PT・OT・STがキャリアアップに必要な人事評価の知識

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリ職者に限らず、多くの人はキャリアアップを望みます。ここでいうキャリアアップとは「収入が上がること」を意味します。キャリアアップは、転職する理由としてもよく挙げられるものです。

 

しかし今の職場におけるキャリアアップでも、転職によるキャリアアップにしても、必ず必要なことがあります。それは「会社側から評価されること」です。

 

そのため、キャリアアップするためには、人事評価について理解しておくことが大切です。

 

そこで今回は、「PT・OT・STがキャリアアップに必要な人事評価の知識」について解説します。ここでは、人事制度の基礎、成果主義の問題点、相対評価と絶対評価、目標管理制度と等級制度について述べます。

 

人事制度について学ぶ

PT・OT・STが働く職場のほとんどにおいて、評価は「人事制度」によって行われています。そのため、人事制度について学んでおくことは、キャリアアップを行うために必要なことだといえます。

 

そこで以下に、人事制度の基盤について述べます。

 

人事制度とは

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く職場でも同様ですが、どのような会社にも人事制度があります。

 

人事制度とは、組織内における人事的な決まりごとの総称を指します。

 

組織(企業)は人(従業員)が集まってできるものです。そして企業が成長するためには、組織に対して従業員がいかに力を発揮してもらうように働きかけるかが大切になります。

 

そのためには、経営者と従業員の関係が円滑であり、なおかつ従業員のやる気を高める必要があります。そうなるために、従業員の処遇などについて決まりごとを作り、ルール化したものが人事制度になります。

 

つまり、人事制度を作る目的は以下の2点になります。

 

 ・経営者と従業員の良好な関係性を築き、保つため
 ・従業員のモチベーションを高め、結果的に業績を高めるため

 

この2つを同時に達成するようなルールであれば、人事制度は有効なものになるといえます。そのため、人間関係ばかりに重きを置いた施策でも問題ですし、あまりに成果主義により過ぎたものでも人事制度の本来の目的は果たせません。

 

2つが相乗効果を発揮するような人事制度を作ることが、大切だといえます。

 

人事制度の基盤

このような人事制度は、どのような職場であっても基本的には「等級制度」「評価制度」「給与制度」の3つが基盤になります。これは、規模が大きくても小さくても同様です。

 

具体的には、等級制度は「企業が従業員に求めるもの」、評価制度は「会社が求めていることと、従業員の現状とのギャップ」を表すものになります。そして、その結果として、給与(給与制度)に結びつきます。

 

つまり人事制度は、まず「企業が従業員に対して求めるもの」を明確にすることが大切だといえます。このような評価基準が曖昧であると、従業員は何を目指して頑張れば良いのかがわからず、モチベーションも仕事効率も上がりません。

 

さらに以上の3つに「教育制度」を加えることで、企業が求めるものと社員の現状とのギャップを埋めることになります。

 

このように、「等級制度」「評価制度」「給与制度」「教育制度」の4つを基盤にして制度を作ることで、先ほど述べたような人事制度の目的を達成することができるようになります。その結果として、「人材育成」や「企業の業績向上」につながります。

 

これは、どのような職場でも共通のことです。そのため、雇われる側としては逆に「企業が自分に対して求めているもの」を常に意識して仕事することが大切です

 

そうすることで、企業側から高い評価を受けるようになり、結果的にキャリアアップにつながります。

 

このように人事制度について学ぶことで、どのようなことを意識して仕事を行うとキャリアアップできるかを理解することができます。そしてこれは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者における転職の際にも応用できるため、ぜひ頭に入れておいてください。

 

相対評価と絶対評価

既に述べたように、PT・OT・STがキャリアアップを行うためには会社側から評価されなければなりません。そのため、会社がどのような基準で社員を評価しているのかを知っておくことは大切です。

 

そこで以下に、会社側の評価の基本である「相対評価」と「絶対評価」について述べます。

 

評価基準を知る

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者に限らず、組織に雇われている場合は病院や会社側から給料をもらっています。そして当然、その給料の額は人によって異なります。

 

このように、人によって給料が異なるのは、「会社側からの社員に対する評価の違いがある」ためです。

 

例えば、AとBいう社員がいます。Aは真面目な性格であり、営業で毎日数件の契約を取ってくるような人物です。一方Bは、遅刻をしたり仕事中にサボったりするような人であり、実績もAの半分にも満たないような仕事ぶりです。

 

この2人の場合、会社側からは当然Aという社員の評価が高くなります。その結果、BよりもAの方が給料は高くなります。

 

