「言語聴覚士として病院で働くって、具体的にどんな仕事なんだろう?」 「介護施設で働くのとは、何が違うのかな?スキルアップはできる?」
キャリアを考える上で、そんな疑問や不安を抱えているSTの方も多いのではないでしょうか。 言語聴覚士の仕事は、コミュニケーションや摂食・嚥下(えんげ:食べ物や飲み物を飲み込むこと)に障害がある方、そしてお子さんの言語発達遅延まで、幅広い対象者を支援します。そのため、活躍の場も病院、保健施設、教育機関、福祉施設と多岐にわたります。
この記事では、特に「病院」での勤務を検討しているあなたに向けて、
病院で働く言語聴覚士(ST)の具体的な仕事内容
病院へ転職することで得られる3つの大きなメリット
病院勤務ならではの注意点と、後悔しないための見極め方
について、詳しく解説します。 この記事を読めば、病院で働く言語聴覚士のリアルな姿が分かり、あなたのキャリアプランにおける「病院」という選択肢を具体的にイメージできるようになるはずです。
病院で働く言語聴覚士(ST)の具体的な仕事内容
病院に勤務する言語聴覚士は、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)と同様にリハビリテーション科に所属することが一般的です。ここでは、病院でSTが関わる主な疾患と、具体的なリハビリテーション内容をご紹介します。
1. 脳血管障害による後遺症のリハビリテーション
病院で言語聴覚士によるリハビリが最も多く求められるのは、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害を罹患された方々です。脳血管障害を発症すると、約8割のケースで何らかの後遺症が生じると言われています。
運動機能の障害(歩行困難や麻痺など)はPTやOTが専門的に支援しますが、実はほとんどの患者さんが、話す・聞く・書く・飲み込むといった機能にも障害を抱えています。
【STが専門的に関わる主な後遺症】
言語障害(失語症、構音障害など): 「うまく話せない」「他者の話が理解できない」「文字が読めない・書けない」といった症状。
嚥下障害(えんげしょうがい): 「うまく噛めない」「上手に飲み込めない」「食事中にむせる」といった症状。誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
【具体的なリハビリ内容】 言語聴覚士は、これらの障害に対して以下のようなアプローチを行います。
言語訓練:
絵カードや文字カードの活用: 「果物の絵を見せて『りんご』と言ってもらう訓練」「提示された単語を声に出して読む練習」などを通して、言葉を引き出し、発話や理解力を促します。
構音訓練: 唇や舌、口の周りの筋肉を動かす体操や、発声練習を行い、言葉を発しやすくします。
嚥下訓練:
嚥下体操: 口腔や咽頭の筋肉を強化する体操を行います。
間接訓練: 氷やスポンジなどを使って、飲み込みの反射を促します。
摂食指導: 飲み込みやすい姿勢の調整、とろみ剤の使用、食事形態(きざみ食、ミキサー食など)の選択、一口量の調整などを指導します。必要に応じて管理栄養士と連携し、栄養摂取の方法についてもアドバイスを行います。
このように、脳血管障害の後遺症患者さんに対しては、PT・OT・STが密に連携し、チーム一丸となって社会復帰を支援します。

2. がん治療に伴うコミュニケーション・摂食嚥下障害のリハビリテーション
言語聴覚士によるリハビリは、脳血管障害だけでなく「がん」を患った患者さんに対しても非常に重要です。特に、以下のようながん種やその治療(手術、放射線、抗がん剤など)によって、コミュニケーションや摂食・嚥下障害が生じることが多々あります。
主な対象がん種: 舌がん、咽頭がん、食道がん、喉頭がん、口腔底がん、頬粘膜がん、肺がんなど。
具体的な症状: 「喉に食べ物が引っかかる感覚」「唾液の分泌が少ない」「むせることが多くなった」「声が出せない」など。
【STの具体的なアプローチ】
嚥下訓練・摂食指導: 飲み込みやすい姿勢や、食事の食べ方、口腔ケアなどを指導します。管理栄養士と協力し、食事の作り方や栄養摂取に関するアドバイスも行います。
音声訓練・代用音声の獲得支援: 喉頭がんなどで声を出す機能が失われた場合、代用音声の獲得を支援します。
人工喉頭: 小型マイクのような人工喉頭を喉に当てることで、電気的な振動を利用して声を出せるようになります。その使用方法や話すコツを指導します。
食道発声: 声帯の代わりに食道の粘膜を震わせることで音を出す方法です。習得には訓練が必要ですが、言語聴覚士がその発声方法を指導します。
シャント発声: 気管と食道に挿入した器具を利用して発声する方法です。手術後の発声練習を支援します。
このように、言語聴覚士は多岐にわたる疾患の患者さんに対し、コミュニケーションと摂食嚥下の両面から専門的なリハビリテーションを提供し、生活の質の向上をサポートします。
言語聴覚士(ST)が病院へ転職する3つのメリット
言語聴覚士として病院などの医療機関へ転職することは、あなたのキャリアにとって大きなメリットをもたらします。ここでは、特にSTが病院勤務で得られる3つのメリットを解説します。
メリット1:治療技術の飛躍的な向上と専門性の深化
