PT・OT・STが転職時の退職時期に注意すべき理由:退職金

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリ職者に限らず、転職する際は、働いている職場を退職しなければいけません。

 

そして、退職する際に多くの人が悩むことがあります。それは「退職の時期」です。

 

「新年から新しい職場に行きたいから今年一杯」や「子供の入学に合せて3月一杯」など、退職時期を決める理由は人それぞれです。

 

その中でも、退職時期を決める際に注意すべきこととして「退職金」があります。退職金はあるところとないところがありますが、退職する時期がわずか数ヵ月早まるだけで貰えなかったということはありえます。

 

そこで今回は、退職時期を決める要素として退職金について述べます。

 

退職金とは

退職金とは、退職した社員に支払われるものです。退職手当や退職慰労金など、さまざまな名称で呼ばれます。

 

退職金というと、どのような会社でも支給されるものと考えている人が多いです。ただ退職金の支払いは法律で決められているわけではないため、退職金制度を導入していない企業もたくさんあります。

 

そうは言っても、就業規則に退職金の規定を明記している場合は賃金の一部とみなされるため、支給することを義務づけられます。

 

また、就業規則で退職金について明記している場合は、以下の内容を記す必要があります。

 

 ・適用される社員の範囲
 ・退職手当の計算方法
 ・退職手当の支払い方法
 ・退職手当の支払い時期

 

基本的には、退職手当は主に勤続年数と能力によって計算されます。そのため、勤続年数が長く、能力が高い人ほど退職手当は多くもらえます。

 

さらに、ほとんどの企業では退職理由によって支払われる金額が異なります。例えば、会社都合の退職であれば100パーセント支給であっても、自己都合の退職の場合は50パーセントしか払われないというところは多いです。

 

一般的には、懲戒解雇などのケースでは支給されないところがほとんどです

 

そして忘れてはいけないことが一つあります。それは、退職金にも所得税と住民税が課せられるということです。ただ、税率も通常の給料よりは低くなっているため、そこまで大きく引かれることはありません。

 

PT・OT・STの退職金相場

PT・OT・STにおける退職金は、勤続年数によって異なるため、平均的な相場を述べることは難しいです。職場の就業規則によって退職金の計算方法が記載されているため、就業規則を確認するしかありません。

 

そうはいっても、退職金の計算は、だいたい似たような式で算出されているのが現状です。

 

例えば、病院で勤めるPT・OT・STの退職金では「勤続月数 × 5000円 × 給付率」といった計算式はよくみられます。また、「基本月給 × 勤続年数 × 給付率」なども多いです。

 

ここでいう給付率とは、会社ごとに決められた値になります。平均的な給付率は自己都合での退職が58%、会社都合による退職が67%程度とされています。ただ既に述べたように、PT・OT・STが勤める職場では、自己都合による退職の場合は給付率が50%となっているところがほとんどです。

 

このように、PT・OT・STが受け取ることができる退職金は職場や給料、退職理由などによって大きく異なります。そのため、退職金が気になる人は、事前に就業規則で確認しておくことが大切です。

 

退職金をもらえる期間がある

基本的に、退職金をもらうには一定期間以上勤務することが求められます。その期間は、企業ごとに異なりますが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く病院では、3年というところが多いようです。

 

転職後は、何かとお金が必要になるものです。そのため、退職金をもらっているかどうかでは生活にかかる負担が大きく変わります。

 

当然ながら、もらえるのであれば退職金をもらってから退職した方が得です。こうしたことから、あなたが退職しようと考えている月に退職した場合に退職金が支給されるかどうかを確認しておきましょう。退職金制度がある職場であれば、就業規則に何年以上の勤務で退職金が支給されるかは明記されています

 

このことを確認しておかないと、退職時期がわずかにズレるだけで退職金が支給されないことになる可能性があります。

 

例えば、退職金の支給が3年以上の勤務からである職場に勤めているとします。そしてあなたは3年前の5月に働き始めて、今年の3月一杯で退職しようと考えています。この場合、3月に辞めると退職金は出ませんが、後2ヶ月勤務すると支給されます。

 

たった2ヶ月で退職金が支給されるかどうかが変わります。そのため、退職する際は退職金制度の内容を確認し、退職金がいつまで働くと支給されるかを把握することが大切です。

 

退職金に関係する税金知識

PT・OT・STが退職金をもらって退職したときに注意しなければいけないことがあります。それは、退職金にかかる税金です。退職金に関しては、退職者が提出する書類の有無によって税金の支払い方法が異なります。場合によっては、あなた自身で確定申告を行わなければいけないケースもあります。

