理学療法士の需要と供給から将来性を見据えた今後の転職戦略

理学療法士として働く中で「理学療法士の今後はどうなるのだろうか?」と考えたことがあるのではないでしょうか?

どんどん理学療法士の養成校が建てられて、それに伴って資格取得者ももの凄い勢いで増えています。そうした状況にあるため「理学療法士はいつか必ず飽和する」と不安になるのは当然です。

実際に、理学療法士の需要と供給は2026年前後に飽和すると考えられています。そうなると、当然ながら就職や転職先は減りますし、給料が下がる可能性も高いです。

ただ、理学療法士の仕事自体が無くなることはありませんし、働き方次第で高い年収を得ることもできます。現状と将来性を正しく把握して行動すれば、理学療法士として生き残ることができるのです。

そこで今回は、「理学療法士の需要と供給から将来性を見据えた今後の転職戦略」について解説します。

理学療法士の今後における需要と供給の問題

理学療法士の将来性を考えたときには、真っ先に頭に浮かぶのが理学療法士の需要と供給のバランスではないでしょうか?

実際、理学療法士の養成校数と合格者数は年々増えているのが現状です。以下は、公益社団法人 日本理学療法士協会のHP(ホームページ)内にある統計情報の一部になります。

出典:公益社団法人 日本理学療法士協会のHP

平成21年から平成31年までで、養成校数は246校から266校に増えています。また国家試験合格者数は、7万3862人から17万2285人と2倍以上に増加しているのです。ちなみに以下は、同じHP上にある理学療法士協会会員の年齢区分になります。

年齢区分を見てもわかるように若い年齢ほど理学療法士の数が多く、このままではどんどん理学療法士の数が増えてくることが予測されます。いくら高齢化社会が訪れて理学療法士の需要があるといっても、これでは供給過多になるのは時間の問題です。

いつまでに飽和するのか?

それでは、実際に理学療法士の需要と供給のバランスが崩れるのはいつ頃になるのでしょうか? 2018年に実施された「第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会」において、理学療法士の需要と供給のバランスについて報告されています。

以下は、第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会の資料の一部です。

出典:第3回 理学療法士・作業療法士需給分科会 資料

これまでの理学療法士の登録者と入学定員数、国試受験率、国試合格率、国試不合格率、名簿登録率を元に、理学療法士の供給数を算出しています。

また需要数に関しては、入院医療(一般病床・療養病床 、精神病床)、外来医療、在宅医療分けて、さらに需要が多いパターン(ケース1)から少ないパターン(ケース3)を想定して推定しています。

このグラフから、理学療法士の需要が最も多いパターンであっても、2026年前後には理学療法士の需要と供給は飽和すると予測されているのです。その後は、どんどん供給過多が広がっていく予測になっています。

もちろん、こうした予測通りに進まない可能性もあります。理学療法士の資格を取得しても、医療や介護領域以外で働いている人も増えているためです。

ただそれでも、現実的には理学療法士の供給数が飽和するのは時間の問題だといえます。

AIで理学療法士の需要は低下する?

理学療法士の需要と供給バランスは、養成校や資格取得者の増加だけが問題ではありません。「AI(人工知能)」の発達による理学療法士の業務圧迫も危惧されています。理学療法士の仕事をAIで代用できる可能性があるからです。

確かに、AIが発達すると理学療法士の仕事は減るでしょう。ただ、AIがいくら発達しても理学療法士の仕事が全てなくなるわけではありません。

例えば歩行分析や姿勢分析などは、主に理学療法士よりもAIが役割を担う可能性が高いです。

こうした分析に関しては、AIが得意とする仕事になります。ただ、メンタル面を考慮したアプローチや患者さんの表情に合わせたリハビリの実施などは、AIではなく理学療法士にしかできません。

AIは過去の情報を元に未来を予測することはできますが、表情などから感情を読み取って調整することはできないのです。

例えば、膝の関節可動域訓練をするとします。AIは過去に曲がった角度を元に、関節可動域訓練をすることは可能です。「屈曲が120°まで可能」というデータがあれば、正確に120°までの関節可動域訓練を実施します。

ただ実際の患者さんは、その日によって関節を曲げられる角度は違います。昨日まで120°曲がっていても、痛みがあって110°までしか曲がらないという日もあるのです。

こうしたとき、AIであれば患者さんの表情を考慮できないため痛くても120°まで曲げる練習をします。その一方で理学療法士であれば、患者さんと会話をしながら、その日の調子によって調整できるのです。

