老人ホームへ転職する理学療法士の求人や仕事内容、給料

理学療法士の中には老人ホームで働いている人もいます。ただ老人ホームで働く理学療法士は少なく、老人ホームの現状は把握しづらいのが実際です。

一言で老人ホームといっても、特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの2つがあります。特養と有料老人ホームでは、理学療法士が求められる仕事内容や役割が全く違います。

例えば、特養は要介護3以上の方へのリハビリであるのに対して、有料老人ホームは比較的介護度が軽い方が対象になります。また特養では、介護の仕事や夜勤などを手伝わなければいけなくなる可能性もあります。

老人ホームへの転職を考えているなら、こうした老人ホームの違いや特徴について把握しておくことが大切になります。そこで今回は「老人ホームへ転職する理学療法士の求人や仕事内容、給料」について解説します。

老人ホームにおける理学療法士求人と仕事内容、役割

老人ホームとは、介護認定を受けて自宅で一人で暮らせない高齢者が入所する施設です。ただ前述の通り、老人ホームは主に以下の2つに分類されます。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 有料老人ホーム(介護付、住宅型、健康型)

この中でも、理学療法士の求人が募集されているのは主に特養と介護付有料老人ホームです。そこで以下に、それぞれについて解説します。

特別養護老人ホーム(特養)は介護度が高い利用者対象

特別養護老人ホームは、65歳以上で要介護3以上の方が入居する社会福祉法人が運営する施設になります。そのため特養には介護度の高い高齢者が多く、理学療法士がリハビリを実施する対象も介護度の高い方が大半です。

特養における理学療法士の仕事は入居者の機能維持・向上、介護量軽減など、維持期のリハビリが中心になります。基本的には、他の病院などと同じように利用者さんに対して個別機能訓練を実施するのが老人ホームにおける理学療法士の仕事です。

例えば以下は、大阪にある特養の理学療法士求人です。

求人の主な業務内容にあるように「施設ご利用者の個別または集団での機能訓練業務」が特養における理学療法士の主な仕事内容になります。

例えば個別機能訓練では、膝が曲がりにくくズボンの着脱の介護が大変な利用者さんに対して、膝が少しでも曲がりやすくなるようにします。いま以上に膝が曲がりにくくなってズボンの着脱が難しくならないように可動域訓練をするのです。

他にも、自分で体を起こせない人に姿勢保持をサポートする道具を使って座位姿勢の練習をしたり、拘縮予防の道具を作って装着してもらったりすることもあります。また個別の機能訓練とは別に、集団で体操を任せられる施設も多いです。

さらに特養では介護スタッフが不足している施設が多く、理学療法士が介護職の仕事を任せられることもあります。例えば、おむつ交換や食事介助などを理学療法士が手伝う施設もあります。私の知人が勤める特養では、人員不足のために夜勤まで打診されたことがあるようです。

このように個別のリハビリや集団の体操によって、利用者さんの機能が落ちないようなリハビリを実施することが特養における理学療法士の役割になります。また、介護職の仕事を手伝う可能性があることも知っておきましょう。

介護付き有料老人ホームは介護度が低い利用者へのリハビリ

有料老人ホームは民間企業が運営する老人ホームであり、有料老人ホームの中でも介護が必要な方が入居しているのが介護付き有料老人ホームになります。

特養が要介護3以上でないと入居できないのに対して、有料老人ホームは介護度が低くても利用できます。施設によって入居の基準は異なりますが、介護付き有料老人ホームでは65歳以上で要支援以上の認定を受けている人を入居の基準としているところが多いです。

そのため有料老人ホームで理学療法士がリハビリの対象となる利用者さんは、介護度が低い傾向にあります。例えば以下は、千葉にある有料老人ホームの理学療法士求人になります。

この有料老人ホームは、自立している方と介護が必要な方が半々とあります。さらに詳細を確認すると、以下のように記載されています。

介護が必要な人が入居しているであろう介護棟が14室と少な目であり、平均介護度が2.5とあります。特養が要介護3以上の人しか入居できないことを考えると、介護度が低い方が多い老人ホームだといえます。