 

そこで以下に、PT・OT・STの退職金に関係する税金に関して解説します。

 

確定申告が必要ないケース

退職金には、基本的に「退職所得」として税金が課せられます。そして、退職所得は、他の所得と分けて計算しなければいけません。こうした他の所得と合算して計算されない税金を「分離課税」といいます。

 

また退職金に関しては、「退職所得の需給に関する申告書」というものがあります。

 

これは退職金を受け取るまでに勤務先に提出すると、勤務先で退職金に関する正確な計算(退職所得控除を含めた)が行われ、その額が源泉徴収されます。

 

一方で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、退職所得控除が考慮されず、「一律20パーセント」が源泉徴収されることになります。つまり、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職金の額によっては過剰に税金が源泉徴収されている可能性があります。

 

そのため、確定申告をすることで、余計に源泉徴収された分の還付を受けることができるケースがあります。

 

しかし、退職年に再就職した場合や勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合には、基本的に確定申告の必要はありません。ただ、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を出した場合でも、確定申告をすることで還付を受けられるケースもあります。

 

それは、給与所得などから差し引ききれなかった所得控除がある場合です。

 

所得控除とは、税金がかかる金額を計算する際に、総所得から差し引いて計算することができる額です。税金は、総所得ではなく課税所得(総所得−所得控除)に適応されるため、所得控除額が高くなるほど、支払わなければいけない所得税額は少なくなります。

 

所得控除は、大きく分けて「物的控除」と「人的控除」の2つに分類されます。

物的控除

人的控除

・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄付金控除

・障害者控除
・寡婦(寡夫)控除
・就労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除

 

以上の所得控除の中で、退職するまでの給与所得から引ききれない(給与所得が控除額以下の場合など)は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合であっても、確定申告をすることで還付を受けることができる可能性があります。

 

ただ、こうした計算は非常に複雑です。そのため、以上のように税金が還付される可能性がある場合には、税務署に確認しにいくことをお勧めします。

 

退職所得の計算方法

基本的に、同年に再就職する場合や、退職する際に勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人は、退職金について確定申告を行う必要はありません。

 

一方で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職所得が控除されずに、一律20パーセントの税率で所得税がかかるため、過剰に税金が徴収されている可能性があります。そのため、そうしたケースでは確定申告によって還付を受けることができる可能性があります。

 

退職所得金額は、「(退職金の収入金額−退職所得控除額)×1/2」で計算されます。このように退職金は、もらった額にそのまま税金がかかるのではなく、「退職所得控除」が差し引かれた後の半分の額に対して税金がかけられます。

 

そして、退職所得控除額は以下のように、勤続年数によって異なります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低額80万円)
20年超え 70万円×(勤続年数−20年)+800万円

*勤続年数に関しては、1年未満の場合は切り上げ(例えば勤続年数が30年と1ヶ月であれば31年で計算)

 

この計算に当てはめると、一般的なPT・OT・STであれば、ほとんどの場合に退職金にかかる税金はないといえます。

 

例えば、勤続年数が5年で、退職金が100万円出たとします(極端に退職金を大きくしています)この場合は、税金がかかる退職所得は以下のように計算されます。

 

退職所得額=「100万円−200万円(40万円×5年)」×1/2

 

つまり、退職所得額がマイナスとなるため、退職金には税金がかかりません。これだけ多くの退職金をもらっても税金が発生しないため、多くのPT・OT・STの退職金には、税金がかからないといえます。

 

実際に、退職金で税金がかかるのは、勤続30年で退職金が1500万円を超えるような人だけです。

 

退職金にかかる税金はこのようにして計算されます。

 

ちなみに、所得税は超過累進化税率が適用されて計算され、住民税は一律10パーセントの税率によって計算されます。

 

 所得税の速算表

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下 5パーセント 0円
195〜330万円以下 10パーセント 9万7500円
330〜695万円以下 20パーセント 42万7500円
695〜900万円以下 23パーセント 63万6000円
900〜1800万円以下 33パーセント 153万6000円
1800万円超 40パーセント 279万6000円

 

今回述べたように、退職金が支給される条件は病院や施設によって異なります。そして、退職時期がたった数ヵ月早いだけで退職金が全くもらえないということもあります。

 

そうならないためにも、退職を考えた際は就業規則で退職金制度の内容を確認することが大切です。退職金が支給される時期も、退職時期を決定する要素の一つとして考慮するようにしてください。

 

また、退職金に関する税金についても理解しておくようにしましょう。


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