ペインクリニックの理学療法士求人へ転職するコツと仕事内容
理学療法士(PT)が働く場所の一つに、ペインクリニックがあります。
ペインクリニックとは、慢性痛の患者さんが来院するクリニックです。
ペインクリニックは、慢性痛における病態の複雑さゆえに求人は経験者が優遇される傾向にあります。
ペインクリニックでは患者さんの心理的な対応やドクターと密な意見交換が求められるため、未経験者では対応が難しいからです。
今回はそんなペインクリニックでの理学療法士さんの働き方やメリット、注意点について解説します。
もくじ
ペインクリニックの理学療法士求人と仕事内容
ペインクリニックにおける理学療法士の役割は、整形外科クリニックと似ています。基本的には、痛みで困っている患者さんに対するリハビリです。ただ整形外科クリニックとペインクリニックでは、患者さんの痛みの種類が違います。
整形外科クリニックは、痛みが出始めて時間が経っていない患者さんが主になります。例えば「昨日から膝が痛くなった」「先週から右の腰が痛くて治らない」といった、痛くなった時期や痛みの場所がはっきりしている患者さんです。
その一方でペインクリニックでは、痛みが慢性化した「慢性痛」と呼ばれる状態の患者さんがメインとなります。慢性痛を抱えた患者さんの訴えは「もう何年も腰全体が痛い」「10年以上前から全身が痛い」など、痛みを抱えている期間が長い上に症状の場所や訴え方も曖昧になるのです。
例えば以下は、愛知県名古屋市にあるペインクリニックの理学療法士求人になります。
仕事内容に「中高年の運動器疾患による痛みや高齢者の慢性的な痛み」とあります。整形外科クリニックと同じように一般的な痛みの患者さんのリハビリも実施しますが、慢性的な痛みの患者さんがメインとなるのがペインクリニックの特徴です。
痛みが出始めてすぐの状態であれば、アイシングや安静などで落ち着くことが多い傾向にあります。また痛みの軽減に合わせてストレッチや運動を行うことで、痛みは自然と緩和していきます。その一方で慢性痛は、時間が経ったからと自然に落ち着くことはありません。
慢性痛は痛みが脳に記憶されており、傷自体は治っているのに痛みを感じている状態になります。それを解消するために、ドクターが処方する薬や注射と並行して運動や心理的なアプローチによって痛みの記憶を和らげていかなければいけません。
傷が治ったから痛みが落ち着くという状態ではないため、慢性痛に適した対処をしなければずっと痛みが解消されないのです。
そのためペインクリニックの理学療法士は慢性痛のメカニズムを理解した上でドクターと連携し、患者さんの複雑化した痛みを緩和するためのリハビリを行うことが求められるのです。
理学療法士がペインクリニックへ転職する注意点
またペインクリニックへ転職する理学療法士は、ペインクリニックゆえに注意しなければいけないことがあります。特に以下の3点は、ペインクリニックへ転職する際に知っておくべき注意点です。
- 心理的な問題の対処も必要になる
- 経験者が優遇される
- 医師と意見交換できる知識が必要
以下に、それぞれについて解説します。
心理的な問題の対処も必要になる
ペインクリニックでリハビリ対象となる慢性痛の患者さんは、身体的な問題だけでなく心理的な問題を抱えている可能性も高いです。慢性痛は心理的な要因が絡んで作られるからです。
例えば、慢性痛に悩んでいる患者さんには不安が強い人が多いです。具体的には「これをすると痛みが出るんじゃないか」「一生痛みが治らないんじゃないか」という不安が、慢性痛をどんどん強めていきます。
他にも、何年も痛みが続いていることで「うつ状態」になっている人もたくさんいます。痛みによって慢性的に気分が落ちてうつ状態になってしまうのです。こうした不安やうつ状態が、痛みを複雑化して慢性痛を作るのです。
慢性痛の患者さんの痛みを緩和するためには、不安やうつといった心理的な問題への対処が必須になります。理学療法士の声かけ一つでも、患者さんの不安を悪化させる可能性があるのです。
例えば、痛みがなかなか緩和しない患者さんに対して「なぜ痛みが軽くならないんでしょうね…」など、理学療法士が悩むような発言などです。
ただでさえ痛みが変わらないと悩んでいる患者さんに、頼られている理学療法士が不安を見せてしまうと、患者さんの不安は悪化します。また声に出さなくても、理学療法士が深刻に考えるような態度を見せるのも良くありません。
もちろん、心理的な影響があまりにも大きい場合、ペインクリニックだけでなく心療内科の受診が必要です。
