言語聴覚士(ST)が転職する際には、正社員として働く人もいれば、非常勤として勤務する人もいます。特に、言語聴覚士には女性が多いため、非常勤として、育児や家事と仕事の両立を図る人が少なくありません。
そのような中で、言語聴覚士が聞きなれない雇用形態に「派遣」があります。派遣というと、非常勤と同じようなイメージを持っている人が多いです。
ただ、派遣と非常勤には明確な違いがあります。転職の際には、このような雇用形態の情報は非常に重要になるため、転職する言語聴覚士は、この2つの相違点を正確に理解しておくことが大切です。
そこで今回は、「言語聴覚士(ST)の派遣と非常勤(パート・アルバイト)の違い」について述べます。
非常勤と派遣の類似点と相違点
非常勤と派遣には、類似点と相違点があります。多くの人は、2つの類似点ばかりが目に付いているため、非常勤と派遣の違いを知りません。
非常勤と派遣の類似点は、どちらも1週間における勤務時間が短いことにあります。つまり、2つとも正社員と比較して働く時間が少なくなります。
そして、非常勤と派遣の相違点は、雇用主の違いにあります。非常勤の場合は、病院や施設といった勤務先が雇用主になります。一方で派遣は、人材派遣会社に雇用されている状態です。
そのため、非常勤であれば、「給与の支払い」や「各種保険の手続き」「有給休暇の付与」などは、勤務先によって行われます。派遣の場合は、このような労働条件に関することは、人材派遣会社が行います。
また、当然ながら非常勤の場合は勤務先の病院や施設と労働契約を結び、派遣であれば人材派遣会社と労働契約を交わすことになります。
このように、あまり変わらないように感じる非常勤と派遣には、雇用主が違うという明確な相違点があります。
派遣と言語聴覚士
派遣という雇用形態は、言語聴覚士の人にとっては聞きなれないものだと思います。正社員や非常勤で働いている人はいても、派遣として勤務している人はほとんどいないと思います。
それは、「言語聴覚士という職種は労働者派遣事業が行えない」と法律で定められているためです。
日本では、以下の業務は労働者派遣業務が認められていません。
・港湾運動業務
・建設業務
・警備業務
・医療関係業務
・弁護士、司法書士、土地家屋調査士
・公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士
・管理建築士
言語聴覚士の仕事は、医療関係業務に当たるため、労働者派遣業務を行うことができません。その中でも、以下の条件を満たすものは、医療関係業務であっても派遣が認められています。
・紹介予定派遣をする場合(最長6ヶ月の派遣期間後、正社員として雇用されることを前提とした派遣)
・産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した人に対する代替の場合(配属先のスタッフが産前産後休業、育児休業、介護休業で人員不足である期間のみ)
・医師の業務で「へき地」もしくは「厚生労働省令で定める場所」である場合
このように、例外的に派遣が認められるケースもありますが、基本的に言語聴覚士の派遣業務は禁止されています。言語聴覚士の人は、こうした事実をしっかりと認識しておいてください。
今回述べたように、非常勤と派遣には、雇用主の違いという明確な相違点があります。
また、言語聴覚士の場合、基本的に労働者派遣業務は法律で禁止されています。そのため、転職する際にもあまり関係はしませんが、転職の基礎知識として頭の中には入れておきましょう。
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