このように、「いくらAIが発達しても理学療法士の仕事がゼロになることはない」ということは知っておきましょう。

そうはいっても、理学療法士の供給過多が訪れることは避けられないのも事実です。

理学療法士における給料・年収の将来性

理学療法士の飽和と合わせて心配されるのが、給料や年収の将来性になります。当然、理学療法士の供給が過多になるということは、理学療法士の必要性も低くなるため給料や年収も下がる可能性が高いです。

ただそうはいっても、2026年までは理学療法士の需要は供給以上にあると考えられています。団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年問題があるからです。

そのため、少なくとも2025年や2026年までは理学療法士の給料や年収が下がる可能性は低いと考えてください。

実際に、賃金構造基本統計調査を元に2016年から2018年までの理学療法士の給料における推移を確認します。以下は、2016年から2018年における理学療法士の給料のデータです。

表中の「きまって支給する現金給与額」が月収であり、「年間給与その他特別給与額」がボーナスとなります。これらを元に2016年から2018年までの年収を算出すると、以下のようになります。

  • 2016年理学療法士の年収:月収28万円 × 12ヶ月 + 賞与70万1000円 = 406万1000円
  • 2017年理学療法士の年収:月収28万4000円 × 12ヶ月 + 賞与63万9000円 = 404万7000円
  • 2018年理学療法士の年収:月収28万5000円 × 12ヶ月 + 賞与66万2000円 = 408万2000円

以上のようになっており、数万円の変化はあるものの大きく年収が下がっていることはありません。こうしたことからも、どれだけ早くても2025年までは理学療法士の年収が下がることはないと考えられます。

2025年以降は理学療法士の給料が二分化する?

ただ2025年を過ぎて、理学療法士の供給過多が著名になると給料や年収にも影響する可能性が高いです。理学療法士自体が不要になることはありませんが、評価される理学療法士とそうでない理学療法士が二分化されることが予測されます。

例えば管理能力に優れていたり、経営能力が高かったりする理学療法士は、どれだけ理学療法士の数が増えても給料は下がらないでしょう。理学療法士以外の能力(管理能力や経営能力)で評価されるためです。

理学療法士というよりも病院や施設の幹部として評価されて、その分だけ高い給料をもらえることになります。

他にも、徒手療法などの技術が優れていたり、論文をたくさん執筆していたりする理学療法士も評価される可能性が高いです。その一方で、特に理学療法士としての知識や技術も人並みで、管理や経営能力も身につけていない理学療法士は評価されずに給料も低くなるでしょう。

理学療法士の供給過多が進むにつれて、理学療法士全体の給料は下がる可能性が高いです。その中で他の理学療法士と差別化できない理学療法士は、どんどん必要性が低くなって給料も下がっていくことになります。

このように理学療法士の今後は、給料や年収が二分化してくる可能性が高いと考えられます。

現状を把握した上での理学療法士における転職戦略

ここまで述べた理学療法士の現状や将来性を考慮した上で、今後の働き方はどのように考えていけばいいでしょうか? 理学療法士の中には「理学療法士に未来はない」と諦めて他業界へ転職する人もいます。

ただ理学療法士全体の未来がないわけではありませんし、現状を踏まえた上で戦略を立てれば将来も理学療法士として問題なく働いて生活することは可能です。

既に述べたように、いくら理学療法士の供給が過多になるとはいえ仕事自体がゼロになることはありません。また管理能力や経営能力が高ければ、理学療法士でも高い給料をもらうことはできます。

こうしたことを踏まえた上で、今後の働き方を考えていけば、理学療法士としての将来の不安も解消できるのです。

早めの転職で管理職のポジションを取る

将来を見据えた働き方を考えるのであれば、職場内でポジションを取ることが大切になります。先に述べたように病院や施設の経営や管理に積極的に関われる立場につくことで、高い評価と給料をもらうのです。

もしあなたが、今の職場でそうしたポジションを取れるのであれば、それを目指すと良いでしょう。ただそれが難しいのであれば、早く転職して新しい職場で経営や管理に関われる立場を目指すことをお勧めします。

例えば以下は、大阪にあるデイサービスの理学療法士求人です。

オープニングスタッフとして管理職者候補の求人募集となっています。こうした新しい施設のオープニングスタッフであれば、積極的に管理業務を引き受けることで管理職や経営陣として新しいポジションを取りやすいです。

大手法人へ転職してポジションを取る

ただ中には「管理職はちょっと難しい」と考える人もいるはずです。管理職になるには、部下を管理する能力が求められるため、どうしても苦手という人もいるでしょう。

そうした場合は、個人経営のクリニックや介護施設ではなく、大手法人へ早めに転職することをお勧めします。複数事業を経営している大手法人で長年勤めていれば、理学療法士が供給過多になっても給料が下がりにくいためです。

