言語聴覚士の病院における役割と医療機関へ転職するメリット

 

言語聴覚士(ST)の仕事は、コミュニケーションや摂食、嚥下などに障害がある方への支援になります。また、幼児における言語機能の発達遅延に対するリハビリも行うため、その対象者は多岐にわたります。

 

そのような言語聴覚士の就職先は、病院、保健関連施設、教育関係施設、福祉関係施設の大きく4つに分けることができます。

 

今回はその中でも、病院における言語聴覚士の仕事内容について説明します。

 

脳血管障害による後遺症

病院においては、理学療法士や作業療法士と同じようなリハビリテーション科に所属することになります。その中でも、言語聴覚士によるリハビリが多く求められるのは、脳血管障害を罹患された方たちです。

 

脳血管障害を発症すると、ほとんどのケースで後遺症が生じます。その中で、歩くや立ち上がるなどの基本的な動作は理学療法士が専門的なリハビリを行います。

 

また、歩いて外出する、立ち上がった状態で歯を磨く、などの応用的な動作は作業療法士が支援します。

 

一見すると、脳血管障害の後遺症としては、そのような運動機能の障害が目立ちます。しかし、ほとんどの人が、話す、書く、飲み込むといったようなコミュニケーション能力や嚥下、摂食機能に対しても障害をおっています

 

このような、コミュニケーションや嚥下、摂食障害に対してリハビリを専門的に行うのが言語聴覚士です。

 

脳血管障害の後遺症で多いのは、「上手く話せない」「話が理解できない」「文字が読めない」といったような言語障害や、「上手く噛めない」、「上手に飲み込めない」といったような嚥下障害です。

 

言語聴覚士は、そのような障害に対して、文字や絵などを利用し言葉を引き出したり、唇や舌、口の体操を行うことで言葉を発しやすくしたり、食べ物を飲み込みやすくしたりするようなリハビリを行います。

 

このように、脳血管障害の後遺症が生じた方に対しては、理学療法士と作業療法士、言語聴覚士がチームとなって社会復帰を支援します。

 

その他の疾患

言語聴覚士によるリハビリの対象は広く、「がん」を患った人に対しても行われます

 

例えば、舌がんや咽頭がん、食道がんなどは、言語聴覚士によるリハビリが行われる疾患です。これらの病気は、その病状の進行や、手術、放射線、抗がん剤などの治療の影響によって摂食、嚥下障害が多々生じます。

 

その他にも以下のような「がん」で、摂食、嚥下障害が引き起こされる可能性があります。

歯肉がん、口腔底がん、硬口蓋がん、頬粘膜がん、軟口蓋がん、扁桃がん、喉頭がん、肺がん

 

がんによる嚥下、摂食障害の具体的な症状としては、「喉に食べ物が引っ掛かる」「唾液の分泌が少なくなった」「むせることが多くなった」などがあります。

 

言語聴覚士は、そのような人達に対して、飲み込む方法や飲み込みやすい姿勢、食事の食べ方などを練習したり、指導したりします。また、管理栄養士とも協力することで、食事の作り方や栄養摂取の方法なども併せて行います。

 

また、手術によって喉頭を摘出したり、声帯を切除したりした場合は、声を出す機能が失われます。そのような時は、以下のような方法で、代用の音声を獲得することができます。

 

人工喉頭

小型マイクのような人工の喉頭を喉に当てることで、声を出せるようになります。言語聴覚士は、人工喉頭の使用方法や、話す時のコツなどを指導します。

 

食道発声

通常は、声帯を振動させることで声を発します。しかし、声帯の代わりに食道の粘膜を震わせることでも音を出すことができます。言語聴覚士は、このように食道を使った発声を習得する方法を指導します。

 

シャント発生

気管と食道に器具を挿入することで、発生することが可能になります。言語聴覚士は、このような手術の後に、声の出し方を指導します。

 

このように、脳血管障害だけでなく、がんを患った患者さんに対しても、言語聴覚士によるリハビリは行われます。

 

言語聴覚士が医療機関へ転職するメリット

ここまで述べたように、病院における言語聴覚士の役割は、主に脳血管疾患の患者さんに対してリハビリを実施することです。

 

そして、言語聴覚士として病院などの医療機関へ転職することには、いくつかのメリットがあります。その中でも、「治療技術の向上」と「他職種との連携」は、言語聴覚士の中でもよく挙げられる医療機関へ転職するメリットです。

 

以下に、言語聴覚士が医療機関へ転職することで得られるメリットについて記します。

 

治療技術の向上

言語聴覚士として働いている人の中には、介護保険施設や社会福祉施設などの高齢者や障害者を対象とした職場に勤務している人も多くいます。

 

このような職場では、先天性疾患や脳梗塞といったように完全な回復が難しい人たちに対してリハビリを行うことが、言語聴覚士の仕事となります。そのため、もちろん治療的な側面も求められますが、リハビリテーションを支援する専門家としての役割が必要になります。

 

つまり、抱えている障害を踏まえた上で、いかに工夫して社会生活をスムーズに送ることができるように支援できるかということがポイントになります

 

一方で病院やクリニックといった医療機関では、手術や事故によって言語やコミュニケーション機能が低下した患者さんを対象に、リハビリを行うことが言語聴覚士の役割となります。

 

このような医療機関では、介護保険施設や社会保険施設とは違ったことが求められます。それは、医療機関の場合、問題と向き合いながら上手く生活をすることではなく、「いかに問題が残らないように治療するか」ということが大切になります。

 

そのため、言語聴覚士として医療機関に転職すると、治療技術が向上しやすいというメリットがあります。

 

