作業療法士が介護保険施設で働くメリット、やりがい、注意点

作業療法士の多くは、病院やクリニックといった医療機関に勤めていますが
介護保険施設で働いている人も、年々増えてきています。

ただ、介護保険施設というと、利用者に対して
「作業療法を行ってもなかなか改善が望めない」というイメージが先行し
治療への物足りなさが感じられることで
転職先として選択肢に入れていないと言う意見を良く耳にします。

しかし実際は、介護保険施設といったいわゆる生活期こそ
作業療法士が活躍できる、素晴らしい職場だと言える理由があります。
しかも、施設によっては給料や福利厚生が充実しているところもあり
うまく探すと、狙い目の職場があるのも、事実です。

今回は、介護保険施設に転職することで作業療法士が得られるメリットについて詳しくまとめましたので
ぜひ最後までご覧ください。

もくじ

作業療法士が介護保険施設へ転職するメリット

作業療法士が介護保険施設へ転職すると、いくつかのメリットを得ることができます。
こうした転職するメリットを知ることで、より介護保険分野への興味が強くなるはずです。
以下に、作業療法士が介護保険施設へ転職するメリットについて記します。

介護保険に強くなる

介護保険施設を利用されている人は、基本的に介護保険認定を受けられています。
そのため、複数の介護サービスを使っている人がほとんどです。
作業療法士には、そのような利用者さんの社会復帰を支援する役割があります。
低下してしまった身体機能の改善も必要ですが「介護保険サービスという社会資源を活かすことで、いかに社会へ適応できるようにするか」ということも考える必要があります。
特に介護保険施設を利用している人は、症状が長期化している人がほとんどであるため、劇的な身体機能の改善は望めないことが多いです。
そのため、障害が残った状態でも、環境を整えたり、介護サービスを利用したりすることで社会生活をスムーズに送れるようにすることが必要になります。

つまり、介護保険施設で働く作業療法士には、治療家としての側面よりリハビリテーションの専門家としての役割が求められます
その結果、必然的に介護保険サービスについて詳しく学ぶようになるため、介護保険に関してとても強くなります。
作業療法士が介護保険について深く理解していると、さまざまなメリットがあります。
その内のいくつかを以下に挙げます。

・利用者さんを多角的な視点から支援できる
・介護保険施設へ転職する際にアピールポイントとなる
・将来的に介護保険分野で独立しやすくなる
・他職種とのコミュニケーションが取りやすくなる

といったように、作業療法士が介護保険に詳しくなると、専門職としてのスキルが向上することはもちろんのこと、転職や将来的な独立にまで影響します
以上のメリットだけでも、作業療法士として介護保険施設へ転職することは有意義だといえます。

コミュニケーション能力が向上する

介護保険施設では、利用者さんだけでなく家族や担当ケアマネ、相談員など、さまざまな人と接する機会が増えます。
介護保険施設で働く場合は、このように幅広い職種の人とコミュニケーションを取る必要があるため、幅広い知識を持っておかなければいけません
またそれだけではなく、利用者さんの家族などへの説明を行う際には、わかりやすく話すことを意識する必要があります
利用者さんの家族は、専門的な知識を持っていません。
しかし、通所施設であれば利用者さんの現生活、入所施設であれば在宅復帰後の生活は、家族の人が主に介護を行うことになります。
そのため、利用者さんの家族が状態や介護方法をしっかりと理解していないと、本人、家族共に非常に苦労することになります。
このような事態を防ぐためにも、作業療法士は利用者さんの家族とのコミュニケーションを大切にしなければいけません。
家族の方との関係性を作ることはもちろんのこと、利用者さんの現状を理解してもらうことや、一緒に生活する上での注意点、リハビリの方法など、さまざまなことを上手く伝えなければいけません。
作業療法士が介護保険施設で働いていると、このように多くの人々とコミュニケーションを取る機会があるため、必然的にコミュニケーション能力が向上します
このようにコミュニケーション能力が身に付くことも、作業療法士が介護保険施設で働くメリットの1つだといえます。