この時に、評価される基準は会社によって異なります。例えば理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者であれば「担当患者さんの数」「持っている資格の数」「接遇能力の高さ」「管理職の有無」などが例として挙げられます。

 

どのような会社にしても、このような評価基準というものがあります。そしてその基準を基に、社員は評価され、給料に反映されます。

 

このように人によって給料が異なるということは、会社は「何か」を基準にして、社員を評価しています。その「何か」を知ることであなたがキャリアアップするためにアピールすべきことが変わってきます。

 

「相対評価」と「絶対評価」

そしてそのような評価の基本として、「相対評価」と「絶対評価」というものがあります。

 

相対評価とは「同じ会社内における他の社員と比較して順位をつける」といったような評価方法です。会社の平均実績を割り出して、それを基準に評価を行います。

 

一方、絶対評価とは「決まった評価基準に合わせて一人ひとりを評価する」といった方法です。これはある基準と比較するものであり、相対評価のように他の社員と比べることはありません。個人の能力や実績と、会社が定める基準を合わせることで判断します。そのため、当然階級ごとに評価基準を設ける必要があります。

 

どちらの評価方法にもメリット、デメリットはありますが、個人的には、会社が成長するためには絶対評価の方が良いと考えます

 

例えば、相対評価であれば人と比較するため、「AはBと比べて頑張っている」など、上司の主観的な印象によって評価が変化します。また、「Aは実績を出し、目標を達成しているけど、最良評価が他に7人もいるから良評価にしておこう」といったことが起こりえます。

 

一方、絶対評価であれば基準が明確であるため、相対評価のように上司の主観によって評価が変わることはありません。また、「最良評価の人数が多いから」などの理由で、評価が下がることはありません。メンバー全員が実績を出し、目標を達成した場合、全員が「最良評価」になります。

 

評価基準が明確でない会社の場合、相対評価となっていることがほとんどです。

 

そして相対評価を用いると、働く側としては「社員Aの評価が高いということは、自分は低くなるのだろう」「Aと比べられたら、いくら頑張っても評価されない」など、人事評価に対して、諦めたような不満を持つ人が多く出てくる可能性があります。

 

それが社員同士における足の引っ張り合いやモチベーションの低下につながります。そしてその結果、会社全体の利益が下がります。

 

あなたの会社はどちらの評価方法を用いているでしょうか。おそらく「コンピテンシーシート」などを利用し評価基準が明確なところでは、絶対評価が行われているはずです。どちらにしても、まずはこのような評価方法があることを知っておくことが大切です。

 

成果主義

人事制度における評価制度の一つとして、成果主義があります。成果主義とは、PT・OT・STが出した成果に応じて評価が決められるものです。PT・OT・STが勤める病院や施設では、あまり使われていませんが、一般的な企業では成果主義による評価を用いているところが少なくありません。

 

そのため、PT・OT・STであっても、成果主義について学んでおくことは有効です。そこで以下に、多くの組織で用いられている「成果主義」について述べます。

 

成果主義とは

成果主義とは、数字や売り上げなど社員が成し遂げた「成果」のみを判断基準として用いられる評価方法です。一般的には、長くても半期という短期間で目標を設定し、その成果によって評価や報酬が決まります。

 

これは1999年代〜2000年代前半というバブル崩壊後の時期に、年功序列型の報酬制度が維持できなくなったために導入されたものです。

 

成果主義は一見すると経営者や上司の主観に左右されないため、公正な人事評価として考えられます。また社員が成果を上げると、その分報酬は上がりますし会社の業績も高くなるため、雇う側、働く側の両者にとって良い制度のように思えます。

 

成果主義の問題点

このように万能かと思われた成果主義ですが、バブル崩壊後に成果主義を用いた会社は、ほとんどが失敗しました。

 

それは、成果主義には以下のような問題点があったためです。

 

 ・売上以外は数値化できない成果という定義の難しさ
例えば理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く病院であれば、リハビリ職者は担当者数や1日の単位数など、目標を数値化することが可能です。

 

一方で同じ病院内であっても、受付事務員などは数値化できるような目標を立てることが難しくなります。

 

そうなると、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者に関しては評価基準が明確になりますが、受付事務員などは評価が曖昧になってしまいます。その結果、病院全体としての基準が一定しないため評価制度が機能しなくなります。

 

 ・過酷な目標設定に対するストレス
人によっては、目標があることでモチベーションの向上につながる人もいます。その一方で目標が過度なプレッシャーとなり、思うように能力が発揮できなるような人もいます。

 

そのことで仕事の効率も悪くなり、最終的には体調を崩すことにつながります。

 