他の医療スタッフとの連携

今まで述べたように、病院やクリニックといった医療機関では、言語聴覚士には治療者としての役割が強く求められます。起こっている問題が残らないように、いかに治療やリハビリを行っていくかがポイントです。

 

そのため、医師や看護師など、他の医療スタッフとの連携が重要になります。患者さんの健康状態や回復状況などに関する情報を、それぞれのスタッフと密に交換することが大切です。

 

医師からは、病態から予測できる回復の程度や、リハビリを行う上でのリスクなどの情報を得ます。また、看護師からは患者さんの性格を教えてもらったり、病棟での生活状況などを聞いたりすることで、リハビリ中における患者さんとの対応に役立てることができます。

 

さらに、理学療法士や作業療法士といった、他のリハビリ職者とも連携してリハビリ計画を立てることも必要になります。

 

このように、医療機関で働く場合は他スタッフとの連携が大切になります。そのため、医療に関係したさまざまな職種の人と話をする機会が多くなります。このことも、医療機関で言語聴覚士として働くメリットだといえます。

 

言語聴覚士が医療機関へ転職すると、以上のようなメリットを得ることができます。

 

このような医療機関における言語聴覚士の求人は、保健諸や保健センター、ことばの教室といったような他の転職先と比べると見つかりやすいものだといえます。ただ、同じ医療機関といっても現場によって働く環境は異なります。そのため、あなたに適した職場を見つけて転職することが大切です。

 

その際に、転職サイトに登録すると専門のアドバイザーがあなたに適した求人情報を紹介してくれます。その結果、転職後のミスマッチを避けることができます。転職で失敗しないためにも、転職サイトを上手く活用することをお勧めします。

 

言語聴覚士が医療機関への転職時に注意すべきこと

病院などの医療機関では、毎日多くの患者さんと接するだけでなく、他職種との連携も必要になるため、言語聴覚士としてのスキルが向上しやすい環境といえます。

 

また高齢化の影響もあって、医療機関における言語聴覚士の需要も高くなっています。そのため、医療機関の求人情報は見つけやすいというメリットもあります。

 

ただ、病院などの医療機関で言語聴覚士として勤務するゆえに注意しなければいけないこともあります。そのことを理解した上で転職先として選択しないと、転職後にミスマッチを起こすことになります。

 

そこで以下に、言語聴覚士として医療機関(病院・クリニック)に転職する際に注意すべきことについて述べます。

 

高い治療技術が求められる

言語聴覚士が病院やクリニックといった医療機関で働く場合、介護保険施設や社会福祉施設と求められる役割が大きく違います。

 

病院などの医療機関では、治療家としての役割が言語聴覚士には求められます。その一方で、介護保険施設や社会福祉施設などでは、リハビリテーションを支援する専門家としての働きが必要になります。

 

介護保険施設や社会福祉施設などにおける言語聴覚士の対象者は、先天性疾患や脳梗塞後の後遺症といったように完全な回復が難しい人になります。

 

そのため、もちろん機能改善も必要ですが、「障害を抱えた状態で、いかに社会生活をスムーズに行うか」というような視点を持って、利用者さんと関わっていくことが強く求められます。

 

一方で病院やクリニックなどの医療機関では、手術や事故によって一時的に問題が強くなっている人を対象とすることが多くなります。

 

そのような場合は、「いかに障害が残らないように治療するか」という治療家として側面が言語聴覚士には求められます。

 

そして医療機関においては、患者さん自身も機能の改善を強く望んでいることがほとんどです。そのため、治療が上手く進まないような場合は、患者さんから「何で良くならないの?」「いつまでに治るの?」という言葉をかけられることも多々あります。

 

このように、病院やクリニックといった医療機関では、介護保険施設や社会福祉施設と比較すると言語聴覚士には高い治療技術が求められます

 

人によっては、そのことが強いプレッシャーなるということも、言語聴覚士が医療機関へ転職する際には注意すべきことだといえます。

 

休みが取りづらい

病院などの医療機関に限ったことではありませんが、言語聴覚士は理学療法士や作業療法士といった他のリハビリ職者よりスタッフ数が少ないです。これは、言語聴覚士全体の数が多くないことが原因です。

 

しかし、医療機関には言語聴覚士によるリハビリが必要な人が多くいます。そのため、少ない人数で多くの患者さんを担当しなければいけないという状況になりやすいです。

 

そうなると、代わりの言語聴覚士がいないため、有給休暇を利用して長期休暇を取ったり、希望する日に休みを取ったりすることができません。ゴールデンウィークや盆、正月といった祝日なども勤務しなければいけないようなこともあります。

 

これが、聾学校やことばの教室、保健所などであれば、職場自体が祝日などは休みであるため気にする必要はありません。

 

一方で「365日リハ」を行っている病院では、そのような祝日でもリハビリをしているため、休むわけにはいきません。また医療機関で対象となる人は、回復過程にある人が多く、「言語聴覚士によるリハビリが長く行われないと回復が遅くなってしまう」という人も少なくありません。

 

そのため、病院などの医療機関で働く言語聴覚士は、特に休みが取りづらいといえます。医療機関へ転職する場合は、このことも理解しておくことが大切です。

 

今回述べた脳血管障害や「がん」の後遺症は、病院に勤める言語聴覚士が対象とする代表的なものです。転職する際は、あなたが行いたいことを明確にした上で、その病院では、どのような患者さんに対するリハビリが主に行われているかをしっかり確認することが大切になります。

 

そして、病院などの医療機関へ転職するメリットや注意点を明確に理解しておけば、転職によるミスマッチを防ぐことにつながります。



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