有料老人ホームにおける理学療法士の役割は、特養と同じように入居さんに対するリハビリになります。リハビリの目的も機能維持や向上、介護度の軽減など特養と変わりありませんが、介護度の低い人が多いためリハビリのレベルは高くなります

特養ではベッド上や椅子上で理学療法士が動かすような受動的なリハビリが主であるのに対して、有料老人ホームでは利用者さんが自主的に運動するリハビリが多いです。例えば、有料老人ホームでは屋外歩行訓練などを実施する場合もあります。

もちろん介護度が高い人には、ベッド上や椅子だけでリハビリを実施することもあります。ただ、特養と比べると有料老人ホームは運動レベルの高いリハビリを行うことが多くなります。

ちなみに有料老人ホームは、特養のように人員不足で介護職の仕事を任せられることは少ないです。

特養と有料老人ホームにおける理学療法士の役割の違い

ここまで述べたように特養と有料老人ホームでは、対象となる利用者さんの介護度が違うため実施するリハビリの内容も異なります。ただ、特養と有料老人ホームの違いはそれだけではありません。施設側が理学療法士に求める役割が全く違うのです。

特養は施設の人員基準として、栄養士か理学療法士(機能訓練指導員)を一人配置しなければいけません。また理学療法士を雇用して利用者さんに対してリハビリを実施することで「個別機能訓練加算」という加算を算定できます。つまり施設基準を満たすために雇用しなければいけませんし、施設側の売上になるということです。

ただ機能訓練加算は理学療法士でなくても、機能訓練指導員と認められた作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師でも同じように加算が取れます。例えば以下は東京にある特養の求人です。

求人に「特別養護老人ホームでの機能訓練指導員」とあります。特養では、理学療法士というよりも機能訓練指導員を求めている求人もあり、そうであれば理学療法士でなくてもいいのです。

その一方で有料老人ホームは、施設基準として理学療法士などの配置は決められていません。もちろん理学療法士を雇用して届け出を出せば、個別機能訓練加算を請求できます。

ただ個別機能訓練加算は、理学療法士を雇用できるほど点数が高いものではありません。つまり、個別機能訓練加算のためだけに理学療法士を雇うのであれば、施設にとってマイナスなのです

それでも理学療法士の求人を募集するのには理由があります。それは、理学療法士のリハビリがあることを施設の強みとするためです。リハビリに力を入れている有料老人ホームというだけで利用希望者が増えるのです。

例えば以下は、横浜市にある有料老人ホームの施設紹介ページになります。

見てわかるように「リハビリ強化型ホーム」と目立つように記載しています。利用者さんも、リハビリ強化という文字に引かれてその施設を選びます。つまり、理学療法士を募集している有料老人ホームは、施設としても理学療法士を求めている上にリハビリの意欲が高い利用者さんが多いのです。

このように特養が施設基準を満たした上で個別機能訓練加算を算定するためである一方で、有料老人ホームは施設の売りとして理学療法士を募集しているのです。そのため有料老人ホームでは、特養と比較すると施設や利用者さんから高いリハビリの質を求められる可能性が高いことを知っておきましょう。

老人ホームへ転職した理学療法士の給料

なお老人ホームの給料ですが、特養と有料老人ホームによる違いはありません。理学療法士の平均年収が300~400万円と考えると、老人ホームの給料は高い傾向にあります。老人ホームの経営は個人ではなく、大手や規模が大きな法人が多いためです。また老人ホームで働く理学療法士が少ないのも、給料が高い要因の一つになっています。

例えば以下は、静岡県にある特養の理学療法士求人です。

求人にあるように月給が22万円、通勤手当が5万円、賞与が初年度4ヶ月分とあります。住宅手当に関しては詳細がありませんが、2万円前後の施設が多いため2万円と設定して計算します。以下がこの求人の年収になります。

