。例えば以下は東京にある病院の求人になります。
求人から「急性期病院」であることは理解できますが、何科があるのか全くわかりません。つまり、これだけではあなたが担当してリハビリを実施する患者さんの疾患や特徴がわからないのです。詳細を確認すると、以下のように「診療科目」として小さく記載されています。
診療科目を確認するときは、メインとなる診療科が先に書かれていると考えてください。つまりこの総合病院のメインは「内科疾患」「呼吸器疾患」であり、理学療法士の主な役割は内科疾患や呼吸器疾患の患者さんに対する急性期のリハビリと考えることができます。
そのため、もしあなたが「整形外科や脳血管疾患の患者さんのリハビリをしたい」と考えているなら、この求人へ申し込んではいけないことがわかるはずです。
もし整形外科や脳血管疾患の患者さんを担当したいのであれば、以下のような記載がある求人を選ばなければいけません。
求人票の詳細に、主な疾患層が「整形外科/脳神経外科/消化器内科/内科/形成外科」とあります。さらに施設基準として「脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)」「運動器リハビリテーション料(Ⅰ)」と記載されています。この情報から読み取れるのは以下の2点です。
- 整形外科と脳神経外科、消化器内科、内科、形成外科の診療科がある
- 理学療法士が主に関わるのは脳神経外科と整形外科
あなたが「脳血管疾患と整形外科疾患のリハビリに主に関わりたい」というなら、こうした求人に申し込むことが大切になります。
このように総合病院の求人は、診療科や担当する患者さんの疾患はわかりにくいです。そのため、求人の詳細もしくは転職サイトの担当エージェントを介して必ず事前に確認するようにしましょう。
理学療法士が総合病院で働くメリット
総合病院で働くと、他の病院とは違ったメリットがあります。特に、以下の3つは総合病院で働く大きなメリットです。
- 経験と知識の幅が広がる
- 幅広い職種の人と関われる
- 福利厚生が充実している
以下に、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
複数診療科があるため経験の幅が広がる
理学療法士として総合病院へ転職すると、幅広い分野に関する知識を学んで経験することになります。総合病院だと複数の診療科があるため、さまざまな疾患の患者さんのリハビリを担当するためです。例えば、以下は東京にある総合病院の求人になります。
求人票の施設基準を確認すると、呼吸器と運動器、脳血管障害の患者さんを担当することがわかります。また職員体制として摂食・嚥下専門のスタッフを配置しているため、摂食と嚥下に力を入れていることが明らかです。
こうした総合病院であれば、メインは呼吸器疾患の患者さんに対する摂食・嚥下に関わるリハビリになります。ただ、それだけでなく運動器疾患や脳血管障害の患者さんなど、さまざまな疾患の患者さんを担当することになるのです。
そのため必然的に一つの疾患だけでなく、複数の疾患について学んで知識を得ることになります。
このように、さまざまな診療科の患者さんを担当する機会があることは、理学療法士として総合病院へ転職する大きなメリットだといえます。
幅広い職種の人と仕事ができる
総合病院にはさまざまな診療科があるため、それだけ多くの職種の人と仕事をする機会が増えます。
例えば整形外科のクリニックなどでは入院患者さんがいないため、看護師やソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどと関わることが少ないです。一方で入院患者さんがいる病院では、退院後の生活に向けて他職種の人と連携を取る機会が多くなります。
他職種と連携を取ることは、理学療法士にはない視点でリハビリを考えることにつながります。
例えば、看護師はリハビリ場面だけでなく患者さんの病室での生活にも関わっているため、理学療法士よりも生活状況を把握しています。患者さん自身からは聞けない生活で困っているポイントなどを、看護師から教えてもらうことができるのです。
他にもケアマネージャーと連携を取ることで、家族の状況を知ることができます。ケアマネは患者さんだけでなく家族と密にやり取りしているためです。ケアマネと連携して情報交換することで、患者さんだけでなく家族の希望も考えたリハビリを実施することができます。
