理学療法士の退職金は3年以上が条件?病院の退職金相場、計算方法

理学療法士が転職するとき、退職金は避けては通れない問題になります。転職を決意したときに「退職金はもらえるのだろうか?」「どれくらいもらえるのだろうか?」などを考えるはずです。

また生涯年収のために、一つの職場に長く勤めた方が良いと考える人もたくさんいます。勤続年数が長くなるほど退職金が多くなるためです。

しかし実際には、理学療法士が病院で長く勤めても生涯年収は思っているよりも高くなりません。理学療法士の退職金は、勤続年数が長くなっても少ないためです。生涯年収を上げたいなら、退職金を考えるよりもできるだけ年収が高い職場で働いた方が良いです。

このように、退職金に関してはいろいろ考えなければいけないことがあります。そこで今回は、理学療法士における退職金制度について解説します。

理学療法士の退職金相場の計算方法・平均

理学療法士の退職金は、働く職場によって異なるのが実際です。それぞれで退職金の計算方法が違うためです。ただ基本的には「1ヶ月分の基本給 × 勤続年数 × 給付率 = 退職金」という計算方法で退職金は算出されます。

給付率とは企業ごとに決められた退職金にかけられる割合です。一般的には自己都合退職で60%、会社都合退職で70%程度と考えてください。

このとき、注意しなければいけないのは資格手当などの基本給以外の給料は退職金に反映されないということです。

例えば以下は、大阪にある病院の理学療法士求人における給料の詳細になります。

月給が25万円とありますが、これは基本給20万円に職務(資格)手当2万円と調整手当3万円を加えた額になります。退職金には、こうした資格手当と調整手当は反映されないのです。

そのため、この求人先の基本給20万円で勤続3年、自己退職で給付率60%だと仮定して退職金を算出すると以下のようになります。

  • 基本給20万円 × 勤続年数3年 × 給付率60% = 退職金36万円

資格手当や調整手当、固定残業手当、役職手当などを除いた基本給から退職金を算出します。あくまで一般的な退職金の計算方法ではありますが、多くの病院や施設はこうした計算方法で退職金を計算することになります。

平均勤続年数から理学療法士の退職金相場を考える

それでは、理学療法士の退職金相場は実際にどれくらいになるのでしょうか? 厚労省が発表している2018年賃金構造基本統計調査から、理学療法士の平均勤続年数がわかります。以下が、理学療法士の平均勤続年数を記した表になります。

出典:2018年賃金構造基本統計調査

表から、理学療法士の平均勤続年数は約6年だとわかります。また、東京都産業労働局が2018年に報告している「中小企業の賃金・退職金事情」のモデル退職金によると、医療、福祉分野の勤続年数別の退職金は以下のように報告されています。

出典:中小企業の賃金・退職金事情

基本的に理学療法士は大学卒業であり、転職を目的とした自己都合退職が多いです。データ数は少ないですが、表から勤続3年で退職金が14万3000円、勤続5年で退職金が45万2000円となります。私が最初の職場を3年10ヶ月で退職したとき退職金は約12万円でしたので、妥当な額だといえます。

先に述べたように理学療法士の平均勤続年数は6年です。そのため理学療法士の退職金相場は、5年勤続の相場である45万2000円前後と考えるのが妥当でしょう

ただこれはあくまで一例であり、計算方法の詳細は会社の就業規則に記載されています。退職金を計算するときには就業規則を確認した上で、あなたの勤続年数を当てはめて確認するようにしましょう。

転職時の退職金は少ない

なお自己都合ではなく会社都合あると、退職金の額は上がります。給付率が60%から70%になるためです。10%というと小さく感じるかもしれませんが、退職時に一時的にもらえる金額が10%違うのは非常に大きいです。

理学療法士で転職するときは、自己都合退職になります。つまり、退職金は低くなるのです。これはどのような職場であっても同じだと考えてください。

例えば、先ほど挙げた2018年の中小企業の賃金・退職金事情における自己都合退職と会社都合退職を比較します。

出典:中小企業の賃金・退職金事情

表で囲っている部分は大卒の勤続5年と33年の退職金です。勤続5年であると自己都合退職が45万2000円、会社都合退職が59万8000円とあります。自己都合か会社都合かで、約15万円も退職金が変わってくるのです。当然、これは勤続年数が長くなるほど差は大きくなります。

例えば勤続33年になると、自己都合退職が211万4000円、会社都合退職が226万4000円と150万円も退職金が違います。

このように転職で自己都合退職をするときには、退職金が少なくなることは知っておきましょう。

退職金の支給は勤続3年以上?

退職金は、誰でも支給されるものではありません。一定期間勤めることで初めて支給されます。理学療法士が転職するときに一番気になるのは「そもそも退職金が支給されるのか?」ということだと思います。

理学療法士で退職金が支給されるのは、勤続年数が3年を超えた人であることが多いです。職場によって支給の条件は異なりますが、大半の職場は3年が区切りとなっています。

2018年の中小企業の賃金・退職金事情でも、退職金は勤続3年以上で支給する企業が全体の60%以上(勤続3年48.8% + 勤続4年3.8% + 勤続5年以上9.7% = 62.3%)と報告されています。

出典:2018年 中小企業の賃金・退職金事情

理学療法士求人にも、退職金支給の条件として勤続3年以上が挙げられているものが多いです。例えば以下は、兵庫県神戸市にある病院の理学療法士求人になります。

求人票に、退職金の支給は勤続年数3年とあります。中には勤続年数2年から退職金を支給する職場もありますが、平均は勤続年数3年と考えてください。

そのためあなたが転職を考えているのであれば、今働いている職場の退職金支給の条件を調べて「退職金支給の条件を満たしているか否か?」を確認しておくと良いでしょう。

退職金が高い職場はあるか?