例えば以下は、東京にある大手法人が経営する介護老人保健施設の理学療法士求人になります。

個人経営のクリニックや介護施設であると、理学療法士の供給過多で診療報酬が下がると事業所の売上に直接的に影響します。その場合、売上低下に関与している理学療法士の人件費を下げようと考えるのは当然です。

その一方でこうした大手法人は、一つの診療報酬に依存しない経営をしています。しかも、理学療法士による売上の割合は小さいケースが多いです。そのため理学療法士に関する診療報酬が下がっても、法人全体の売上には大きく影響しないのです。

そうはいっても、いくら大手法人であっても理学療法士の診療報酬が下がれば、理学療法士の雇用数を増やそうとはしません。そのため、まだ需要があるうちに早めに大手法人へ転職してポジションを取っておくことで、将来的にも安定した給料をもらえるようになる可能性が高いのです。

転職サイトで将来性がある求人への転職を成功させる

ここまで述べたように理学療法士として未来を見据えて行動するのであれば、管理職や大手法人のポジションを取ることが大切になります。早めに転職して将来性があるポジションを取れば、今後も安定しやすいでしょう。

ただ、そうした管理職や大手法人の求人は簡単には見つかりません。人気があり競争率が高いからです。

そうした際には、リハビリ職専門の転職サイトを活用することをお勧めします。転職サイトであれば、インターネット上の求人サイトには掲載されていないような好条件の求人を「非公開求人」として紹介してもらうことができます。

例えば以下は、リハビリ職専門の転職サイトに掲載されている非公開求人です。

経営が安定していることが推してあり、大手法人である可能性が高いと考えられます。実際に登録して問い合わせたところ、以下のようなメールが届きました。

都内に14ヶ所も事業所がある、大手法人が運営する訪問看護ステーションの求人だったのです。

こうした大手法人の求人は、インターネット上の求人検索サイトではなかなか見つかりません。理学療法士の採用に力を入れている大手法人は、転職サイトにお願いして応募者を厳選して紹介してもらえるようにしているのです。

管理職者候補に関しても同様になります。管理職者候補というと、病院や事業所にとって重要なポジションであるため、求人サイトではなく転職サイトを介して募集しているところが多いのです。

そのため、大手法人や管理職者候補の求人へ転職するときには、転職サイトを活用するようにしましょう。

理学療法士は定年まで働けるか?

また理学療法士の将来性に関して、心配されやすいことの一つとして「定年まで働けるのか?」ということが挙げられます。理学療法士のリハビリ対象となる患者さんには、50代や60代の方もたくさんいます。つまり、自分たちが退職する年齢にある人達にリハビリをしているのです。

そうなると「自分たちがリハビリを受けるような年齢になっても、理学療法士として現役で働けるのだろうか…」と不安に思うようになります。

しかし実際には、50代でも60代でも現役で理学療法士として働くことは可能です。例えば、以下は2018年の賃金構造基本統計調査による年代別の労働時間数を示した表になります。

60歳以上を見てわかるように、20代や30代と変わらない、もしくはそれ以上に働いていることがわかります。これは、60歳を超えても働けている人が多いという証拠です。

もちろん、年齢を重ねるにつれて現場よりも管理業務が多くなる人は多いでしょう。ただそれでも理学療法士として定年まで働けるかどうかについては、そこまで心配しなくてもいいと考えてください。

そうはいっても、体調を崩せば現場に出られなくなるため、体調管理だけは注意するようにしましょう。

理学療法士の将来性を考えて転職戦略を練る

理学療法士の需要と供給は、今後確実に崩れて供給過多に向かいます。そのため、仕事自体は無くならないにしても、何も考えずに働いていると給料は下がっていく可能性が高いでしょう。

将来的な理学療法士の給料は「良い給料をもらえるか極端に安くなるか」という二分化していくと考えてください。

そうしたときに、理学療法士として今後も高い年収を得たいのであれば、管理職を目指すか、大手法人へ早めに転職するのがお勧めです。この2つのポジションであれば、将来的にも高い収入を得られる可能性が高いです。

ただこうした将来性が高い求人は、人気が高い上に一般的な求人サイトには掲載されていない傾向にあります。そのため、転職サイトを上手く活用して紹介してもらうことをお勧めします。

こうした理学療法士の現状や将来性を把握した上で、今後の転職について戦略を練って行動するようにしましょう。

 

 



リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。


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