ただどちらにしても、ペインクリニックのリハビリを受ける患者さんは何かしらの心理的なトラブルを抱えています。そのため、リハビリを担当する理学療法士には心理的な問題への対処能力が求められます。
経験者が優遇される
ペインクリニックにおけるリハビリの対象は、慢性痛に悩んでいる患者さんです。先に述べたように慢性痛は非常に病態が複雑であり、心理的な問題も影響しています。そのため、ペインクリニックの転職では経験者が優遇される傾向にあります。
例えば以下は、栃木県にあるペインクリニックの理学療法士求人です。
求人に「リハビリテーション業務経験が2年以上」とあるように、臨床経験2年以上が応募条件となっています。ペインクリニックの求人では、こうした臨床経験が求められているものが多いです。
リハビリにおいて、痛みへの対応はただでさえ難しいです。それが慢性痛となると、経験がなければ冷静に対応できないのが普通です。また先に述べたように、慢性痛の患者さんは不安が強い傾向にあります。そのため、経験がなく焦って対応していると、それが不安を強めて慢性痛を悪化させる原因となるのです。
私はペインクリニックで働いたことはありませが、理学療法士1年目のときに慢性痛の患者さんを担当したことがあります。痛みの原因が全く理解できずにアタフタしてしまい、最終的に先輩理学療法士に担当をお願いしました。
また経験年数が6年目のときにも慢性痛の患者さんを担当したことがあります。そのときは1年目のときよりは冷静に対応できましたが「原因がよくわからない…」と感じながらリハビリを実施していたのが実際です。それほど慢性痛のリハビリは難しいのです。
こうしたことからも、ペインクリニックの理学療法士は基本的に経験者が優遇されることになります。
医者と意見交換できる知識が必要
ペインクリニックでは、症状が複雑化した慢性痛の患者さんに対するリハビリがメインになります。そのため、一般的な病院やクリニック以上に医師との連携が必要になるのです。
例えば以下は、愛知県にあるペインクリニックの理学療法士求人になります。
仕事内容に「ブロック注射を先にするのか、リハビリを先にするのかなど意見を出し合い」とあります。
一般的な病院やクリニックでも、医師と理学療法士は意見交換をします。ただ基本的に「医師から指示を受ける」「医師に相談してアドバイスをもらう」というように、治療が医師主体になるのが基本です。
その一方でペインクリニックでは、理学療法士の意見が尊重される傾向にあります。慢性痛は複雑で、薬や注射だけでは良くならないケースが多いからです。また慢性痛には運動療法が有効であることがわかっているため、運動療法の専門家である理学療法士に意見が求められるのです。
そのため、理学療法士はそれ相応の知識が必要になります。医師と意見交換をするためにも、慢性痛や運動療法だけでなく薬や注射についても知っておかなければいけません。
当然、医師との情報交換をスムーズにするためのコミュニケーション能力も必要になります。
このようにペインクリニックへ転職するときには、幅広い知識とコミュニケーション能力が求められることを知っておきましょう。
ペインクリニックにおける理学療法士求人の年収・給料
ペインクリニックにおける理学療法士の年収ですが、平均的な給料と比較するとやや少ないと考えてください。
理学療法士求人における年収がおおよそ350万円前後であるのに対して、ペインクリニックは年収が350万円を下回る求人が大半になります。ペインクリニックで理学療法士を求めている病院が少ないためです。
先に述べたように、慢性痛の治療には薬や注射だけでなく運動療法も重要になります。運動療法を重要視している医師であれば、理学療法士の必要性を感じて平均的な年収額を示している傾向にあります。
ただペインクリニックを開業している医師の中には、薬や注射のみで十分だと考えて治療している人も多いのです。つまり、理学療法士の必要性を感じていないのです。
そのため、ペインクリニックの理学療法士求人は平均年収が低い傾向にあります。例えば以下は、東京にあるペインクリニックの理学療法士求人です。
求人のモデル年収額は324万円~となっています。これは理学療法士の求人の中でも低い年収だといえます。モデル月収が27万~28万円となっており、勤続年数が増えても年収は「月収28万円 × 12ヶ月 = 336万円」までしか上がらない可能性が高いのです。
もちろん、先に述べたように理学療法士の平均的な年収を提示しているペインクリニックもあります。例えば以下は、先ほど挙げた愛知県名古屋市にあるペインクリニックの理学療法士求人です。