介護保険施設で注意すべきこと

作業療法士が介護保険施設で働く場合、当然ながら病院などと求められる役割も違います。
また、それに伴って注意すべきことも異なります。
そこで以下に、作業療法士が介護保険施設で働く際に注意すべきことについて述べます。

仕事内容が多岐に渡る

介護保険施設では、病院やクリニックといった医療機関と違い、身体機能的な改善よりも環境の整備といったようなリハビリテーション的な視点で利用者さんと接することが大切になります。
そのような意味でも、理学療法士や言語聴覚士といったような他のリハビリ関連職と比較しても生活面へのアプローチに詳しい作業療法士にとって介護保険施設は力を発揮しやすい職場だといえます。

しかしそのような介護保険施設では、「人手不足」という問題に悩まされているところが少なくありません。
そのため、作業療法士であっても、入浴介助や送迎といったような介護職員の仕事を任されることも多いです。
そのような現状があるために、利用者さん一人ひとりへの対応が疎かになりがちです。

病院であれば、20分や40分といったように決められた時間は、マンツーマンで患者さんに集中してリハビリを行うことができます。
そのため、一人ひとりしっかりとリハビリを行うことができます。

一方で介護保険施設では、人手不足のために一人ひとりに集中して作業療法士がリハビリを行う時間を取れないことも多々あります
また、リハビリをしているときでも常に周囲の状況に気を配る必要があります。
これは病院でも同様ですが、特に介護認定を受けられている高齢者が利用者である介護保険施設では、転倒のリスクなどが高いため注意が必要です。
このように介護保険施設では、作業療法士としての仕事だけでなく、さまざまな役割が求められます。
そのため、どうしても利用者さん一人ひとりへの対応が疎かになってしまいがちです。

作業療法士の中には、「リハビリを行うときはマンツーマンで集中したい」と考えている人も多いと思います。
ただ、介護保険施設ではこのような現状があるということは理解しておいてください。

独自の方針やルールが存在する

さらに介護保険施設では、それぞれの施設による独自の方針やルールが存在しているところが多くあります。
これはどのような職場でも同様ですが、特に介護保険施設では注意しなければいけません。

例えば、ある施設では利用者さんの自発的な行動を促すために、ティッシュボックスやゴミ箱の設置場所に工夫がわれていました。
わざと遠くにティッシュ箱やゴミ箱を置くことで、利用者さんの運動を促すというものです。
また他にも、施設内独自のお金を作り、運動や掃除、片付けをすることでその分の報酬がもらえるという制度を作っているところもあります。
そしてそのようにして得たお金は、施設内で飲み物やお菓子といったものに替えることができます。
そのことがモチベーションとなり、結果的に運動を促すことにつながります。

このように、介護保険施設では独自の方針やルールを定めているところが多くあります
そのため、あなたが作業療法士として介護保険施設に転職する際は、必ずそのような方針やルールを確認するようにしてください。
そのような独自の取り組みや方針、ルールを知らずに転職すると、転職後に失敗することにつながります。

作業療法士が介護保険施設で活躍できる根拠

先にも述べたように
介護保険施設では、利用者が日々生活している場が、仕事の舞台です。
そして、利用者の生活を豊かにするための、病院では実施できないような、実生活に則した企画やリハビリができることが魅力です。

しかしながら、利用者の多くは、慢性的な疾患や老いていく自分自身に対して、抑うつ的な精神状態や認知症の進行といった
「楽しい生活を送ることを阻む課題」が蔓延しています。

よって、こういった精神的な疾患や、認知症に対して
また、「日々の実生活に沿った取り組み」という視点での介入に長けている作業療法士こそ
介護保険施設で活躍できると言えるわけです。

訪問リハでの働き方も気になる方はぜひ
👉 OTが訪問リハへ転職するメリット、デメリット

まとめ

今回述べたように、介護保険施設へ作業療法士が働くメリットはたくさんあります。
しかも、将来の働き方にもプラスに作用することができそうです。
今回述べたような、介護保険施設ならではの注意点を知っておくと、転職後のミスマッチも防ぐことができるようになりますよね

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