このようにさまざまな職種と連携が取れて、患者さんの生活や家庭環境を含めた視点からリハビリができるようになることは総合病院へ転職する大きなメリットです。
総合病院は福利厚生が充実している
総合病院の理学療法士求人は、クリニックや介護施設などと比較すると利厚生が充実しています。規模と売上が大きいため、福利厚生に力を入れているのです。例えば以下は神奈川県にある総合病院の求人になります。
求人票に「福利厚生が充実」とあります。詳細を確認すると、以下のように福利厚生の内容が記されています。
福利厚生として交通費支給の上限が5万円となっています。クリニックや介護施設の大半において交通費の上限額が2万円であることを考えると、非常に高い額だとわかります。交通費で月に3万円も違いがあれば、年収は36万円高くなるのです。
また院内保育も病院だからこそある福利厚生だといえます。職場内に子供を預けることができるため、朝と夕方の送迎の手間が省けます。子どもの急な病気での呼び出しも職場内であるため非常に楽です。ちょっとしたことと感じるかもしれませんが、子育て中の人であればとても大きなメリットだと感じるはずです。
こうした福利厚生の充実も、総合病院へ転職する大きなメリットだといえます。
総合病院における理学療法士求人の給料・年収
なお総合病院の理学療法士の給料はどれくらいでしょうか? 総合病院における理学療法士の給料は平均的だと考えてください。理学療法士求人の平均的な年収が350~400万円であり、総合病院も同程度になります。総合病院は規模も売上も大きい一方で、スタッフ数が多く求人に力を入れていない病院が多いためです。
例えば、以下は神奈川県横浜市にある総合病院の求人になります。
求人票を確認すると、月給が諸手当込みで22万円であり、これに通勤手当が別途支給されます。通勤手当は2万円前後である職場が多いので2万円とします。これに賞与(ボーナス)3.4月分が加わることになり、年収は以下のようになります。
(月給22万円 + 通勤手当2万円) × 12ヶ月 + 賞与19万円(基本給) × 3.4ヶ月 = 352万円 |
先に述べたように理学療法士求人の大半が年収350~400万円であることを考えると、平均的な給料だとわかります。
ただクリニックなどと違い総合病院は「月収が安く賞与(ボーナス)が高い」という傾向にあります。そのため総合病院の給料を確認するときには、必ず月収だけでなく賞与も含めて考えるようにしましょう。
総合病院は社宅・寮を完備
ただクリニックや介護施設違って、総合病院では社宅や寮を完備しているところが多いです。また近隣のアパートを借り上げて、安くスタッフに貸し出している病院もたくさんあります。例えば以下は、東京にある総合病院の求人です。
特徴の欄に「寮or住宅手当あり」と書いてあります。こうした求人は病院の近隣に寮が用意してあり、格安で借りることができるのです。寮であれば、地域によりますが月に1~2万円くらいで住むことができます。住宅の家賃を6万円と考えると、寮があるかどうかで月の手取り額が5万円近く変わってくるのです。
ただ、社宅や寮、借り上げ住宅の賃料は病院によって全く異なります。そのため社宅や寮がある求人へ応募するときには、事前に転職サイトの担当エージェントを介して賃料に関する詳細を確認するようにしましょう。
理学療法士が総合病院の求人を見つけて転職を成功させるには
総合病院へ転職すると、さまざまな疾患の患者さんを担当できることや他職種のスタッフと関われることは大きなメリットだといえます。クリニックや介護保険施設ではない知識や経験を得ることができるのです。
ただ総合病院の求人は、メインの対象となっている患者さんの疾患がわかりづらい傾向にあります。つまり、どのような疾患の患者さんに対するリハビリを実施するのかが読み取りにくいのです。
そのため主なリハビリの対象者に関しては、求人の詳細や転職サイトの担当エージェントを介して必ず確認しておくことが大切になります。
こうした総合病院のメリットや注意点を理解した上で、あなたの希望に合った総合病院への転職を成功させるようにしましょう。
リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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