理学療法士として転職する際、できるなら退職金が高い職場へ転職したいと考えるのではないでしょうか? 理学療法士で退職金が高い職場は「公務員」です。市立病院などで公務員理学療法士として働けば、高い退職金をもらうことができます。

それでは、一般的な病院と比較して公務員の退職金はどれくらい違うのでしょうか? 以下に、一般的な病院と公務員の退職金を比較していきます。

病院の退職金は安い

病院の退職金は各病院によって異なるため、一概には言えないのが現状です。ただ、他業種と比較して退職金は少ない傾向にあります。

退職金に関しては、先に挙げた2018年の中小企業の賃金・退職金事情が参考になります。以下は、他業種も含めた全職種の平均退職金額です。

出典:2018年 中小企業の賃金・退職金事情

比較しやすいように、大卒で勤続5年と33年を確認していきます。全体では勤続5年の退職金が43万9000円、勤続33年が929万3000円となっています。次に医療、福祉分野のモデル退職金は以下になります。

出典:2018年 中小企業の賃金・退職金事情

勤続5年は45万2000円と全体平均より少し高いですが、勤続33年では211万円と全体の平均退職金である929万円の約1/4になっています。つまり、理学療法士は長く勤めても支給される退職金が少ない可能性が高いのです。

もちろん、病院など勤める職場や職種によって違うため一概には言えません。理学療法士や医師、看護師などの国家資格を持っている職種は介護職や事務職などと比較すると基本給も高いため、表に記された平均よりは高いでしょう。

ただ、それでも医療福祉業界の退職金は他業種と比較すると圧倒的に低いのです。このように理学療法士は「同じ職場で長く勤めれば多くの退職金をもらえるのではない」ということを知っておきましょう。

公務員理学療法士の退職金は?

ただ理学療法士の中でも、長く勤めることで高い退職金をもらえる病院があります。国立や県立、市立病院といった公務員扱いされる病院です。国公立の病院であれば、公務員と同じ待遇を受けることができます。当然、退職金も公務員と同じ額が支給されるのです。

地方公務員の退職金は、地方公務員法によって決められています。地方公務員の退職金手当制度の概要から、地方公務員の退職金は以下のように計算されます。

  • 退職金 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率

*正確には、これに調整額がプラスされます。

地方公務員として働く理学療法士の、退職理由別・勤続年数別支給率は以下のようになります。

出典:総務省 地方公務員の退職金手当制度の概要

例えば公務員を自己都合で5年で退職すると、退職日給料月額の3倍が退職金として支給されます。つまり、基本給を低く見積もって20万円だとしても退職金が「基本給20万円 × 自己都合退職支給率3.0 = 退職金60万円」となります。

また勤続35年を確認すると、自己退職による支給率は47.5とあります。公務員で35年であれば、月収は少なくとも35万円は超えていると考えられます。そうなると退職金は「月収35万 × 自己都合退職支給率47.5 = 退職金1662万」となります。

先ほど挙げたモデル退職金が勤続33年の自己都合退職で211万円だったことを考えると、公務員理学療法士における退職金の高さがわかるはずです。

このように公務員理学療法士として働ければ、長く勤めるほど高い退職金を手に入れることができます。

高収入の職場へ転職した方が生涯収入は上がる

ここまで述べたように、一般的な病院では長期間勤めても高い退職金をもらえることは期待できません。また公務員理学療法士であれば退職金を期待できますが、公務員の理学療法士として働けるのは一握りの人に限られています。

そのため、理学療法士としてできるだけ生涯収入を稼ぎたいのであれば、退職金をあてにするのではなく高収入を得られる職場で働くことをお勧めします

理学療法士の中には「できるだけ退職金を多くもらえるように、一つの職場で長く働こう」と考える人が多いです。しかし現実は、長く勤めても期待しているほどの退職金は支給されません。

勤めている職場の年収が高いならそれで良いでしょう。ただもっと高い年収の職場があるなら、勤続年数が短く退職金が少ないうちであっても、そちらに転職した方が生涯収入は高くなります。

例えば、年収350万円の職場で働いていたとします。先ほど挙げたモデル退職金を参考にすると、頑張って30年勤めても退職金は200万円程度です。退職金を諦めて年収400万円以上の職場へ転職すれば、それだけで年収は50万円上がります。つまり、約4年勤めれば前の職場でもらえる退職金は回収できるのです。

このように一般的な病院で勤めているのであれば、退職金よりも年収が高い職場で働いた方が圧倒的に生涯収入は高くなることを知っておきましょう。

退職金を知り、働き方を考える

理学療法士が退職金について考えるとき、まずは退職金の計算方法を把握しておくことが大切です。一般的には基本給と勤続年数、支給率で退職金が決まることを知った上で、勤めている病院の退職金計算方法を確認しましょう。

また理学療法士の退職金相場は、数年の勤務であれば他業界と大きな違いはありません。ただ数十年となると、理学療法士は圧倒的に退職金が少ないです。

公務員理学療法士であれば、退職金によって生涯収入は上がります。ただ一般的な病院なら、長く勤めたからといって退職金で生涯収入が上がることはありません。

そのため生涯収入を考えるのであれば、高収入の職場へ転職した方が良いです。少しでも退職金をもらおうと長く勤めるよりも、退職金が支給されない勤続年数でもいいので、早めに収入が高い職場へ転職した方が圧倒的に生涯収入は上がります。

こうした理学療法士における退職金の現状について理解した上で、働き方を考えるようにしましょう。



リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。


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