 ・自己成績にこだわることで生じる人間関係の悪化
また成果主義のため、自己成績にこだわり過ぎる人も出てきます。

 

基本的に、組織はチームによって成り立っています。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く病院でも同様ですが、社員がお互いに協力することで質の高いサービスを提供できるようになります。

 

例えば、自己成績にこだわり過ぎることで、「知識や人脈を、他の社員に教えることは損」などといった考えを持ってしまうとチームとして上手く機能しなくなります。つまり、社員同士で足を引っ張り合うという状況になります。

 

その結果、人間関係の悪化だけでなく会社全体としてのサービスにおける質や収益が低下してしまいます。

 

 ・失敗を恐れて立てられる低い目標(チャレンジ精神の減退)
成果主義では、「立てた目標を達成するかどうか」が唯一の評価基準になります。つまり、目標を達成できなかった場合は評価も低くなり報酬も下がります。

 

そうなると、「初めから達成できるような低い目標を立てることで、評価が下がらないようにしよう」と考える人が必ず出てきます。そして結果的に、社員のチャレンジ精神の減退につながります。

 

以上のように、万能だと思われていた成果主義もこのような問題点から失敗に終わった会社も少なくありませんでした。

 

成果は、重要な評価基準の一つであることは確かです。しかし、あくまで「チームワーク」や「変革力」「企画提案力」など、さまざまな評価基準における一つの要素でしかありません。成長する会社は、このような総合的に評価するような制度を用いているところがほとんどです。

 

まずは、あなたが働いている職場や転職しようとしている会社の評価基準が成果だけになっていないかを確認するようにしましょう。そうすることで、キャリアアップだけでなく会社の将来性を予測することにもつながります。

 

目標管理制度と等級制度

PT・OT・STが働く職場で用いられる評価基準として、目標管理制度と等級制度があります。キャリアアップするためには、これら2つの評価基準についても理解しておく必要があります。

 

そこで以下に、目標管理制度と等級制度について述べます。

 

目標管理制度

目標管理制度とは、1954年に、「ピーター・F・ドラッカー」によって提唱されたマネジメント方法です。日本における会社の約70パーセントがこの制度を利用していると言われています。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く病院などでも多く導入されているものです。

 

目標管理制度における一番の特徴は、「自主性」と「自己統制」にあります。

 

一般的に目標というと、上司や会社側から与えられるものであるというイメージが強いと思います。しかし目標管理制度における目標は、組織の目的に対して命令や強制ではなくあなた自身が自ら目標を立て、それを達成しようというものです。

 

そして立てた目標に対して、「計画 → 実行 → 点検・評価 → 改善・処置」という、いわゆるPDCAサイクルを繰り返し実行していきます。

 

このように目標管理制度は、多くの会社で導入されており、非常に有効な制度だといえます。ただ問題であるのは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職者が働く病院も含めて、ほとんどの組織で制度自体が上手く機能していないということです。

 

その原因は、評価基準が曖昧であることにあります。

 

例えば、よく挙げられる目標に「リハビリ部の売り上げを上げる」「新規患者さんの数を増やす」などがあります。しかしこれでは、具体的な数字が提示されていないため評価基準が明確ではありません。

 

そのため、「リハビリ部の売り上げを月50万上げる」「新規患者数を〇月までに100人増やす」など、具体的な数字を提示することが大切です。

 

そうすることで、社員側も具体的な目標に向かってモチベーションも上がりますし、PDCAサイクルもより有効なものとなります。また会社側も、評価基準が明確になるため適切な評価を下せるようになります。

 

等級制度

等級制度とは、「職能等級」や「役割等級」といったように、等級というキャリアアップステップを示し、社員育成の基礎となるものです。等級の呼称や意味づけは会社や病院によって異なりますが、基本的には等級と給与は連動し、等級が上がるほど年収は高くなります

 

この等級制度も、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ関連職が働く病院でもよく利用されている制度です。

 

ただこれも、目標管理制度と同様に各等級における評価基準が曖昧であると制度としては機能しません

 

実際に私の経験した職場でも、等級制度が導入されていました。しかし、等級を付けられている社員側には、「何を基準に等級が決められているのか」「何を行えば等級を上げることができるのか」ということが全く理解できていませんでした。

 

また、等級が上がったからといって給与が上がることもなかったため、社員のほとんどが等級すら意識していないというのが現状でした。

 

今回述べたように、PT・OT・STがキャリアアップするためには、人事制度について理解しておくことが大切です。特に、以上に上げた評価基準や制度については、しっかりと把握しておくようにしましょう。


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