  • (月収22万円 + 通勤手当5万円 + 住宅手当2万円)× 12ヶ月 + (月収22万円 × 賞与4ヶ月) = 436万円

理学療法士求人で年収が400万円を超す求人は稀であるため、非常に好条件の求人だといえます。このように、老人ホームの給料は理学療法士の中でも高い方になります。

オープニングスタッフならさらに高収入も狙える

また老人ホームでも、オープニングスタッフだとさらに高収入を狙うことも可能です。例えば以下は、東京にある特養のオープニングスタッフ募集の求人になります。

求人にあるように月給が28万円(基本給22万円)、住宅手当が1万5000円、通勤手当が4万円、賞与が3.8ヶ月分とあります。この求人の年収は以下のようになります。

  • (月給28万円 + 住宅手当1万5000円 + 通勤手当4万円) × 12 + (基本給22万円 × 賞与3.8ヶ月) = 485万6000円

オープニングスタッフの老人ホームになると、年収が500万円近い求人も存在するのです。そのため、あなたができるだけ高年収の老人ホームへ転職したいと考えているなら、オープニングスタッフとしての転職を考えるようにしましょう。

老人ホームの理学療法士求人は少ない

平均的に給料が高い老人ホームの理学療法士求人ですが、他の求人と比べて数が少ない傾向にあります。先に述べたように、老人ホームは理学療法士の配置が必須ではないためです。

例えばある理学療法士の求人サービスで検索すると、デイサービスの求人は347件あります。

その一方で同じサイトで老人ホームを検索すると、130件しか求人が出てきません。これは特養と有料老人ホームを合わせた数です。

老人ホームの理学療法士求人はデイサービスの半分も求人がありません。先に述べたように老人ホームは理学療法士の配置が義務付けられていないため、そもそも理学療法士を募集している施設が少ないのです。

このように、老人ホームの理学療法士求人での年収は高い傾向にありますが、圧倒的に数が少なく働きたい地域の老人ホームの求人を見つけるのは難しいといえます。

転職サイトなら老人ホームの理学療法士求人が見つかりやすい

ただインターネット上の求人サイトではなく、転職サイトで検索すれば老人ホームの求人数は一気に増えます。転職サイトは表に出ていない非公開求人がたくさんあるためです。

例えば以下は、ある理学療法士専門の転職サイトで検索した結果になります。

東京の老人ホームという検索で422件も求人が見つかりました。先ほどの求人サイトでの検索数が全国で130件だったことを考えると非常に多いです。

もちろん表示されている求人の中に介護老人保健施設などの老人ホーム以外の求人も入っています。ただ、それでもインターネット上の求人サイトとは比べ物にならないことは明らかです。

このように老人ホームの理学療法士求人は、求人数が非常に少ない傾向にあります。そうした中で、できるだけ多くの求人から転職先を選びたいのであれば自ら検索できる求人サイトよりも、リハビリ職に特化した転職サイトを活用するようにしましょう。

老人ホーム求人への転職を理学療法士が成功させるためには

老人ホームで働いている理学療法士は少ないです。ただ老人ホームの理学療法士求人は他の理学療法士求人と比べると給料が良い傾向にあります。しかもオープニングスタッフなら、年収500万円近くを狙うことも可能なのです。

ただ特養であれば介護度が高い利用者さんが対象になり、集団体操や介護の仕事を任せられる可能性があることを知っておいてください。

また老人ホーム自体の求人数が少ないため、地域などの働く条件に合った求人が見つかりにくいです。そのため老人ホームの求人を探すときには、求人数が多い転職サイトを利用した方が希望に合った求人が見つかる可能性が高くなります。

こうした老人ホームの仕事内容や給料、求人数の状況を理解して転職活動を行い、理想の老人ホーム求人への転職を成功させるようにしましょう。



リハビリ関係者が転職を考えるとき、転職サイトを活用するとより自分の希望に沿う求人を見つけることができるようになります。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉まで行うのは現実的ではありません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設を含め、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって特徴が大きく異なります。例えば、電話だけの対応で素早さを重視する会社があれば、面接まで同行することで難しい案件への対応を得意としている会社もあります。他には、大手企業に強みを発揮する会社があれば、地方求人を多く保有している会社もあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。


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