病院やクリニックといった医療機関では、手術や事故によって一時的に機能が低下した患者さんを対象にすることが多くなります。ここでは、「いかに障害を残さず、治療によって回復させるか」という、治療家としての役割が言語聴覚士に強く求められます。
介護保険施設や社会福祉施設が「障害を抱えた状態で、いかにスムーズに社会生活を送るか」という支援的な視点が中心なのに対し、病院では「根治・改善」を目指す治療的な視点が強く求められます。
そのため、疾患に対する深い知識、様々な治療手技、そしてリスク管理能力などが自然と身につき、言語聴覚士としての治療技術や専門性が飛躍的に向上しやすい環境と言えます。
メリット2:チーム医療による多角的な視点の獲得と連携スキル向上
病院などの医療機関では、患者さんの回復を支援するために、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士など、多岐にわたる専門職が密に連携する「チーム医療」が不可欠です。
医師から: 病態、予後予測、治療方針、リハビリにおけるリスクなど。
看護師から: 病棟での生活状況、患者さんの性格、気分、睡眠状況など。
PT・OTから: 全身の運動機能、日常生活動作、高次脳機能障害など。
これらの情報を密に交換し、それぞれの専門家の視点から患者さんの情報を統合することで、より包括的かつ効果的なリハビリテーション計画を立てることができます。
他職種との連携を通して、あなたはコミュニケーションスキルや情報共有スキルを高められるだけでなく、様々な医療職の専門性や視点を学ぶことで、言語聴覚士としての視野を大きく広げることができるでしょう。
メリット3:多様な症例経験と臨床研究の機会
大学病院や総合病院では、珍しい疾患や重症度の高い症例に触れる機会も多く、経験値を積むには最適な環境です。また、多くの施設で活発に研究活動が行われており、自身の臨床経験を深めながら、学術的な知識も習得する機会を得られるでしょう。
症例検討会や勉強会も頻繁に開催されるため、言語聴覚士として着実にスキルアップしたい方には非常に魅力的な環境です。
言語聴覚士(ST)が病院へ転職する際の2つの注意点
病院勤務には多くのメリットがありますが、同時に注意すべき点も存在します。これらの点を理解した上で転職先を選択しないと、転職後にミスマッチを感じてしまう可能性があります。
注意点1:高い治療技術と結果へのプレッシャー
病院などの医療機関では、言語聴覚士には治療家としての役割が強く求められます。患者さん自身も機能の改善を強く望んでいることがほとんどです。
そのため、リハビリの成果が思うように出ない場合、「何で良くならないの?」「いつまでに治るの?」といった言葉を患者さんやご家族からかけられることも少なくありません。また、医療チーム内でも、回復度合いや治療方針について専門家としての意見を求められる場面が多くなります。
このような結果へのプレッシャーや、高い治療技術が常に求められる環境は、人によっては大きなストレスとなる可能性があります。プレッシャーを成長の糧にできるタイプか、じっくりと支援する方が合っているか、自己分析が必要です。
注意点2:休みが取りづらい可能性とワークライフバランス
病院などの医療機関は、「365日リハビリ」を掲げている施設も多く、ゴールデンウィークや盆、正月といった祝日も通常通り勤務が必要な場合があります。また、患者さんの回復過程に合わせた継続的なリハビリテーションが重要であるため、言語聴覚士の長期休暇や希望休が取りづらい傾向にあるのも事実です。
これは、言語聴覚士全体の数が理学療法士や作業療法士に比べて少ないことが一因です。少ない人数で多くの患者さんを担当しなければならない状況では、代わりのスタッフが確保しづらく、結果として個人の休みに影響が出やすくなります。
「聾学校」や「ことばの教室」、「保健所」など、行政機関が母体となっている職場であれば、祝日や長期休暇が取りやすい傾向にあります。ワークライフバランスを重視する方は、病院の求人を探す際に、年間休日日数、有給休暇の取得実績、リハビリ体制(STの人数体制)などを必ず確認しましょう。
まとめ:病院勤務はSTとして成長できる場所。後悔しない転職を!
今回の記事では、言語聴覚士が病院で働く際の仕事内容、メリット、そして注意点について詳しく解説しました。
脳血管障害やがん患者など、多岐にわたる疾患の患者さんを支援する。
治療技術の向上、チーム医療による多角的な視点、多様な症例経験は、病院勤務の大きなメリット。
高い治療技術へのプレッシャーや、休みが取りづらい可能性も考慮すべき点。
病院勤務は、言語聴覚士として治療技術と専門性を高め、キャリアを飛躍させる絶好の機会を提供します。多くの患者さんと向き合い、他職種と連携しながら、患者さんの回復に直接貢献するやりがいは何物にも代えがたいでしょう。
転職活動を進める際は、あなたが行いたいこと(どんな疾患に関わりたいか、どんなスキルを身につけたいかなど)を明確にした上で、その病院が「どのような患者さんを対象とし、どのようなリハビリテーションを重視しているか」をしっかり確認することが重要です。
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