作業療法士の免許取得後に持っていると転職で有利になる資格

2025年10月7日

「作業療法士として、もっと専門性を高めたい」「将来のことを考えて、自分の市場価値を上げる強みが欲しい」

日々の臨床に励む作業療法士（OT）のあなたなら、そうしたキャリアアップへの意欲を感じているのではないでしょうか。作業療法士の国家資格があれば、もちろん専門職として働くことはできます。しかし、より質の高いリハビリテーションを提供し、変化の速い医療・介護業界で長く活躍し続けるためには、免許取得後も学び続ける姿勢が不可欠です。

そして、その学びが「資格」という形になれば、あなたのスキルを客観的に証明し、キャリアアップ転職において強力な武器となります。

この記事では、

なぜ今、プラスアルファの資格が転職市場で求められるのか
キャリアの方向性別に解説！転職で本当に有利になる資格4選
資格取得を考えた時、今の職場で大丈夫か見極めるポイント

について、詳しく解説します。この記事を読めば、あなたのキャリアプランに合った資格が見つかり、それを実現するための最適な環境選び（転職）という選択肢が見えてくるはずです。

なぜ今、プラスアルファの資格が作業療法士の転職市場で求められるのか？

ひと昔前と比べ、作業療法士の数は増加し、ただ資格を持っているだけでは差別化が難しい時代になりました。また、診療報酬や介護報酬の改定でも、より専門性の高いリハビリテーションが評価される傾向にあります。このような状況で、プラスアルファの専門資格を持つことは、「向上心があり、特定の分野に強みを持つセラピスト」であることの明確な証明となり、転職市場において高く評価されるのです。

【分野別】転職で有利になる！作業療法士におすすめの資格4選

ここでは、あなたの目指すキャリアの方向性に合わせて、特におすすめの資格を4つご紹介します。

1. OTとしての専門性を極めるなら【認定作業療法士・専門作業療法士】

どんな資格？ 日本作業療法士協会が認定する、いわばOTのスペシャリストとしての公式な資格です。基礎となる「認定作業療法士」を取得し、さらに特定の専門分野（例：認知症、高次脳機能障害、精神科など）を極めた先に「専門作業療法士」があります。
転職でどう有利？ この資格を持つことは、作業療法士としての臨床実践能力の高さを客観的に証明します。特に、急性期病院や大学病院、専門リハビリテーションセンターなど、教育体制や臨床研究に力を入れている職場への転職で非常に有利になります。給与面での優遇や、教育担当・リーダーといった役職に就きやすくなる可能性も高いです。
取得の道のり 協会が定める研修の受講や臨床経験年数、事例報告など、複数の要件を満たす必要があり、計画的な学習が求められます。取得には数年単位の時間がかかるため、長期的なキャリアプランの一環として考えましょう。

2. 介護保険領域でのキャリアを広げるなら【介護支援専門員（ケアマネジャー）】

どんな資格？ 要介護認定を受けた方のケアプランを作成し、介護サービス全般をコーディネートする専門職です。通称「ケアマネ」として知られています。
転職でどう有利？ 作業療法士が関わる対象者の多くは、介護保険サービスを利用しています。ケアマネの資格を持つことで、リハビリの視点だけでなく、介護保険制度全体を深く理解した上で、包括的な支援ができるようになります。特に、訪問リハビリステーション、介護老人保健施設、地域包括支援センターなどへの転職では絶大な強みとなります。「ケアマネ兼任OT」として採用され、給与面で優遇されるケースも少なくありません。
取得の道のり 特定の国家資格に基づく実務経験（5年以上など）が受験資格となります。合格率は20%前後と難易度は高めですが、取得する価値は非常に高い資格です。

3. 超高齢社会のニーズに応えるなら【認知症ケア専門士】

どんな資格？ 日本認知症ケア学会が認定する、認知症ケアの高い知識と技術を証明する専門資格です。超高齢社会の日本において、その需要は爆発的に増加しています。
転職でどう有利？ 作業療法士の専門分野の中でも、認知症は特に重要な領域です。この資格を持つことで、認知症ケアにおけるリーダー的存在として評価されます。 認知症専門病棟を持つ病院、介護老人保健施設、グループホーム、デイケアなど、あらゆる介護現場で引く手あまたの存在となるでしょう。チームの教育係や、認知症ケア加算の算定要件に関わるなど、重要な役割を担うことが期待されます。
取得の道のり 認知症ケアに関する実務経験が3年以上必要です。試験では幅広い知識が問われますが、日々の臨床経験と結びつけて学習することで、合格を目指せます。

4. ＋αの強みを作るなら【民間資格など】

どんな資格？ 福祉住環境コーディネーター、アロマテラピー関連資格、ヨガインストラクターなど、国家資格以外にもOTの臨床に活かせる資格は多数あります。
転職でどう有利？ これらの資格単体で転職が劇的に有利になるわけではありませんが、あなたの強みや個性をアピールする上で有効です。例えば、「福祉住環境コーディネーターの知識を活かして、退院支援や住宅改修に強いOTです」とアピールできれば、訪問リハビリや地域包括支援センターへの転職で評価されるでしょう。アロマやヨガは、精神科領域やストレス緩和を目的としたプログラムで活かせます。

資格取得を考えた時、今の職場で大丈夫？環境がキャリアを左右する理由

さて、取りたい資格のイメージは湧きましたか？しかし、ここで一つ重要な問題があります。それは、「今の職場で、本当にその資格が取れるのか？」ということです。

資格取得には、時間や費用だけでなく、職場の理解と協力が不可欠です。

研修会への参加: 多くの資格では、週末や平日に開催される研修会への参加が必須です。シフト調整に協力してくれなかったり、研修参加を快く思わない雰囲気の職場では、そもそもスタートラインに立つことすら困難です。
症例経験: 認定作業療法士や専門作業療法士では、特定の分野の症例報告が求められます。しかし、「今の職場では、特定の症例（例：認知症、高次脳機能障害など）を十分に経験できない…」というケースも少なくありません。
勉強時間の確保: 日々の業務が忙しすぎたり、残業が常態化していたりする職場では、資格取得のために最も重要な勉強時間を確保することが難しくなります。

もし、あなたが本気で資格取得によるキャリアアップを目指すなら、それを後押ししてくれる環境へ身を置くことが成功への一番の近道です。資格取得を奨励し、研修費の補助や勤務調整などのサポート体制が整っている職場は、実はたくさんあります。

「資格を取りたい」と思った時こそ、あなたのキャリアにとって最適な環境はどこなのかを考える、絶好の転職タイミングなのかもしれません。