モデル年収は350万円~400万円とあり、理学療法士の平均的な年収額の求人だといえます。ただペインクリニックの理学療法士求人で、年収が400万円を超えている求人はほとんどありません。
このようにペインクリニックの理学療法士求人は、全体的に年収が低い傾向にあることを知っておきましょう。
理学療法士のペインクリニック求人における現状
それでは、ペインクリニックへ転職するためにはどのように求人を探すのが効率的でしょうか? ペインクリニックへの転職を成功させるためには、ペインクリニックにおける理学療法士求人の現状を把握しておくことが大切です。
そこで以下に、ペインクリニックの理学療法士求人における現状について解説します。
理学療法士のペインクリニック求人数の現状
理学療法士におけるペインクリニックの求人は、非常に見つかりにくいのが現状です。
年々、ペインクリニッククリニックの重要性は認識されるようになっています。ただ専門医が少ないためにペインクリニック自体が少ない上に、先に述べたように理学療法士の必要性を感じていないペインクリニックのドクターが多いです。そのため、ペインクリニックの理学療法士求人は限られるのです。
例えば以下は、ある理学療法士求人サイトで「理学療法士 ペインクリニック」というキーワードで検索した結果になります。
検索結果は全国での求人数であり、9件と非常に少ないことがわかります。以下は、同じ求人サイトで「クリニック」のみで検索した結果ですが、以下の結果と比較するとペインクリニックの求人が少ないのは明らかでしょう。
クリニック全体の約4%しかペインクリニックの理学療法士求人がないのです。全国で9件というと、あなたが希望する地域で求人が見つかる可能性が非常に低いと考えてください。
このように理学療法士のペインクリニック求人は、求人数が限られていることを知っておきましょう。
ペインクリニックの求人を探すなら転職サイト
ペインクリニックの求人は非常に少ないという現状の中で、どのようにしてペインクリニックの求人を探すのが効率的なのでしょうか?
先に述べたようにインターネットを使って自分で検索する求人サイトであれば、全国で数件しか求人は見つかりません。その一方で転職エージェントに求人を紹介してもらう転職サイトであれば、ペインクリニックの求人数が多く検索されます。
例えば以下は、リハビリ職専門の転職サイトでペンクリニックの求人を検索した結果です。
求人数は26件と少ないですが、先ほどの求人サイトと比較すると3倍近い求人があります。
また転職サイトで確認すべきは「非公開求人」です。転職サイトには、表面上の検索では出てこない非公開の求人を抱えています。転職サイトに登録すれば、非公開の求人を紹介してもらうことができます。
そのため、転職サイトを利用することで紹介してもらえるペインクリニックの求人数はさらに多くなるのです。
このようにペインクリニックの理学療法士求人は、求人サイトよりも転職サイトを利用した方が圧倒的に求人が見つかりやすくなります。
理学療法士がペインクリニックへ転職するためには
ペインクリニックの理学療法士求人は数が少ない上に経験者が優遇される傾向にあるため、非常に転職が難しい求人だといえます。また給料も理学療法士の平均年収より低い傾向にあります。
さらに、心理的なアプローチや医師との密なコミュニケーションなどが必要であるため、理学療法士としての経験が求められます。つまり転職条件も厳しい上に、転職後に求められることも多いのです。
ただそれでも慢性痛に対するリハビリを実施したいというのであれば、魅力的な職場だといえます。
そうしたペインクリニックへの転職を考えているなら、求人サイトで探すのではなく転職サイトの方が求人数が多いためおススメです。転職サイトであれば、インターネットでは検索できないペインクリニックの求人を紹介してもらえるためです。
もしあなたがペインクリニックへの転職を本気で考えているのであれば、以上の点を考慮した上で転職活動を行うよにしましょう。そうすることで、ペインクリニックへの転職を成功させられるようになります。
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リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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